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日本農業新聞 論説 [2006年01月10日付]
地球温暖化が、残念だが着実に進んでいる。異常気象がもたらす影響は、農業ばかりか生活全般に及ぶだけに深刻だ。原因は、紛れもなく私たちの暮らしや経済活動によっている。近年になって温暖化が急速に進行しているのは、経済至上主義のひずみが現れからだ。私たちは今、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出を、暮らしの中で減らし、温暖化を食い止めなければ、かけがえのない地球の未来はない。私たち一人ひとりが、これまでの生活意識を変えていくことが極めて重要になる。
昨年12月から続く大寒波と日本海側を中心とした大雪。実は温暖化が原因だといわれている。フィリピン近海域の海水温上昇によって大気の対流が起こり、北極海上空の寒気を日本列島上空に呼び込んでしまった。加えて、日本海の海水温も例年以上に高く、上昇した水蒸気が寒気に触れ大雪につながったのだ。
一つ一つの事象を見ると、温暖化はじわじわと忍び寄っていることが分かる。過去100年間に陸上の温度は0.6度上昇した。だが、気象変動に関する政府間パネル(IPCC)は、100年後に1.4〜5.8度上昇すると予測する。仮に5.8度気温が上がると海水が膨張し、氷河が溶け出して海面は最大88センチ上昇するという。
そうなれば雨の降り方が変わって内陸部の乾燥が進む。さらに台風などの熱帯性低気圧が猛威を振るうことになる。昨年、米国・ニューオーリンズを襲った超大型ハリケーンのカトリーナは、記憶に新しい。このままいけば、病害虫の増加で食料生産の減少も懸念されているのだ。
温暖化をもたらしたのは、ほかならぬ私たちだ。便利な生活を追い求めて、化石燃料を際限なく利用してきた結果だ。農業も“加害者”の一人。温室効果がCO2の20倍もあるといわれているメタンは、その4割が、水田や家畜の腸内発酵、ふん尿から発生している。
温暖化対策は早ければ早いほどその効果が高い。大きな変化が現れた時に対策を取り始めても、手遅れになる。昨年末にカナダ・モントリオールで開かれた京都議定書第1回締約国会合では、議定書の期限である2013年以降の先進国の温暖化防止の枠組みを、今年から協議していくことで合意。同時に開かれた気候変動枠組条約第11回締約国会議は、米国を含めたすべての国が温暖化防止策を話し合う場を設ける行動計画を採択した。遅きに失した感はあるが、世界が対策で協調していくことになった。
温暖化対策の決め手はない。だが、できることはある。それは、私たち一人ひとりが地球温暖化がもたらす弊害を知り、身の回りの小さなことから省エネルギーを心掛けていくことだ。意識の転換こそが、地球温暖化を食い止める唯一の道といえる。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0601/10.html
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