★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK19 > 437.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□格差を拡大させた「夜警国家」の発想/高橋乗宣 [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=24417
【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
2006年2月3日掲載
格差を拡大させた「夜警国家」の発想
「官がやるべきことも民に」では社会が壊れる
国会の内外で「格差拡大」論争が激しくなっている。小泉改革の反動で日本社会は一握りの「勝ち組」と大多数の「負け組」に分類されるようになったからだ。
小泉首相は「言われているほど格差はない」「アンケートでも中流意識は強いと報告を受けている」と必死に防戦している。しかし、与党内でも「生活実感として格差は拡大している」(上田勇公明党議員)、「光と影が明らかになってきている」(津島雄二元厚相)などと二極化を懸念する声が多い。盟友だった山崎拓元副総裁まで「格差社会が進行しないように取り組んでいきたい」と言い出している。首相は孤立無援の状況だ。
統計データを拾い集めていけば、明らかに格差は拡大している。
平均所得の半分以下しか稼いでいない人の割合を示す「貧困率」は、先進国中3番目の高さだ。正規雇用者が減り、非正規雇用者が増えているから当然かもしれないが、おかげで生活はカツカツだ。4世帯に1世帯は貯蓄がないし、家計の貯蓄率は55年ぶり(昭和25年以来)の低水準を記録した。厚労省の「国民生活基礎調査」では、生活が苦しいと回答した世帯は3年連続で過去最悪を更新している。内閣府が反論に持ち出したジニ係数だって、じわじわと上昇中だ。もともと資本主義は格差を拡大させる特性を持っている。20世紀には格差解消を求める労働運動が激化し、ロシア革命によって社会主義国家も誕生した。放っておけば資本主義が脅かされる事態となったのだ。そのため、完全雇用の考え方が重視されるようになり、弱者救済のセーフティーネットが設けられるようになった。
そんな歴史を知ってか知らずか、弱者対策の重荷に耐えられなくなった小泉政権は、「官から民へ」「小さな政府」をスローガンにした。これは、国家の任務を防衛や治安維持などに限定する「夜警国家」の考えだ。19世紀には、すでに知識層によって批判されている。それを21世紀になってやろうとしているのだから、それまでは政府の介入で抑え込めた問題点があぶり出されるのは当然だ。
耐震偽装やライブドア事件の再発防止には、格差縮小がテーマになってくる。「官がやるべきことは官に」の発想だ。それなのにポスト小泉も構造改革路線では、この国はもたない。【高橋乗宣】
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK19掲示板