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http://www.kiuchiminoru.com/blog/2006/01/zivilcourage.html
正月元旦より本日まで四日連続で街頭演説を行いました。多くの方からご声援を頂き大変恐縮しました。これからも地道にこつこつとがんばります。
今回は私が日頃あまり使わない横文字を使わせていただきます。
私は幼少時と社会人となってから10年近くドイツで生活しておりました。人生の四分の一をドイツで過ごした訳ですから、私にとってドイツが日本に次ぐ第二の故郷です。そのせいか、ドイツの近現代史を自分なりに興味をもって学びました。ワイマール時代からナチスの時代、そして戦後西ドイツの復興のたった数十年の歴史は日本の歴史以上に大きなうねりがありました。
その中でなぜ民主主義体制下のワイマール時代の末期にヒトラーのナチス党が国民に人気を博し(第一党になり)、社民勢力、共産主義勢力、中道穏健勢力等を圧倒して政権を奪取できたのかということについて考えさせられました。それは、ヒトラーがメディア王でありかつ民族主義者のフーゲンベルクの手法を真似し、あらゆる手段を使って新聞ラジオのメディア戦略を実行したからであります。ヒトラーがその忠実なる部下のゲッペルス・ナチスベルリン管区長を宣伝相(プロパガンダミニスター)として政権の中枢に置いて重用したことがなによりの証拠です。ナチスにとって宣伝(プロパガンダ)が命だったのです。
日本人の多くが誤解しておりますが、ナチスは決して保守主義政党ではありません。もし本当の伝統文化を重んじる保守主義政党であればすぐとなりに亡命したヴィルヘルム2世を皇帝に迎えているはずですし(第三帝国と称してました)、伝統的な亀の子文字を政権末期に否定しなかったはずです。ナチスもムッソリーニのファシスタ党もある意味では伝統破壊の疑似革命政党でした。そして戦う「改革派」(あるいは似非革命派)のナチスには常に敵が必要でした。その敵こそが、ユダヤ人であり、ボルシェヴィスト(共産主義者、ソ連)であり、ベルサイユ体制の当事者である宿敵仏、英連合国であったのであります。
国民の不満のはけ口としてこれらの「敵」が利用されたわけであります。そしてまんまとごくひとにぎりのヒトラーをはじめとするナチスの関係者によってドイツ国内はおろかヨーロッパはては世界中を震撼させたのです。ナチスすなわちドイツ国家社会主義労働者党はもとをたどればミュンヘンの場末の居酒屋で1919年にたった数人ではじめられたうさんくさいごく少数者の運動だったのです。
1933年にヒトラーが首相となり(当初はフーゲンベルクも参加した連立内閣)、権力を握って次々と自分に都合の良い改革を行っていきました。全権委任法の成立によって独裁権限を掌握し、ヒンデンブルク大統領没後は大統領制を廃止し、自らが総統(フューラー)となり事実上の皇帝兼大統領兼首相となったのです。その裏で政敵の社民勢力をはじめとする民主主義勢力に対する弾圧(収容所送り)を同時に行い、完全な独裁者となりました。そして次々に近隣諸国に対する侵略戦争をはじめました。
それでもドイツ国防軍は、最高司令官でもあるヒトラーにあらゆる英知を使って忠実に戦争に邁進しました。しかし、ナチス時代末期の40年代に入ると国防軍、民間人の中で人道主義に基づき、なんとかヒトラーを排除しようという勢力が生まれました。1944年のフォン・シュタウフェンベルク、フォン・トレスコウ、ベックといったドイツ軍人が関わったヒトラー暗殺計画はその一つの典型例です。しかし、この計画は悪運強いヒトラーの下で失敗し、関係者は虐殺されたり、自殺に追い込まれることになったわけです。
多くの者たちが権力に屈服し、身近なユダヤの人たちが強制収容所に送られるのをみて見ぬ振りをしていた中、敢然とヒトラー政権の批判を展開して虐殺されたミュンヘン大学の白バラ運動のショル兄弟も含め、軍、民間人で抵抗運動に参加した数すくない勇敢なものたちがいたことを歴史は忘れておりません。ユダヤ人を救った杉浦千畝さんも同じです。
この方々の勇気こそ、今ドイツでZivilcourage(ツィヴィルクラージェ)と言われてたたえられているものです。
Zivil(=市民)、Courage(=勇気)は、組織の論理(Parteiraeson、パルタイレゾン)を悩みながら越えて、真の人間愛、人道主義に基づいて勇気ある少数者が命がけで戦ったあかしなのであります。武士道の卑怯をきらったり、「弱きを助け、強きをくじく」精神と相通じるものがあります。
不肖城内実もいつまでもこのドイツで学んだZivilcourageの精神そして武士道精神にたって、国家国民のために身を粉にして働いて参りたいと思います。
1月4日(水)
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