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ゲンダイネット
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【天木直人 ニッポン外交の迷走】 2006年2月27日 掲載
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◇老外交官の勇気ある証言まで葬る政府
「秘密は墓場まで持っていく」という言葉がある。それが私的な秘密であれば個人の勝手である。しかしこの言葉は、往々にして公的な立場にあるものが、国民に真実を知らせると国家組織が崩壊するからしゃべらないほうが国益に合致するという意味合いで使われる場合が多い。そんなことは断じてない。国民に真実を知らせて崩壊するくらいなら、そんな国家は崩壊したほうがよいのだ。
そのような口実の下にこれまでどれほどの不正義が隠されてきたか。警察の裏金疑惑にしても、検察の調査費不正使用疑惑にしても、さらには外務省の機密費疑惑にしても、関係者のすべてが後ろめたい気持ちでそれを知りつつも、自己保身のためにすべては墓場まで持っていかれようとしている。
そのような国家的ウソの最たるものが日米関係を巡る密約である。その秘密の一端を、元外務省アメリカ局長の吉野文六氏(87)が報道関係者に告白した。すなわち71年に調印された沖縄返還協定をめぐり、米国が負担すべき土地の原状回復費用400万ドルを日本側が肩代わりするという密約が交わされていたことを告白したのだ。
「日本が支払わなければ、交渉が行き詰まる可能性があった」「沖縄が返るなら日本が払いましょう、ということになった。佐藤栄作首相の判断だった」(2月10日朝日新聞)
この密約の存在は、これまでも外務省機密電文の暴露(西山事件)や米国公文書の開示などで周知の秘密となっている。しかし政府関係者、しかも外務省元アメリカ局長という当時の担当幹部がその存在を認めたことは衝撃的なことである。それよりももっと驚いたのは、24日の朝日新聞のインタビューで答えた彼の次の言葉である。
「(00年に密約が米公文書で明らかになり国会で追及された時)外務省事務当局から『密約はない』と否定してほしいと頼まれた」――。
それでも政府、外務省は吉野発言を一蹴している。
「そういう密約はなかったと報告を受けている」(安倍官房長官)
「この話は終わっている。外務省の態度に変化はない」(麻生外務大臣)
正直者が馬鹿をみる日本にしてはならない。
●天木直人(あまき・なおと) 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
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