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http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0601/20.html
通常国会召集/改革方向ただす論戦を [2006年01月20日付]
通常国会が20日に召集される。ライブドア問題や耐震偽装事件で波乱ぶくみだが、初めて経験する人口減少の時代に入り、経済社会制度の改革はどうあるべきか、突っ込んだ論議を期待したい。
小泉純一郎首相は「改革総仕上げの国会」と位置づけ、総理総裁として最後の国会に臨む。「三位一体改革」を盛り込んだ2006年度政府予算案に加え、小さな政府を目指した行政改革推進法案、高齢者に負担を求める医療制度改革関連法案などの提出も予定されている。農政では施策の対象を担い手に絞る農政改革関連法案が出される。
これらの法案提出は、改革の流れを確実にする狙いがある。改革の方向が一部の「勝ち組」だけを利するものではないか、そんな声が国民の中には渦巻いている。政府・与党はこうした疑問に答える責任がある。
前原誠司代表が率いる民主党は「安全国会」と位置づけ、牛海綿状脳症(BSE)や野党3党で共同提案した輸入牛肉トレーサビリティ法案など「食の安全」を前面に対決する。小泉構造改革が国民生活の安全を脅かしているとしての追及だ。国民の多様な意見を生かす論戦にすることができるか、野党としての真価が問われる。
農業にとっても大きな節目となる国会だ。政府は、原則、個別経営4ヘクタール(北海道10ヘクタール)以上、集落営農20ヘクタール以上の「担い手」に対象を絞った経営安定対策を導入するための法案を出す。国が認める「担い手」になれるかなれないかで、国からの支援を受けられるかどうかが決まる。日本の農業を支えてきた家族農業は大きな影響を受けるだろう。すべての農家を対象に直接支払いを提唱している民主党など野党は反対の姿勢だ。
担い手に対象を絞った施策がなぜ必要なのか、農業者が納得できる説明が必要だ。すでに農業者団体は、集落営農を柱にした「担い手」育成に全力を挙げている。06年度予算案で支援は十分なのかの吟味も必要となる。
世界貿易機関(WTO)農業交渉も争点だ。4月のモダリティー(保護削減の基準)決定に向けて、交渉は最大のヤマ場を迎える。中川昭一農相は「守るべきものは守る。譲るべきものは譲る」との姿勢を繰り返している。食料自給率が40%にまで落ち込んだわが国にとって、これ以上譲れるものとは何なのか。交渉なので、手の内は明らかにできないだろうが、あいまいなままでは不安が高まる。野党は政府の本音を引き出し、日本農業を維持できるよう、政府の姿勢をただすべきだ。
与党は、昨年9月の衆院選で3分の2以上の議席を得た。その気になれば、すべての法案を可決できる。しかし、「多数決の暴力」に走ることを国民が期待しているわけではない。少数意見にも真摯(しんし)に耳を傾ける度量も必要だ。
日本農業新聞 論説 [2006年01月20日付]
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