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1月22日―メディアを創る
米国産牛肉輸入停止に見る日本外交
これが最後だと見られている2006年通常国会の冒頭で、小泉首相は、自ら下した米国産牛肉輸入再開の決定に触れ、「食の安全に万全を期す」と大見得を切った。その演説からわずか数時間後に、特定危険部位(SRM)の脊柱が見つかったというニュースが日本中を駆け巡った。「米政府が責任を持って食の安全対策を行う」という輸入再開の大前提が崩れた一瞬だ。その後の報道で、米国の検査担当官自身が、SRMを除去するという米合意をまったく知らなかった、などという呆れた話しも伝わってきた。そもそもこれまでの一連の輸入再開プロセスに無理があったのだ。科学的検証を曲げ、政治的につじつま合わせをした小泉対米従属外交だったのだ。その化けの皮がこれほどあっさりと剥がれるとは、とんだお笑い種だ。
その日の夕方の記者会見で、小泉首相は輸入再開を全面停止すると発表した。予想される批判を、先手を打ってかわすかのように、「すべての米国産牛肉輸入を停止する」とわざと強調した。「中国だけではなく、米国にだって毅然とした態度が取れるんだ」といわんばかりである。
しかし、そのような小泉首相の見え透いたパフォーマンスを嘲笑することが本稿の目的ではない。今回の事件に、日本が対米追随外交から脱却できるかもしれない一つのヒントを見るからだ。
80年代に流行った一口話がある。経済発展に呻吟する東南アジアの首相に、日本の識者が助言する。「アメリカに対して宣戦布告するのが一番の解決策です」、「「負けるに決まっているじゃないか」、怪訝な顔をする首相に対して、「そう、負けてアメリカの占領を受けるのです。アメリカは思い切った非軍事化と民主化、そして経済再建のための占領政策を断行するでしょう。間違いなく日本みたいに発展できます・・・」
現在のイラクと違って、日本は、「恥も矜持も捨てて」米国に従属した。そのような、「負けっぷりのよさ」は、少なくとも80年代半ばまでなら日本国民にとって勘定は合った。採算は取れた。しかし、昨今の米国の日本に対する金融支配や米軍再編の要求を見ていると、どう考えてもペイしない。米国の要求の狡猾さと不当さの裏で庶民が泣かされている。それにもかかわらず、この国の指導者は、いつまでたっても日米関係を絶対視する外交から抜け出せないでいる。
しかし今度の事件は、誰の目にも不当な、そして国民の安全が明らかに脅かされるような米国の要求には、日本の首相は国民の支持を背景に拒否できることを示して見せたのだ。ブッシュ大統領のポチであっても尻尾を振ることを止められたのだ。
対米外交は国民外交で臨むべき時が来た。その調子で、イラク戦争も、米軍基地問題も、堂々と米国に我々の要求をぶつけられる日が来なければウソである。
まだやっているのか国連安保理改革
1月22日の毎日新聞は一面で、外務省が独自の「枠組み決議案」を持ちだして動き出したと報じている。理事国の増加数を、従来の常任理事国6カ国、非常任理事国4カ国、計10カ国から、全体で6カ国に抑え、しかも常任、非常任の区別無く、選挙でその区別を決めるという案だそうな。このような案には米国も消極的であるほかに一緒に共同提案を行ってきたドイツ、インド、ブラジルの考えとも異なる。「見切り発車」だという。何をそんなに急ぐというのか。
「他国がどう反応するかまったくわからない。敵をつくる可能性もある」と外務省幹部も認めているという。それなのに、週明けから各国に駐在する大使を使って動き出すという。幹部職員が世界を駆け巡って調整するという。なんという外交か。なんという税金の無駄遣いか。こんなことしかやるべき外交がないのが日本の現状である。いややるべきことはいくらでもあるのに、それが出来ないほど外交が行き詰っているのだ。戦略が無いのだ。
同じ日の産経新聞にサウデイアラビアのアブドラ国王が訪中するという記事が載っていた。は米国が警戒を始めたサウディアラビアに対し、その隙をついて中国はあきらかに関係を深めようとしている。中国はまた米国の最大の敵イランとの関係も強化しようとしている。下手をすると日本は米国の反対を押し切って確保したイランのアザデガン油田まで中国に取られかねない。
世界の石油資源をめぐって米国と中国の壮大な競争が始まろうとしている。そしてそれはこれら両国の中東政策に見事に反映されようとしている。米国に追従するしか脳のない日本外交は、資源外交も中東外交も不在のままだ。このままでは日本は世界の外交競争に完全に取り残されていく。
23日−25日の間だ日本を離れますので「メディアを創る」は休みます。
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