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(回答先: 金大中事件、幕引き図った田中首相(Internet Zone::Movable TypeでBlog生活) 投稿者 gataro 日時 2006 年 2 月 06 日 19:18:31)
□金大中事件文書公開:早期政治決着の思惑が一致 [毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20060206k0000m030120000c.html
金大中事件文書公開:早期政治決着の思惑が一致
【ソウル堀信一郎】韓国政府が公開した金大中(キムデジュン)拉致事件の外交文書には、事件を政治決着させるため73年11月に開かれた田中角栄首相と金鍾泌(キムジョンピル)首相の会談内容が詳細に記録されていた。会談では政治決着を優先し、金大中氏の再訪日という「原状回復」も白紙化されたが、これは事件を早急に幕引きして日韓関係を正常化させたいという両者の意図が一致したためだったようだ。文書から会談を再現してみる。
◇田中首相「パーにする」…金首相「行動の制止を」
■再訪日を拒否
会談は73年11月2日、午後2時半から3時45分まで首相官邸で行われた。日本側は大平正芳外相も出席した。拉致事件後、金大中氏の「行動の自由」が保障されているかどうかが、日本側の関心事だった。
大平外相が金首相に聞いた。
「金大中氏が日本に来たり、米国に行ったりすることを韓国政府は制限しているのか」
金首相は「金大中は一般市民と同じ身分で、行動は制限されていない」と明言した。
だが、韓国の旅券法では刑事事件で起訴された者に対しては旅券発給が制限されている。金氏は71年大統領選の公選法違反で起訴されており、旅券発給は現実的にはありえないことだった。
田中首相が口をはさんだ。
「金大中の海外出国は本人の意思だが、あの人(金大中氏)は日本に来ないと思う。その程度の政治的センスがなければ、将来性がない人物だと思う。いずれにしろ、(日本に)来なければいい」
田中首相が金首相に、金大中氏が再び日本に来ないように要請したという話は当時からささやかれていた。その発言内容が外交文書で初めて確認された。
日本政府は、拉致以前の状態への「原状回復」や、捜査のため、金氏を日本に戻すように要請していたが、実際に来日すれば日本側の捜査が本格化し、韓国側が窮地に陥ることになる。田中首相は主権擁護や事件解決よりも「政治決着」を優先したことになる。
■建前のやりとり
会談冒頭、金首相は「この間、金大中事件で物議をかもして申し訳ない」と謝罪した。
これを受けて田中首相は用意したメモを見ながら「(拉致犯とみられる)金東雲の行為に公権力の介在が認められれば、(日本側が)新たに問題提起せざるを得ない」などと注文した。
「新たな問題提起」とは「政治決着の見直し」を意味するものとみられる。
これに対して、金首相は「今の話は、必ずそうするという意味か。それとも建前として一応話したものなのか」と尋ねた。金首相は日本語がうまく、「建前」という日本語を使った。
田中首相は「建前としてだ」と答えた。
■事件は日本に責任?
金首相は、拉致事件が起きたのは日本に原因があると、次のように訴えた。
「拉致事件は遺憾であるが、この機会にはっきりさせておきたいことがある。金大中が滞在中に行った政治活動は、旅券目的に反するものだ。今後、(別の人間が)金大中と似たような軽率な行動をした場合、送り返すなどして行動を制止しなければならない」。田中首相はこれに同意した。
日本側は中間捜査結果を含めて捜査進展状況を知らせるよう求めていたが、金首相は「韓国に捜査をまかせた以上、結果報告だけでいいではないか」と拒否した。大平外相は「そうだなあ」と了解した。田中首相は「この問題はパーにしよう」と述べた。
金首相は会談の最後に拉致事件にかかわらず日韓関係が良好であることを強調した。さらに「韓国は日本の協力などで国民所得と輸出が伸びている」と述べ、日本の協力による経済成長が切実な願いであることを訴えた。
金大中事件をきっかけに日韓関係は冷え切り、韓国への援助は凍結し、予定されていた両国の定期閣僚会議も延期されていた。会談では閣僚会議を開き、凍結されていた対韓国援助を再開することにも合意した。
◇公開された文書
今回公開された外交文書は「30年後の公開」という原則から漏れた1947〜74年の文書、293件約2万7000ページのうち、6割強にあたる191件約1万7000ページ。この中に金大中氏拉致事件のほか、日本人2人が逮捕された74年の民青学連事件に関する文書も含まれている。韓国外交通商省によると、金大中氏拉致事件の関連文書は、74年以前分でも非公開文書がまだ残っている。事件では田中角栄首相が政治決着に絡み韓国政府から財界ルートで3億円を受け取ったとの疑惑が米議会で論議になったが、公開文書には裏付ける資料はなかった。
◆岩波書店の雑誌「世界」に73〜88年、「TK生」の名前で「韓国からの通信」を連載し、金大中事件をはじめ軍事政権の実情を訴えた池明観(チミョングァン)・前韓国翰林大日本学研究所長(81)に聞いた。
◇「真実なき文書」に疑問
事件当時、日本で韓国の独裁政権を批判してきた一人として、この文書に書かれていることが真実なのかを問いたい。民主政権であるはずの盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が、金大中事件は「KCIAの関与がなかった」という軍事政権の文書をそのまま公表する姿勢にも疑問を感じる。何も解明せずに日韓癒着時代の文書を出すことは、公権力による主権侵害、人権侵害事件の本質を隠蔽(いんぺい)した朴政権の立場を追認することになりはしないか。
現在、国家情報院の真相調査も進行中であり、その結果を見守る必要があるが、その方向が出る前に文書公開をしたことも理解できない。当事者である金大中前大統領ですら、日韓関係、北東アジアの全体状況を考慮し、不問にしようとした事件だ。それを現政権が見直しに着手するなら、主権侵害した日本に謝罪することから出発する以外にありえないと思う。
そもそも、なぜ拉致事件が起きたか、本当に知りたいことは今も解明されていない。事件に対しては、金大中氏を心配した日本の絶対的多数の市民が関心を持っていると考える。韓国の民主化を支えた日本の人たちが納得できる説明がなければ、軍事政権時代の日韓癒着を乗り越える新しい関係を築くことにならない。
朴政権時代は、言論の自由も情報公開もなく、国民は言いたいことを言えなかったが、日韓の政権同士は連携していた。今は文化開放が進み国民の交流は盛んだが、日韓政府間の関係は冷え切っている。今回の文書公開でも盧政権は、日本政府に相談せず一方的に公開しており、日韓和解につなげようという姿勢は感じられない。
事件を検証するなら、国民和解への一歩になるよう、日韓両政府が協調して解明すべきだ。わい曲された事実を追認して、時代を逆行させるべきではない。
毎日新聞 2006年2月6日 1時08分 (最終更新時間 2月6日 8時11分)
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