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http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20060115k0000m010136000c.html
共産党:不破議長退任 「柔軟路線」は未完
共産党の不破哲三議長(75)が、14日閉幕した第24回党大会で議長を退任した。35年半にわたり指導的立場にあり続けた「党の顔」。「現実・柔軟路線」を掲げて天皇制や自衛隊を「当面容認」するなど、同党を「普通の政党」に脱皮させる役割を担った。しかし党勢は伸び悩んでおり、志半ばの退場でもある。名実ともに党の最高指導者となった志位和夫委員長(51)が現実路線を継承しつつ、どう再建策を見いだすのか。「ポスト不破」体制の課題は重い。【尾中香尚里、衛藤達生】
◇志位体制、はや正念場
今回の党大会で志位和夫委員長が留任し、共産党は名実ともに「志位体制」に移行する。不破氏とともに「現実・柔軟路線」を引っ張ってきた志位氏だけに、党の路線が大きく変わる可能性は低い。しかし、自民・公明両党が衆院の3分の2の議席を占め、憲法改正が具体的な政治日程にのぼるなか、大会では地方の危機感が目を引いた。
「首相=田中康夫(長野県知事)、外相=田中真紀子(元外相)、総務相=橋本大二郎(高知県知事)、女性・少子化対策相=福島瑞穂(社民党党首)……。このような閣僚名簿を国民に示し、国会で多数を占めるべく行動できないか」。奈良県の党員からの提案である。護憲勢力の社民党だけでなく、民主党の一部や、公明党の支持母体・創価学会との連携を求める声まであった。
党員の高齢化が進み、機関紙収入やカンパ頼みの党財政は悪化の一途。新たな支持層として期待をかける若い世代も、先の衆院選で「小泉劇場」に目を奪われた。党の「基礎体力」が確実に低下するなかで、党が単独で支持拡大に努めても、憲法改正の動きはもっと速いスピードで進むのではないか−−。地方の「護憲勢力連携論」はそんな焦りの表れだ。
地方の不安を受け、志位氏は11日の中央委員会報告で70年代の「社共共闘」に触れ、「(党が)国政選挙で本格的な前進を勝ち取ることが、政党関係の前向きの変化を作る条件となる」と語った。しかし、志位氏も大会後の記者会見で「(共闘には)基本問題での一致と『共同の意思』が必要」と述べ、連携の機運を盛り上げる環境にないことを認める。
「改憲反対の国民的多数派」をどう築くのか。国民投票法案の次期国会提出を控え、憲法問題が最重要課題の一つに躍り出る今年、志位氏は早くも正念場を迎える。
◇「2大政党化」で低迷
「新しい綱領は、党に新しい視野と新しい活力を与えた」。不破氏は11日の開会あいさつで自らの主導で改定した新綱領を高く評価していた。「花道」とも呼べる幕引きで、前任の宮本顕治氏が、議長引退を決めた大会(97年)を病気で欠席したのとは対照的だった。
不破氏が党の表舞台に登場したのは書記局長に就任した1970年。82年委員長に就任し、緻密(ちみつ)な理論と鋭い弁舌を武器に、国会論戦で歴代首相と渡り合った。
自民党の加藤紘一元幹事長は近著で、不破氏の論戦について「自民党では誰も不破氏とのテレビ討論に出たがらなかった。不破氏は東大理学部出身。物理の頭で理詰めで攻めてくる。自民党の議員は勉強していないのがまるわかりになってしまう」と評した。
2度目の委員長となった89年当時は、中国の天安門事件や東西冷戦構造の崩壊で、共産主義のイメージ悪化にあえいでいた。「現実・柔軟路線」の推進は、歴史の必然とも言えた。宮本氏の議長引退で「不破体制」が確立した後は、こうした路線にさらに拍車がかかる。98年の参院選で参院での与野党逆転が実現したことも「不破路線」を後押しした。
記者会見などで他野党との暫定政権構想に言及したり、天皇制廃止を「将来の話」と語ったことは、伝統的な党支持層に唐突感を与え「不破路線」への不満も顕在化した。それでも不破氏は路線を変えなかった。03年の国政引退後は「不破路線」の集大成ともいえる綱領改定に専念。党の生命線とも言える綱領に、天皇制と自衛隊の容認論を盛り込んだ。
しかし、こうした「現実・柔軟路線」は、党勢拡大には必ずしも結び付かなかった。98年の参院選で過去最高の15議席を獲得したが、その後は自民、民主両党の「2大政党化」を受け党勢が低迷。民主党は単独政権志向を強め、他野党との連携で政権を目指す展望は描けないままだった。
「柔軟路線」を志向しつつも、共産主義にこだわり党名変更などは頑として受け付けなかった不破氏。かつて「穏健路線」の先駆けだった宮本氏が、やがて党の「古さ」の象徴となったように、不破氏も時代の流れに乗りきれなかったようだ。
志位氏は記者会見で、不破氏の今後について「理論分野で引き続き重要な役割を果たしていただきたい」と語った。不破氏は「理論的支柱」として執行部を支えつつ、政党外交など得意分野でさらなる「任務」にいそしむことになりそうだ。
◇不破哲三氏、自ら決断強調
共産党の不破哲三氏は14日の党大会で、議長退任について「より若い世代を吸収して意識的な努力を行わないと、必要な時期になっても中心幹部の交代を避けるといった、現状安住の保守的な傾向に陥りかねない」と述べ、自らの意思で決断したことを強調した。
退任の理由として、不破氏は高齢などを挙げ「議長として最終的な責任を担い続けることは、党の指導体制として合理的なことではない。若い世代の幹部の能力を全面的に発展させることを妨げる要因になりかねない」と説明した。さらに常任幹部会委員に再任されたことに触れ「気力、体力が存在している限り、党の発展のために力を尽くすことは共産主義者の義務だ」と締めくくった。
◇
共産党が14日の党大会で決定した常任幹部会委員18人は次の通り。(敬称略、新は新任)
委員長 志位和夫▽書記局長 市田忠義▽副委員長 石井郁子、緒方靖夫、浜野忠夫▽委員 和泉重行、岩井鉄也、上田均、浦田宣昭(新)、太田善作、大幡基夫、奥原紀晴(新)、小池晃、穀田恵二、中井作太郎(新)、西口光、広井暢子、不破哲三
また、130人の中央委員を選ぶ投票は総数967票のうち、不破氏に3票、志位氏には5票の不信任票が入った。中央委員の中から常任幹部会委員が互選された。
毎日新聞 2006年1月15日 0時49分
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