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http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060115k0000m070133000c.html
社説:靖国参拝問題 争点隠しの総裁選はごめんだ
靖国神社参拝問題を9月の自民党総裁選の争点からはずそうとする動きが活発だ。
小泉純一郎首相は就任以来、年1度の靖国参拝を続けてきた。これを契機に近隣外交、特に中国、韓国との関係が悪化したままだ。総裁選出馬に前向きな山崎拓前副総裁が「アジア外交に行き詰まりがある。このまま放置するわけにはいかない」と、問題を提起した。
山崎氏は昨年、国立戦没者追悼施設建設に向けて発足した超党派の議連の中核メンバー。総裁選の有力候補に数えられている福田康夫元官房長官をはじめ民主党の鳩山由紀夫幹事長、公明党の神崎武法代表らも加わっている。
すぐに安倍晋三官房長官が「靖国の問題を総裁選の基本的テーマにすべきではないと思う」と、反論。小泉首相も「これは心の問題。批判される方も、靖国参拝自体がいけないのか、中国、韓国がいけない(と言う)からいけないというのか、今後はっきりしていただきたい」と、同調した。
小泉首相に近い武部勤幹事長や中川秀直政調会長らも、争点にすることには否定的だ。
しかし、靖国参拝を政治問題化させた発端の一つは、01年の総裁選で小泉首相が掲げた公約といえる。「いかなる批判があろうと8月15日には参拝する」と、明言した。パンドラの箱を開けてしまった。参拝日はいずれも変更されたが、参拝は毎年続けられている。
内閣府の昨年の調査では対中感情は過去最悪で、日韓関係も「良好だとは思わない」が5割を超えている。中国での4月の反日デモだけでなく、靖国参拝をめぐる摩擦が、日本国民の両国への悪感情を高めたと分析できる。
昨年10月に小泉首相は参拝したが、従来とは異なり昇殿せず、拝殿前で手を合わせただけだった。だが、暗礁に乗り上げた近隣外交の打開策にはならなかった。アジア各国の首脳からも関係悪化を懸念する声が寄せられている。靖国参拝を「心の問題」の領域にとどめることはできなくなっている。
日本の世論も二分されている。昨年10月の毎日新聞調査では、参拝に賛成(44%)よりも反対(51%)が7ポイント上回っているだけだ。小泉首相の靖国参拝には、司法の判断も分かれている。04年の福岡地裁に続き、05年には大阪高裁も違憲判断を下した。
昨年の総選挙で「小泉改革」路線は国民から大いなる支持を得た。それだけに、改革路線が一大争点になるとは思えない。靖国問題は国民的人気では他の有力候補を圧倒している安倍官房長官への包囲網作りのために仕立てられた争点との見方も出ている。
総裁選では各候補の基本的スタンスをはかる上でも靖国問題は格好のテーマだ。「争点にすべきではない」は、「批判を許さない」と同意語になりかねない。総裁選とはいえ、結果としては一国のトップを選出する選挙だ。争点隠しは許されない。大いに論争し、行き詰まったアジア外交を再構築する糸口にすべきだ。
毎日新聞 2006年1月15日 0時33分
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