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放送終了後も勢いは衰えない「涼宮ハルヒの憂鬱」=角川書店提供
http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/manga/tokusyu/news/20060911org00m200082000c.html
特集:涼宮ハルヒの“独走”
ライトノベル界最強のスーパーヒロインが誕生した。その名は涼宮ハルヒ。世界の運命をも握る美少女女子高生が、宇宙人、未来人、超能力者を巻き込んで、超ハイテンションな高校生活を送る物語だ。谷川流(ながる)さんの原作、いとうのいぢさんのイラストで人気を呼び、今年4月のアニメ放送で一気にブレークした。全国ネットの放送でなくとも、インターネットで話題を振りまき、原作本やDVDは品切れ、テーマ歌も相次いでオリコンチャートトップ10入りするなど、まさに独走状態。その人気の秘密に迫った。【渡辺圭】
■涼宮ハルヒの“登場”
ハルヒが誕生したのは03年。第1作「涼宮ハルヒの憂鬱」が、角川書店のライトノベル雑誌「ザ・スニーカー」の新人賞「第8回スニーカー大賞」の大賞を受賞した。破天荒なハルヒをはじめ、ユニークなキャラクターの魅力、飽きさせない文章力などが評価され、選考委員の全員一致で決まったという。大賞受賞は、第2回の「トリニティ・ブラッド」(吉田直さん=故人)と第3回の「ラグナロク」(安井健太郎さん)以来で、期待の新星としてデビューした。
物語は、何の変哲もない普通の男の子キョンが「県立北高」に入学したところから始まる。キョンの後ろの席にいた美少女が、自己紹介で「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」と言い放ち、クラス中を驚かす。それが涼宮ハルヒだった。
なぜかハルヒに見込まれたキョンは、 「宇宙人、未来人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」という目的で、学校の文芸部室を勝手に占拠して結成した「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団(SOS団)」に協力させられる。ハルヒは、寡黙な文芸部員・長門有希とロリ顔、巨乳の先輩・朝比奈みくる、謎の転校生・古泉一樹を団に加えるが、この3人はハルヒが望んでいる宇宙人、未来人、超能力者だった。実はハルヒが世界に影響を及ぼすほどの“力”を持っていて、3人はハルヒを監視するために集まって来たのだが、その秘密を知るのはキョンだけ。キョンは、ハルヒが学園生活を楽しむために、次々と引き起こす事件を仲間たちと解決させられるという役回りを演じるのだった……。
世界をも変える力を持ちながら、全く自覚がないスーパー女子高生ハルヒに、無理やりメードや巫女(みこ)、バニーガールのコスプレをさせられるみくる、地味だがメガネを外すと美少女で、実はものすごい能力を持っている有希。「萌えキャラのあるところに物語は発生するの」というハルヒの狙い通り、見事に読者の心をつかみ、04年末の「このライトノベルがすごい!」(宝島社)の読者の人気投票では、1位を獲得する人気作となった。
■涼宮ハルヒの“演出”
アニメ化の企画がスタートしたのは04年。角川書店側が、ハルヒと同じライトノベル原作の「フルメタル・パニック!」シリーズ(賀東招二作、富士見書房)のアニメ化でファンからも高い評価を受けていた京都アニメーションに制作を依頼した。
ストーリーがしっかりしていて、キャラクターの造形もイラストで描かれているライトノベルは、アニメ化も簡単そうに思われるが、実際に映像化すると「原作と違う」と違和感を持つファンも多いという。京都アニメーションでは、石原立也監督らメーンスタッフがまず徹底的に原作を読み込む作業からスタートした。シリーズ演出の山本寛さんは元々原作のファンだったが、「キョンの一人称で進む物語や複雑に絡み合った設定など活字を読んで面白いものを、面白く映像化するのは難しい」と感じながら、「だからこそ闘志が沸いた」と振り返る。
同社の八田英明社長の「脚本が成功すればこのアニメの7割は成功したのも同然」という持論に基づき脚本作りに力が注がれた。「フルメタル・パニック!」のアニメ化で、原作者の賀東さんが脚本作りに参加して成功した経験から05年4月、谷川さんや角川書店の担当編集者、スタッフを集め、滋賀県の琵琶湖畔の旅館で2泊3日のシナリオ合宿が行われた。
合宿では、原作からアニメ化するエピソードを選び、その放送順を決めるシリーズ構成に最大の時間が費やされた。石原監督の「先の展開を知っている原作のファンにもアニメを純粋に楽しんで欲しい」という考えから、全14話のタイトルを書いたボードを並べて、入れ替えながら議論が繰り返され、ストーリーの時系列を無視して、バラバラに放送するという構成が決定した。
山本さんは「僕は31歳ですが、若いころに『新世紀エヴァンゲリオン』でアニメーションが世の中にムーブメントを巻き起こすのを目撃し、アニメーターとして一度はこうした“お祭り型コンテンツ”をやってみたかった」と話す。オープニングで「超監督 涼宮ハルヒ」や「シリーズ構成 涼宮ハルヒと愉快な仲間たち」とクレジットしたり、SOS団製作の自主映画をそのまま見せるという第1話のアイデアなど、「ハルヒが監督だったらどうアニメ化するかをまず考えた。楽しいこと、おかしなことが大好きなハルヒなら、まずは見ている人の度肝を抜こうとするのでは」と、遊び心が至るところに散りばめられた作品となった。
■涼宮ハルヒの“爆発”
そんな遊び心は、インターネットを使ったプロモーションにも表れている。ハルヒは、UHF局の放送だったため、地域ごとに放送日や時間がバラバラだったが、その分ファンのブログを中心にインターネット上で情報や議論が飛び交った。
さらに公式サイトは、物語に登場するSOS団のホームページをそのまま再現したもので、ストーリーとも連動。ハルヒが偶然ホームページに使ったSOS団のロゴが不思議な現象を生み出し、急激にアクセスが上がってしまうという第7話「ミステリックサイン」の放送週には、実際にアクセスカウンターを急上昇させるなど、ファンが喜びそうな演出があふれ、ネットでの注目度を高めていった。
ヤフーの「ブログ検索」では、「涼宮ハルヒ」の検索数が、4月1日時点の18件から放送開始直後の4月4日には186件に急増。放送終了直後の7月3日には1944件と約1000倍になった。角川書店の宣伝担当者も「サイトの運営者も作品をしっかり理解してくれていて、次々とアイデアを出してくれた」と成功の理由を語る。
話題の広がりとともに、関連商品も相次いでブレークした。原作本は、放送開始後の5月には各地の書店で売り切れが続出。ネット書店のアマゾンでも1〜7巻すべてがランキングのトップ10入りするなど、累計発行部数は280万部を超え、コミックス(ツガノガク画、1〜2巻)も80万部というベストセラーとなった。
また、ハルヒ役の声優・平野綾さんが歌うオープニングテーマ「冒険でしょでしょ?」が4月26日の初登場でオリコンチャート10位。みくる役の後藤邑子さんと有希役の茅原実里さんを加えた3人娘のエンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」(5月10日発売)と3人の劇中歌をまとめた「涼宮ハルヒの詰合」(6月21日発売)はいずれも5位にチャートインする大ヒット。6月23日に発売されたアニメのDVD第1巻は即日完売で、通常1万本売れればヒットとされるアニメのDVDでは異例の4万9000枚を出荷し、中古店では1万円以上の高値が付けられる事態がいまだに続いている。
■涼宮ハルヒの“再開?”
角川書店出版事業部の安田猛メディア部長は「正直、ここまで来るとは思わなかった」と驚きを隠せない様子だ。続編を希望する声には「まだ予定してはいませんが、どうでしょう? ファンの皆さんの想像にお任せします」と含みを持たせる。山本さんも「僕の立場はキョンに近い。つまり、ハルヒに巻き込まれる人ということ。何かがきっかけになってハルヒの後押しによる“もう一度”があるかもしれない」と話す。
ハルヒの望み通りに世界が変わっていくという原作の展開が現実世界にも飛び火したかのような大ヒット。SOS団のネーミング同様、涼宮ハルヒは「世界を大いに盛り上げ」ながら、唯我独尊、傍若無人に突っ走り続けていくのは間違いなさそうだ。(まんたんブロード27号掲載)
「涼宮ハルヒの憂鬱」オフィシャルサイト
http://www.haruhi.tv/
「涼宮ハルヒの憂鬱」の関連商品はこちら
http://mantanweb.mainichi.co.jp/web/2006/09/post_296.html
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2006年9月11日