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1月15日号(1から2面)
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なじみの郵便局が集配をやめ、町や村で唯一の集配局がなくなる。配達員は、いてつく
道を20〜30`先からやって来る。あて先に届くのは1日遅れになることも―。こんな“過
疎地切り捨て”計画が浮上しています。 取材班
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郵政民営化を来年10月に控え、日本郵政公社が検討中の再編案です。1月初め、北海道・上川地方の郵便局関係者から、「過疎地の安心・安全のネットワークが無くなってしま
う」との手紙が編集部に寄せられました。
同封資料によると、旭川、富良野両市を含む上川地方南部の27集配局のうち、将来計画を含め13局が無集配局になります。
さっそく、日中でも氷点下12度、厳寒の旭川空港に降り立ちました。旭川から南に50`、ラベンダー観光で有名な人口5700人の中富良野町へ。
再編案によると、中富良野局の集配業務は10`南の富良野局(富良野市)に統合されます。20`離れた同市内の麓郷(ろくごう)局の集配も富良野局に移ります。集配局と配達先が30`以上離れる場所も出てきます。
3年前まで富良野局で集配を担当していた関雄二さん(58)=中富良野町=が言います。「20`も30`も離れた局から配達するようになったら、郵便が届くのは日が暮れてからになる場所も多くなる。今でも吹雪のときは遅れるから。郵便を出すにも受け取るにも、都市と過疎地の不平等が拡大します」
中富良野局は約2千戸の配達を担当。8人の常勤外務職員が手分けして配達し、うち7人が町内在住者です。
「計画の具体的な中身は知らされていません」という畠尾健司局長(50)も町内出身。常勤職員は住民からの信頼も厚く、高齢者から貯金の出し入れを頼まれることもあります。「職員を指名する人もいるんですよ」
中士別郵便局(士別市)の局長だった宮下登町議(70)=無所属=は、こう批判します。「番地だけで家族構成が頭に浮かぶ。それが郵便局員の生命です。地元局から集配業務が消えたら、不便になるだけでなく、地域社会への影響も大きい」
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本紙が入手した別の資料でも、全国の2割、北海道では3割もの集配局で集配業務を廃止する計画です。
郵政民営化について、「万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたい」と述べた小泉純一郎首相。その約束が早くも崩れ始めました。
◆ 集配の統廃合で… 町長「人口減も心配」
郵政公社郵便事業総本部は集配局再編計画について、「具体的な局名や内容は確定しておらず、発表できる段階にない」と説明し、「(計画が実施されても)郵便窓口がなくなるとか、集配がなくなるわけではない。サービスは維持される」と強調します。ただ、民営化を前に「効率化」を前倒しで進めるため、集配業務の集約を検討中であることは認めます。
実際はどうなのか―。
「集配廃止による影響は、すぐに分からなくても徐々に出てくる」と語るのは、元集配職員の関雄二さんです。
地吹雪に襲われる真冬の北海道でも、多くの郵便局員はチェーンをつけた二輪車で配達します。転倒は日常茶飯事で、「50歳を過ぎ、目が悪くなると怖くて続けられない仕事です」と関さん。それでも、局員の強い使命感に支えられ、厳冬期を含む1年を通じ、富良野地方で配達が中止になる日は1日あるかないかです。
「今でさえ合理化で住民に声かけする余裕がない。集配が統廃合されれば、お客さんとの距離はもっと広がります」
集配業務の統廃合により、郵便局と住民との密着度も低まります。民営化後、郵政公社は郵便、貯金、保険、窓口に4分社化され、無集配局は手数料を収入源とする窓口会社だけの管轄となります。採算が取れなくなれば真っ先に廃止対象にされかねません。
比布、東川、東神楽、中富良野…。上川地方南部で町内唯一の集配局から集配業務が消える可能性がある4町では、驚きの声が広がっています。
北海道・上川地方南部の再編計画。27の集配郵便局のうち、将来計画を含め13局で集配業務を廃止。
中富良野町の四方昌夫町長は「詳しい情報はまったくない」と不安を隠しません。東川町の松岡市郎町長も「集配がなくなれば顔の見えるサービスが低下し、過疎化に拍車をかける。自治体にとっては人口減少が最も心配だ」と懸念を表明しました。
旭川市南部の西神楽郵便局も集配廃止リストに載りました。西神楽地区中央市民委員会(連合町内会)会長の柳澤繁吉さん(77)は「突然の話に驚いている。集配局があるかないかで地域の活気が違ってくる。住民に反対運動を呼びかけなければ」と語気を強めました。
■首相の約束破り
「民営化に伴うサービス低下をストップさせるには、住民と一緒に声をあげるしかない」と言うのは、郵政産業労働組合北海道地方本部の上田和也委員長(59)です。
「小泉首相は郵政民営化法の成立にあたり、“過疎地の郵便局は守るよ”といいました。ところが今回、現実には郵便局網や全国一律サービスが崩れていくことが浮き彫りになったのです。郵政民営化に対し北海道のほぼ全自治体議会で懸念や反対の決議があがったわけですが、こうした運動を再び広げていく必要があると思います」
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《郵便格差社会へ突入》
郵政公社の再編案によると、全国に4705ある集配局の2割にあたる966局で集配業務を廃止し、窓口業務だけを担当する無集配局とします。
地域差が大きく、北海道、信越、中国各支社管内の“廃止率”が30%を超えるなど、山間部や交通不便な過疎地が犠牲になります。
集配業務を残す局でも格差があります。配達拠点となる人口密集地の「統括センター」に指定されるのは1088局だけ。残る2651局は「前送施設」として“仮設扱い”に格下げします。条件が整い次第、前送施設は統括センターに段階的に集約していくとされるため、いずれは集配廃止が避けられません。
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