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闇の中の「殺意」 藤里連続児童殺人
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県警の事故判断に批判
畠山鈴香容疑者(33)が長女彩香ちゃん=当時(9つ)=を殺害した現場とみられている大沢橋の近くに住む女性が語る。
「4月に彩香ちゃんが亡くなった件で、警察官を見掛けることなんてなかった。なぜ、すぐに『事故』にしたのかね。聞き込みに初めて来たのは7月に入ってからだよ」
別の女性は「ろくに調べもしないから、他人の子まであやめてしまった。それが一番残念だ」と憤る。
地元では今、県警の捜査に対する批判が渦巻いている。
「連鎖」止められず
彩香ちゃん殺害の逮捕会見。県警幹部は「われわれは、やるべきことをきちんとやってきた」と強調した=7月18日、能代市落合
彩香ちゃんの水死から、県警が畠山容疑者を殺人容疑で再逮捕するまでに要した日数は、ちょうど100日。
この間に2軒隣の米山豪憲君=当時(7つ)=の殺害事件が発生、結果的に「凶行の連鎖」を食い止めることはできなかった。彩香ちゃんの水死を「事故」とみた初動捜査に落ち度はなかったのか。
県警が彩香ちゃんの“行方不明”を知ったきっかけは、4月9日夜の畠山容疑者の110番だった。大沢橋の上から、彩香ちゃんを藤琴川に突き落としたとされる犯行の約1時間後のことだ。
畠山容疑者は自宅を訪れた能代署員に「彩香は河原で石を集めるのが好きだった」と話した。その姿は一人娘の安否を気遣う母親そのものだったという。ある捜査幹部は「当初は被害者として話を聞くことが第一だった」と振り返る。
発見翌日に事故発表
10日に遺体が見つかり、翌11日には能代署が早々に「自宅近くの河原で遊んでいるうち、川に落ちて流されたとみられる」と発表した。遺体にそれほど目立つ外傷がなかったことに加え、河原に子どものものと思われる足跡や石を積んだ跡があったことなどが根拠だった。
畠山容疑者のうそを見抜けぬまま、約80人だった捜査態勢は同日、大幅に縮小された。 「その後も事件、事故の両面で捜査してきた。事故と断定したことは一度もない」。これが県警側の言い分だ。
だが、事件取材の経験が豊富なジャーナリスト大谷昭宏氏は「水死体は外見だけでは事故か事件か分からない。だからこそ親子関係など周辺をきちんと捜査するべきだった。事故と見間違えたことは決定的なミス。弁解の余地はない」と指摘する。
「4月9日に大沢橋の上で畠山容疑者と彩香ちゃんを見た」。畠山容疑者が彩香ちゃんの水死にかかわったことを疑わせるこの目撃情報を県警が初めて入手したのは、豪憲君が殺害された翌日の5月18日のことだ。警察庁の漆間巌長官は記者会見で「聞き込みの範囲、やり方が十分だったのか検証しなければならない」と異例の発言をした。
警察トップに疑問を呈され、地元住民からの信頼も失いつつある県警。厳しい立場に立たされながら、幼い2人の命が奪われた事件の全容を解明する捜査を続けていくことになる。
<完>
2006.7.26付
秋田魁新報社
http://www.sakigake.jp/kikaku/fujisato/yami/yami_06.jsp