| Tweet |
http://www.yukan-fuji.com/archives/2006/11/post_7517.html
■レスラー今昔物語
８０年代前半、初代タイガーマスクと名勝負を繰り広げ、ジュニアヘビー級ながら、人気者となったダイナマイト・キッド（４７）。彼ほどプロレスラーの悲劇的な末期を象徴する道を歩んだ者はいないだろう。
「キッドはプロレスの殿堂に入っており、プロレスを語る際は欠かせない存在。でも、今はどこに問い合わせても、誰一人として彼の消息を知らない」とは、米国の有力専門誌『レスリング・オブザーバー』のデイブ・メルツァー主幹。
筆者も八方手を尽くして、内外の関係者に問い合わせた。だが、英国の有力プロモーターからも「彼とは連絡がつかないんだ」との答えが返ってきただけだった。
メルツァー主幹によると、関係者が最後にキッドと接触したのは２００１年。自伝『ピュア・ダイナマイト』が出版された後、インディー団体が英国で興業を行う際、挨拶だけという条件で招聘し、キッドも一度は了承した。だが、「ドタキャンした」（主幹）。
なぜ、キッドは表舞台から姿を消したのか。
キッドは自伝で、ステロイドを乱用していた衝撃的な事実を明かしている。薬物により、キッドは肉体的にも精神的にもむしばまれ、後遺症で歩けなくなり、家族も富もすべてを失った。そして一人故郷の英国に戻り、車イス生活を余儀なくされているという。
８０年代後半、米ＷＷＦで、従兄弟のデイビーボーイ・スミスと“英国犬”コンビで、タッグ王座を奪取した当時の舞台裏も、「ドクターの診察室から出ると、選手たちはステロイドと精神安定剤のバリウム、睡眠薬のハルシオンなどがどっさり入った茶色の袋を持っていた」などと詳細に綴っている。
結局、スミスは、筋肉増強剤の打ち過ぎによる心臓肥大から、２００２年、心臓発作を起こし、４０歳の若さで他界した。
キッドは８９年、全日プロのリングに上がったが、肉体は受け身が取れないほどボロボロ、精神的にも不安定で奇行やトラブルが相次いだ。９０年末の「世界最強タッグ」シリーズ最終戦で１６年間のレスラー生活に別れを告げたが、当時の関係者は、「試合もドタキャンするようになり、肩を叩かれるかたちで引退した」と振り返る。
日本では、カミソリと形容された身体のキレとパワフルな闘い方で突貫小僧の異名もあったキッド。その活躍は名前の通り、一瞬の大爆発だったのか。（格闘技ジャーナリスト、タダシ☆タナカ）
【メモ】 本名＝トム・ビリントン ５８年１２月、英国ランカシャー生まれ。父は炭鉱夫。劇画『タイガーマスク』の「虎の穴」のモデルとされる英国のジム「蛇の穴」で鍛えられ、１７歳でデビュー。７８年にカナダに渡る。コーナー最上段からダイビングヘッドバッドを炸裂させていた当時、新日プロの視聴率は常時、２０％台を記録していた。（2006.10.24紙面掲載）
http://www.yukan-fuji.com/archives/images/book20061024_10.jpg
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,ＭＬを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。