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２月25日（土）
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm から転載。
「送金メール」は嘘ではないかという疑惑で民主党が揺れている影で、きわめて重要なやり取りがなされています。政府がもっと大きな嘘をついているのではないかという問題が持ち上がっているからです。
それは、72年の沖縄返還の際、米側が払うとされた土地の原状回復補償費400万ドルを日本が肩代わりする「密約」があったのではないかという問題です。このような「密約」の存在は、当時、毎日新聞によって報道されましたが、その「特ダネ」を入手したのは、西山太吉記者でした。
しかし、西山さんは女性職員と「情を通じて」外務省の機密電文を入手したとして、国家公務員法違反の疑いで逮捕され、有罪とされてしまいます。この問題については拙著『戦後政治の実像』（小学館、2004年）でも、取り上げています。
拙著109頁以降で、私は次のように書きました。
……「400万ドル肩代わり密約」については、当時、毎日新聞政治部の西山太吉記者がその交渉の過程を記した電信文のコピーを入手して社会党の横路孝弘議員に渡し、72年３月27日、衆院予算委員会で横路議員らはこの電信文を根拠に佐藤首相を追及した。外務省は文書の流出ルートを調査し、女性事務官が手渡したことが判明する。西山記者と女性事務官は国家公務員法違反（機密漏洩）で逮捕され、西山記者は一審無罪、検察側が控訴し、上級審で逆転有罪、最高裁で有罪が確定した。
この密約については2000年５月に当時の日米高官の会談記録である米国務省文書が明らかになり、02年６月にも新たな文書が見つかった。今日では、この「密約」は事実であったと見られている。国民の知る権利に答えるべく情報を入手した外務省の女性事務官も、それを報道して真実を明らかにした新聞記者も、罰せられるべきではなかったのである。真に罰せられるべきは、秘密の約束をして国会でしらを切り、国民の血税400万ドルをアメリカにくれてやった佐藤首相の側であったというべきであろう。
私は、「今日では、この『密約』は事実であったと見られている」と書いていますが、最近、これを裏づける新たな証言が報じられました。しかも、それを証言したのは、当時、交渉の実務責任者だった外務省元アメリカ局長の吉野文六さんです。
http://mytown.asahi.com/okinawa/news.php?k_id=48000000602240002「沖縄密約・吉野元局長一問一答」という記事が、『朝日新聞』２月24日付に出ています。そこで吉野さんは、記者の質問に次のように答えています。
――どうして密約に。
沖縄に返される土地の原状回復補償費は対米請求権の項目に入っており、日本側が払うとは明示できない。かといって、議会が強硬に反対する米側から出させることもできなかった。
400万ドルは日本側の支払いの中に入れてほしい、という気持ちが米側にあった。そのなかで、ああいう便法を考え出したのだと思う。
……
――密約を認めよ、という元毎日新聞の西山太吉さんの訴えをどう思うか。
彼の言う通り。あの当時、「情を通じて」という言葉で起訴されたことで、（国民の「知る権利」を訴えていた）メディアの流れが変わった。国会で何度もウソを言っていたので、個人的には助かった。
――吉野さんはじめ政府側は密約を否定し続けてきた。
当時は、とにかく協定を批准させればそれでいい、あとは野となれ……という気持ちだった。そのために「記憶にない」「そういう事実はない」と言ってきた。ただ、米公文書にあるサインを見せられたときは、自分のサインだと認めざるを得なかった。あとは「記憶にない」と言うしかなかった。
国会でも法廷でも「忘れた」と言う以上、忘れなきゃいかん。意識的に記憶から消そうとしてきた。そのほうが良心の呵責（かしゃく）を覚えなくてすむ。その結果、詳細については本当に忘れてしまった。
西山さんの報道や私などの書いてきたことが事実であったと、吉野元局長は認めています。「国会で何度もウソを言っていた」ことや「国会でも法廷でも『忘れた』と言う以上、忘れなきゃいかん」と自分に言い聞かせてきたことも……。
驚くべき証言だと言うべきでしょう。国会や法廷で嘘をついてきたということを自ら公然と認めたわけですから……。
ただ、「意識的に記憶から消そうとしてきた。そのほうが良心の呵責（かしゃく）を覚えなくてすむ」と語られていることには、救われる思いがします。今回、このような形で真実を語ったのも、「良心の呵責（かしゃく）を覚え」られたからでしょう。
この吉野さんの証言によって、沖縄返還の際、土地の原状回復補償費400万ドルを日本が肩代わりする「密約」があったことは、再度、裏づけられました。事実がこれほど明々白々になっているのに、まだ政府はしらを切っています。
過去においても現在でも、政府は国民にウソをつき続けているわけです。おまけに、嘘をつくように頼まれた事実まで吉野さんは明らかにしていますが、それについてはまた明日……。
【関連投稿】
密約「政府が口封じ」 沖縄返還交渉―Yahoo!琉球新報
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 2 月 25 日 11:28:30
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投稿者 white 日時 2006 年 2 月 25 日 11:28:15
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投稿者 gataro 日時 2006 年 2 月 24 日 22:05:08
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 2 月 23 日 12:16:17
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