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米政権:「靖国」に懸念 アジア戦略「日本に見直し要求」
ブッシュ米政権が小泉純一郎首相の靖国神社参拝による日中関係の悪化に懸念を強め、アジア戦略の見直しを日本政府に強く求めていたことが明らかになった。昨年11月20日の北京での米中首脳会談で、ブッシュ大統領は靖国参拝を踏まえ歴史問題について対話の促進を求めた。同行筋によると、大統領発言は胡錦濤国家主席ばかりでなく、小泉首相も対象とした強い注文だった。米政府はこのままではアジアで日本の孤立化が進み、米国の国益にまで影響するとの警戒感を強め、参拝中止に直接言及しないまでも、アジア外交の見直しを迫ることにした。
日米中政府筋によると、米中首脳会談でブッシュ大統領は靖国参拝に関連して「歴史問題について対話を促進してもらいたい」と従来よりも踏み込んだ形で歴史問題に言及した。胡主席は「中国にとってアジアにおける米国の存在は重要だ」と強調した。
昨年11月16日の日米首脳会談でも、米側が最も時間を割いたのは中国問題だった。ブッシュ大統領は「中国をどう見ているのか」と対中戦略の説明を求めたが、首相は参拝の正当性を主張したにとどまった。
一連の米側発言について、ブッシュ大統領のアジア歴訪に同行したマイケル・グリーン前米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は12月28日、毎日新聞のインタビューで「中国は歴史問題で日本を悪玉に仕立て、孤立化させるカードとして使っているが、日本にはこれに対抗する戦略が十分ではない」と指摘。大統領発言は日本にアジア戦略の見直しを急ぐよう求める意図があったことを明らかにした。靖国参拝については「大統領は首相の参拝に口をはさまない」と述べつつも「やめるのも一つの方法だ」と米政府内にくすぶる参拝反対論に言及した。
米政府は昨年10月17日の首相の靖国参拝以来、日中関係の修復が絶望的になったとみて外交ルートを通じて日本政府に「懸念(concern)」を伝えてきていた。ところが一向に改善の兆しがないことから、11月のブッシュ大統領の東アジア訪問での一連の発言につながった。
米議会内には日中間の反目で中国が対米重視を強めれば経済的な相互依存関係を背景に「日中のはざまで身動きできなくなり、米国の国益を損なう」との警戒感がある。【平田崇浩、ワシントン及川正也】
毎日新聞 2006年1月1日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060101k0000m010081000c.html
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