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(回答先: Insight[第19号]紺谷典子が解く「改革」 投稿者 ワヤクチャ 日時 2006 年 1 月 22 日 21:16:30)
巻頭言
紺谷典子氏(エコノミスト)
『郵政民営化は権限の私物化』
http://www.elneos.co.jp/0503kennja.html
郵政民営化がなぜ「改革」なのか、なぜ改革の「本丸」なのか。武部幹事長の紙芝居はこう説明する。民営化すれば、郵便局はコンビニのようにコンサートや飛行機のチケット予約、オープンカフェやレストランの併営、介護や福祉サービスまで行えるようになる。村にコンビニができ便利になれば都会に行った若者たちも帰って来て村おこしにもなる、とバラ色の夢が描かれる。しかし、夢が実現する保証は何一つ示されていない。 そもそもこれまでコンビニができなかったような過疎地で、郵便局ならどうしてコンビニ経営に成功するのか。民営化しさえすれば民にできないことまでできるようになるらしい。村のよろず屋の「民業圧迫」にはならないのか気がかりだが、いずれにしろコンビニ化が目的なら民営化の必要はない。公社のままでも十分に可能だからである。 不思議なことに、郵政の民営化が必要だとする理由はクルクル変わってきた。当初は財投改革とされていたが、郵政の資金が財投に回る仕組みがとうになくなっていると指摘されると、公務員削減で小さな政府と言い出した。民営化の根拠が薄弱と反論されるたびに、新たな理由を持ち出しているようで、これでは郵政民営化それ自体が目的ではないかと疑われても仕方がない。小泉総理が郵政を眼の敵にするのは、地元の特定局長会が選挙応援をしなかったため初陣で落選した私怨、という一部の解説が真実味を帯びてくる。 資金源を断つことで財投を効率化するという小泉総理の30年来の持論には、初めから論理破綻があった。もうひとつの資金源である年金を不問に付したままだからだ。改造を含め4度も厚生大臣に就任し、資金源を断つ権限もチャンスも手にしながら、年金民営化に1度も取り組もうとしなかった。第一、財投改革に本気なら、直接財投を改革し、天下りやファミリー企業の問題を解消する方がずっと確実で効率的だ。郵政民営化はあまりに迂遠で非効率な解決手段だ。効率化をめざす手段が非効率では、ユーモアにさえならない。 公務員を減らし小さな政府に、という新たな理由も、職員の給与は事業の収入で賄われ税金は1銭も使っていないことを忘れているのではないか。民営化で公務員は減らせても国の経費は減らせない。しかも過疎地や小口のサービスを補助金で維持するというのでは、逆に国の経費が増えるだろう。民間企業になれば税を納めるという点も、公的事業なら税を払わないのは当然だ。税を払う払わないではなく、公的事業として必要性があるかないかを論点にすべきなのだ。同様に税を払っていない小泉内閣も、民営化なさいますか? 「民にできることは民に」という。民が宅配も金融業もできるのは事実だが、問題は過疎地や小口の利用者に必要なサービスを提供できるかどうかである。営利追求の民にはできないことがあるからこそ、政府も公的事業も役割を持ちうる。年金改革や景気回復の方が重要との批判にも「他の改革は誰でもやるが、郵政民営化は私でなければできない」と頓着しない。事故で大勢の怪我人がいる時に、手当より道路掃除を優先するのと同じだ。 国と国民のための総理権限が一個人の偏執に行使されている。政府は6億円の税金を投入して郵政民営化のキャンペーンを始めた。国費で世論誘導は前代未聞の禁じ手だが、総理は「もっと説明しろと言ったでしょ」と薄笑い。マスコミは得意の論理のすり替えと苦笑いするだけで批判しない。自民党をぶっ壊すと人気を博した総理だが、なぜか総理の派閥は隆盛を極め、ぶっ壊れたのは政敵派閥。そして、これまで辛うじて残っていた政治の良心とマスコミの使命感は、跡形もなく壊されたようなのだ。 (エコノミスト)
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