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2006年01月18日
ライブドア捜索――偶像破壊の季節
ライブドアに東京地検特捜部の強制捜索が入った。“テレビ芸者”のようなコメントや、それみたことか式の議論は趣味じゃないから、尻馬に乗るようなことは書きたくない。
潮目は変わった。直感的にそう思う。ちょうどシェークスピアの「マクベス」第二幕で、王を暗殺したマクベスとその夫人の耳に、突然、扉をたたく音が聞えるように。
「どこから響いてくる、あの音は。どうしたのだ、おれは。一つ一つの音にどきりとする。何という手だ、これは。ああ! 両の目が飛び出しそうだ。みなぎりわたるこの大海原の海の水ならこの血をきれいに洗ってくれるか。いいや、この手のほうが逆に、うねりにうねる大海の水を朱に染めて、あの青さを赤一色に変えてしまうだろう」
その音は幻聴ではないのだ。
ライブドアのポータル(玄関)サイトにある「話題のブログ」は、いまだに平然と「堀江貴文」をのせている。17日のエントリーはさすがに「いろいろご心配&お騒がせしています」とあって、「今後の業務は通常通り行います。地検の調査に関しては全面的に協力していこうとおもいます。今後ともよろしくおねがいします」と殊勝だが、同日行われた堀江本人のわずか6分間の会見と同じくほとんど空疎である。
しかし「強制捜索は想定外ですか」という記者の質問はひどい。流行語大賞を意識して「想定外」と言わせようとしたのだろうが、阿諛としか言いようがない。受け狙いのこの記者には吐き気がする。
聞いた話。強制捜索2日前の1月15日土曜、新橋界隈で「ヒルズ族」社長たちの麻雀大会が開かれて、いまをときめくIT系企業の社長や芸能人に混じって、ホリエモンも出席者に名を連ねていたという。が、彼は当日ドタキャンしたらしい。すでにライブドア関係者との連絡がとりにくくなっていて、異変が起きたと思わせる兆候があった。先週末には想定していたのである。
それにしても、ホリエモン・ブログに寄せられた350本以上のコメントをのぞいてあきれた。「ホリエモンがんばって!」の連呼である。なかには「反権力」のヒーローにまつりあげようとする人もいる。慣性の法則というのか、幻想というものがいかに強固かを知らしめるいい例だ。
対象を突き放すには経験値が必要だ。経験から何が起きたかをとっさに感じる人だけが生き残れる。1990年代バブル崩壊と、2000年ITバブル崩壊の二度のガラを目のあたりにした経験からいうと、これは3度目のネットバブルの崩壊になるかもしれない。いま誌面があったら、とは思うが、いよいよ出番がきたと思えばいい。手前ミソだが、「FACTA」4月創刊というのは、案外タイムリーかもしれない。
いたいけなデイ・トレーダーたちに告ぐ。このネットバブルは壊れる。それを幻聴と思いこんでホリエモン賛歌を歌っている連中は、彼が逮捕されたら泣きを見るだろう。本命は海外に逃避させた資産の摘発で、イモヅル式にネット長者の「仕手筋」を一網打尽にするという説もある。焦点は「香港」と「京都」である。
昨年のフジテレビ騒動のころ、検察や証券監視委員会内部からは「いまは(ニッポン放送株争奪戦のさなかで)時期が悪いからやらないが、(ホリエモンの)錬金術は放っておきません。必ずやります」という声が聞こえた。当局が一罰百戒のタイミングを狙っていたことは確かだろう。私募CB(転換社債)からMSCB(転換価格下方修正条項付き転換社債)、そして株式1万分割などなど……何でもありの資金調達や株価釣りあげが、株式市場をなめたような投資家や企業を増長させてきたことは明らかだった。
恥ずべきは、日経平均株価の回復をはやしたて、市場のゆがみに目をつぶってきたうえ、小泉自民党圧勝後は「2005年体制」などと舞い上がって世迷言を吐いていた経済評論家たちや、彼らをもてはやす新聞、テレビなどのマスメディアだろう。「市場の解」が聞いてあきれる。
モーセの「十戒」は「偶像をつくってはならない」が第二の戒である。アイコノクラズム(偶像破壊)の季節がきた。土地や株の仕手戦の追跡は取材冥利に尽きる。武者ぶるいがするから、仕手および仕手周辺のみなさん、首を洗って待っててください。
ー阿部重夫
http://facta.co.jp/blog/archives/20060118000055.html
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