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(2006.1.18)
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/file130.htm からの転載。
私は経済には明るくありませんし、ましてや株式市場のことについてはまったく無縁な人間です。その私が、ライブドアに対する検察庁の強制捜索、及びそれを受けた昨日と今日の株式市場の大波乱には目が釘付けになりました。明日以後の展開について予想する能力は私にはありません。しかし私は、直感的に小泉政治と同じ人間無視で拝金主義の「根無し草」の本質を感じ取って、久々に気分がスッキリする気持ちを味わいました(決して他人の不幸に快感を覚えたわけではありません)。そして、何かが変わる前兆であって欲しいと強く思い、コラムに私の感じ、思い浮かんでいることを書き留めておきたいと思いました。
人間の尊厳を無視する点において小泉政治と堀江・ライブドアは一体であり、それ故に絶対に長続きしてはならないと私は思ってきました。その基本的立場から言いますと、検察のメスが入ったことについては、遅きに失したことではあれ高く評価するべきだと思います。株式市場がかつてない動揺を示したことは、「何かがおかしいのではないか」と誰しもがうすうす感じてきたことを、検察の行動が衝撃的かつ客観的に白日の下に曝したためだと、私は感じています。検察が自らの行動がこれだけの激震を引き起こしたことにひるんで、あるいは政財界の圧力を受けて動きを止めてしまわないことを願わずにはいられません。
経団連の奥田会長が記者会見で、全員一致でライブドアを経団連のメンバーにしたことは間違いだったと釈明するテレビの放映を見て、相変わらず逃げ足の速いトヨタの総本山だと感じました。小泉首相の他人事を装う記者会見にも、自分に役立たない存在は冷徹に切り捨てる彼の真骨頂を改めてみる思いがしました。そういう意味では、堀江氏は哀れな子羊なのかも知れません。使い捨てのコマなのでしょう。しかし、小泉・奥田が推し進めてきた日本「改造」路線の落とし子が堀江・ライブドアであることを、私たちはしっかり見とどける必要があると思います。堀江・ライブドアを切り捨てて知らぬ顔を決め込もうとする小泉・奥田を許すようなことがあってはならないと、私は強く思います。
今回の「ドラマ」から私たちがくみ取るべき教訓は、小泉・奥田に日本の運命を委ねてしまったら、日本はどうなってしまうか分からないということです。それほど市場原理至上主義・拝金主義が日本社会をゆがめているのです。
中国では2005年12月に「中国の平和的発展の道筋」(中文:中国的和平発展的道路)と題する白書が発表されました。そこでは、「人間をもって基本とする」(中文:以人為本)ということがなによりも強調されていました。私はそこに中国のこだわりを見いだし、中国にはまだ望みがあると素直に感じました。もちろん「中国の宣伝に過ぎない」と反応する方もおられるかも知れませんし、そうかも知れません。しかし、私は次のように問いたいのです。小泉首相、奥田経団連会長からは、宣伝としてですらそういう発言・発想はないのではないかと。そういう彼らであればこそ、堀江氏を衆議院選挙に担ぎ出したのであるし、経団連のメンバーに迎え入れたのではないかと。
今回の事件を単なる事件として終わらせないために必要なことは、私たちがこの事件から本質的な意味をくみ取ることだと思います。本質的な意味とは、市場原理主義を人間の尊厳の上に置いて恥じない日本の政治と経済をこれ以上許してはいけないということです。
小泉「改革」政治をこれ以上許してはなりません。新自由主義で日本社会を拝金主義で塗り固めようとする経済界の暴走をこれ以上勝手にさせてはならないのです。そのためには、日本の政治を根本から変えなくてはなりません。小手先細工ですませていてはいけないのです。私は、一人でも多くの国民が、今回の事件を転機として惰性的な政治的眠りから覚め、日本という国家の主人公・主権者として毅然として行動することを願います。
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