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【天木直人 ニッポン外交の迷走】2006年1月23日 掲載
ライブドア事件でかき消された政治問題
ライブドア騒動に関する報道を見ながら、この問題の背景にある小泉首相の責任を感じる。
先週月曜の夕方から、夜を徹して東京地検がライブドアに踏み込んだのは誰が見ても唐突だった。だからこそ、この強制捜査が小嶋進の証人喚問にあわせた耐震偽造事件の疑惑隠しだという憶測が飛び交っている。実際のところ、伊藤公介元国土庁長官の家族が経営する不動産管理会社が小嶋社長のヒューザーから仕事をもらっていたとか、小嶋社長が安倍晋三官房長官の秘書と面会していたなどという重大な疑惑が出てきたけれど、見事にかき消されてしまった。
実は小泉首相が国民の関心をそらしたい問題は他にもある。小泉外交の行き詰まりだ。国民選挙の後のイラク情勢は混沌の極みだ。ブッシュ政権はイラクをあきらめ始めたという情報もある。力による米国外交の失敗だ。米軍支配を正しいと言ってきた小泉首相の弁明はない。普天間基地移設問題に象徴される米軍再編への協力は、住民を無視して米国に約束してしまったために、動きが取れなくなっている。靖国参拝に固執する小泉首相の「心の問題」は日中、日韓関係を決定的に悪化させた。財界や有識者からも公然と反対の声が上がり始めている。ポスト小泉の最大のテーマになりつつある。
それらすべてが、ホリエモン叩き、ライブドア潰しの報道の前に、不問に付されようとしている。9・11総選挙で刺客として利用したくせに用済みとなったらあっさりと切り捨てる。経団連加入を認めて優良会社のお墨付きを与えた奥田経団連会長は、「理事会全員一致で(加入を)認めたのはミスったというか早すぎた」と平然としている。
ライブドア強制捜査の本当の犠牲者は、株ブームで煽られた素人投資家だ。昨年の小泉圧勝を契機に株高が加速した。あらゆる専門家が今年は未曽有の株高になるとはやし立てた。バスに乗り遅れまいと、なけなしの金をはたいて参加した素人投資家は山ほどいるに違いない。強制捜査を知っていた政府関係者は売り逃げをすることはできるが、ババを引くのは何も知らない一般大衆だ。資産を失い、借財を抱えて路頭に迷う者が出てきた時、その怒りは、強制捜査を指示した責任者に向かわなければおかしい。古今東西、暴動が起きる時は一般大衆が生活苦に追い込まれる時だ。自分の金を奪われたときだ。果たしてホリエモン騒動が小泉政権を揺さぶることになるか。日本の大衆はそれだけのエネルギーを持っているのか、注目したい。
●天木直人(あまき・なおと) 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=24158
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