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小泉改革で日本社会の格差が拡大しているのではないかという「格差社会」が通常国会の主要テーマに浮上している。7日の衆院予算委員会質疑でも、前原誠司・民主党代表が「格差が拡大している影が色濃く出ている」と小泉純一郎首相の認識をただした。当初は格差拡大を否定していた首相だが、小泉改革の「影」に踏み込まれることを警戒し、次第に「機会の平等」を強調し、格差自体は否定しない強気の論法に切り替えてきている。しかし、与党内からも「行き過ぎ」に不安の声が出始めており、9月の自民党総裁選にも影響を及ぼしそうだ。
◇与党内「謙虚さを」の声
前原氏「子どもの現場で格差の再生産や希望格差が生まれる状況にどう取り組むか」
首相「なにも学校の成績が良くないからといって悲観する必要はない。しかし、勉強したいという機会は支えていきたい」
前原氏「不謹慎な答弁だ」
格差論争を挑んだ前原氏に、首相は「最初から機会を提供しなければいけないと言っている」と述べるなど「機会」という言葉を連発して正面から答えず、議論は最後までかみ合わなかった。
「格差が出るのは別に悪いこととは思っていない」と言う首相が警戒しているのは、格差拡大問題が、規制緩和のマイナス面を浮き彫りにし、小泉改革そのものへの批判に発展することだ。首相が「能力ある人の足をひっぱる風潮は慎むべきだ」と強調するのも、規制緩和で生まれる格差自体は否定すべきではなく、あくまで「機会(チャンス)」を与えることを重視すべきだという意味だ。6日の同委では首相を支える立場の中川秀直・自民党政調会長が「格差是正の観点から改革を止めて逆戻りさせるのは愚の骨頂」と援護射撃をした。
だが、7日の同委で前原氏は「お金の使われ方が間違っている。公共工事ばかりで人への投資が少ない」と防衛施設庁の官製談合事件と格差拡大問題をつなげてみせた。貧困層が拡大しているという事実と実感は否定しがたいだけに「現場の状況を知らないで政治をやっている」(前原氏)という雰囲気が広がれば、これまで首相が最大の武器にしてきた世論の支持にもかげりが出かねない。6日の同委で質疑に立った自民党伊吹派会長の伊吹文明・元労相は「(市場原理主義は)自覚と謙虚さをもって運用しないと、格差などの問題が出てくる」と遠回しの表現で首相に警告を発した。
◇自民党総裁選に影響も
こうした中で、格差論議は9月の自民党総裁選の重要なテーマになる可能性が出てきた。総裁選は小泉構造改革を総括する機会でもあり、改革の「光」と「影」のどちらに力点を置くかが「ポスト小泉レース」の対立軸になるとみられる。
「格差」という言葉の独り歩きを懸念するのが麻生太郎外相。1月の記者会見で「社会問題になるほど格差がついているのか。感覚でしゃべるのは危険だ」と語り、改革自体を否定する空気にクギを刺した。安倍晋三官房長官も「弱肉強食の日本を作るような道を歩まない」と言いながらも、「改革の成果」を強調する立場だ。
これに対し、谷垣禎一財務相は「きずな」をキーワードに「家族や地域で支え合う社会」の重要性を指摘、社会の二極化に警鐘を鳴らす。福田康夫・元官房長官も「地域格差も十分視野に入れなければならない」と格差への懸念を強くにじませる。
格差の問題では、来年の参院選を控える青木幹雄参院議員会長ら参院側が特に敏感に反応しており、総裁選の投票行動にも影響を及ぼしそうだ。
【須藤孝、宮田哲】
毎日新聞 2006年2月7日 23時18分 (最終更新時間 2月7日 23時58分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060208k0000m010140000c.html
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