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「日の丸・君が代」裁判に見る / 都教委の学校支配 / 内心の自由踏みにじる(しんぶん赤旗)
http://www.asyura2.com/0601/senkyo18/msg/508.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 1 月 10 日 11:26:46: KbIx4LOvH6Ccw
 

2006年1月10日(火)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-01-10/2006011004_01_2.html

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 二〇〇三年十月二十三日に東京都教育委員会が「日の丸・君が代」を強制する通達(10・23通達)を出してから三回目の卒業式が三月にめぐってきます。この間の裁判や人事委員会の審理で、通達を出した横山洋吉前教育長(現副知事)ら都教委幹部、校長、教職員への証人尋問が行われています。証言からは憲法・教育基本法を無視して学校現場を縛り、子どもや教職員の思想・信条の自由を公然と踏みにじる実態が明らかになってきました。(高間史人)


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■「踏み絵」に夜も寝られず

 10・23通達以来、「君が代」斉唱時に不起立だったことなどを理由に処分された教職員は延べ三百十一人に上ります。「日の丸・君が代」にはさまざまな考えや感情を持つ人がいます。特定の態度を強制することは憲法が保障する思想・良心の自由、信教の自由、表現の自由に反します。

 横山前教育長は証言で「外部的行為を命じたにすぎず、どういう気持ちを持っているかを変えようというものではない」とのべました。

 しかし、行動と心は切り離せません。「行為」を強制されたため大変な苦痛を受けたと多くの教職員が証言しました。命令に従って起立した人も、処分を覚悟で座った人も、悩んで眠れなくなった、食事がのどを通らなかったとのべています。

 キリスト教信者の教師は起立強制を江戸時代の「踏み絵」にたとえてこう述べました。「内心と外部的行為をわけることはできない。踏み絵を踏むことは外部的行為だが、踏んでしまえば信仰を守ることはできない」

■退席許さず座席も指定

 昨年十二月十九日、東京地裁での元校長の証言は傍聴者を驚かせました。教職員に起立斉唱を強制し不起立者を処分するために、都教委が周到に準備し、校長に細かな指示を出していたことが明らかになったのです。

 校長への指示内容は次のようなものです。

 〇職務命令をいつ、どこで、だれに出したか記録する〇訴訟になった場合のために立会人を付けて書面で手渡す〇教職員の座席を指定し不起立であれば現認して報告する〇教員は(案内などで場外に配置せずに)可能な限り式場内にいれる〇「内心の自由」の説明によって起立しにくい状況をつくらない…。

 これらは都教委が月一回開く校長連絡会などで指示されました。10・23通達を出したときの連絡会では人事部長が説明をおこない「職務命令を出して教員を従わせることが大事」と強調しました。処分の責任者である人事部長が連絡会で説明するのは異例です。元校長は「服務上の責任が問われるという意味だと思った」と証言しています。

 教育基本法は教育への「不当な支配」を禁じています。そのため都教委は、職務命令を出したのも式のやり方も校長の裁量であり、強制ではないとごまかしています。しかし、実際には処分をちらつかせて強要していたことがこうした証言で明らかになってきました。

 横山前教育長自身こう証言しています。「校長のリーダーシップといっても方向が問題。学校運営が正常におこなわれる方向でのみ認められる」

 結局、都教委の意にそわないことは認めない、現場の自由はまったくないということです。

■生徒の拒否は許さない

 10・23通達は教職員への強制だけでなく、子どもの思想・信条の自由を奪うものであることが多くの証言で明らかになってきました。

 昨年十二月末に開かれた東京都人事委員会の公開審理。証人として呼ばれた都立高校長は「生徒に国歌斉唱を指導することが教員の職務だ」と繰り返しました。

 処分された教師が自ら尋問しました。「思想・信条から『君が代』を歌えない生徒が私のクラスにもいる。その子の思想を改める指導をする必要があるとお考えですか」

 校長は平然と答えました。「そこまでしてくれたらいいと思っています」

 都教委の「卒業式・入学式対策本部」幹事長だった巽公一・前指導企画課長は裁判で「(歌うことを拒否する子どもに)嫌だといわれて終わりにするのでは教育にならない」とのべました。

 横山前教育長の口からも目的は子どもに歌わせることだとの証言が出ています。同氏は都議会で自民党議員の質問に「(『君が代』を歌うように)児童生徒を指導する職務命令を出し厳正に対処する」と答弁。その後、教員への職務命令に「適正に生徒を指導する」との項目が加わりました。法廷でその目的を問われたときのやりとりです。

 横山「小中学校で普通に行われていることが(都立高校や障害児学校では)適正に行われていなかった(からだ)」

 原告代理人「生徒に起立させて歌わせることが目的ですね」

 横山「はい」

 「子どもの思想を改める」というのは一校長の考えでなく、都教委の方針なのです。

■指導要領にない画一化

 都教委は10・23通達は学習指導要領に基づく式を実施するためとしています。しかし通達で現場に命じているのは「正面を向いて着席」「伴奏はピアノ」など指導要領にないことばかりです。

 原告側弁護団は横山前教育長をただしました。「日の丸」を左、都旗を右と定めているが、逆にすると指導要領違反か、フロア形式の卒業式は指導要領に反するのか…。

 横山氏は「学習指導要領に反する」とはいえず、「学習指導要領の趣旨に反する」「常識に反する」と苦しい言い逃れに終始。独断的に実施方法を決めて、画一的な式を押しつけていることがあらわになりました。

 「特色ある学校づくり」という都教委の方針に魅力を感じて都立高校教師になったという女性は「画一化は『特色ある学校』と矛盾する」と怒りを込めて陳述しました。

 「思考停止を求められた教員がどうやって生徒の主体性を育てることができるのか。個人の信条や良心を恐怖で抑えつける強制は教育のぼうとくとしか思えません」

 ▼10・23通達 「国旗は舞台壇上正面向かって左、都旗は右に掲揚する」「教職員は指定された席で国旗に向かって起立し国歌を斉唱する」「卒業証書は壇上で授与し、児童生徒の席は正面を向いて座るよう設営する」―など式のやり方を細部まで規定した「実施指針」を定め、教職員が校長の職務命令に従わない場合は服務上の責任を問われるとしています。フロア形式や「内心の自由」について説明することは禁じられ、養護学校では車いすの子を壇上に上げるためにスロープを設置したところもあります。

 ▼「日の丸・君が代」強制反対裁判 四百人の都立学校教職員が「君が代」斉唱の義務のないことの確認を求めた「予防訴訟」、不起立を理由に再雇用を取り消された人たちが訴えている「解雇裁判」、不起立を理由に嘱託不採用となった人たちの「嘱託不採用裁判」などが東京地裁で続いています。東京都人事委員会では処分された教職員の不服審査請求の審理が進められています。

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