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“演劇の街”雰囲気前面に
テレ朝『下北サンデーズ』
東京・下北沢の小劇団を舞台に描く、テレビ朝日の青春群像劇「下北サンデーズ」(木曜午後9時)。劇中では、小田急線と京王井の頭線が交差する下北沢駅(世田谷区)周辺にひしめく劇場や商店街などが続々と登場する。演劇のメッカとして知られる“シモキタ”の街を生かしたドラマの撮影現場を訪ねた。 (山田晴子)
「梅ケ丘、豪徳寺、土曜の次はサンデーズ!」−。主演の上戸彩が演じる里中ゆいかの所属する小劇団「下北サンデーズ」のメンバーたちが、小田急線の駅名をちりばめた奇妙な掛け声を発しながら、街中をジョギングするワンシーン。やがて、古びた木造アパートの二階を改造してできた小劇場「ザ・スズナリ」前に到着する。メンバー一同、そろってたたずみ、劇場に向かって公演の成功を祈り始める…。
この「ザ・スズナリ」をはじめ、「駅前劇場」「OFF・OFFシアター」など実在する劇場らがドラマの中で顔をそろえる。撮影に協力したのは、最大級の「本多劇場」(約400席)を含め下北沢で五つの劇場を抱えるオーナー・本多一夫さん(72)。二十歳のときから下北沢に住み続け、演劇好きが高じ、小劇場を次々にオープンさせた。
「劇場が実名で取り上げられるのは光栄」と本多さん。「野田秀樹や三谷幸喜など演劇やテレビで活躍する著名人を輩出した下北沢。ここで私は長年、たくさんの演劇人たちの足跡を見続けてきた。小さな劇団から徐々に団員らが成長していく姿を描いた今回のドラマは、ドキュメンタリーを見ているかのように感じる」としみじみ語る。
ただ、劇場内のシーンに限り新宿区高田馬場のホールなど別の場所で撮っている。下北沢の劇場は「撮影できる日が全くなかった」(テレビ朝日広報部)という。ほぼ毎日公演やけいこなどでスケジュールがびっしり埋まっているからだ。
一方、劇場だけでなく、駅周辺の商店街の風景もたびたび画面に映し出される。「眠眠亭(みんみんてい)」の名で登場するラーメン店は、実際に商店街にある中華料理店。ゆいかのバイト先でもある。店内での撮影が多く貸し切ってしまうため、その日は店は休業。サンデーズのけいこ場の外観は、商店街の一角にある小ホールだ。
地元では、ドラマの撮影が商店街の活性化につながることを期待する声が多い。下北沢一番街商店街で文具店を営む大塚智弘さん(42)は「テレビや映画で取り上げられることで、それをきっかけに街に行ってみようという人が増えてほしいと思います」と歓迎する。小田急線の地下化などで再開発の機運も高まりつつある中、同じく下北沢を舞台にした映画「男はソレを我慢できない」(主演・竹中直人)も上映されるなど、最近はメディアでの露出が多くなってきた。
ドラマ、映画化されることで「私たちが日常で見たことのない“下北沢”が垣間見れる」と大塚さん。「たとえば、井の頭線のガード下は狭い場所なのに、テレビで見ると奥行きがあるように見えたり。いろいろなカメラのアングルから撮られてるからだと思うが、それが興味深い」と面白がる。
◇
“シモキタ”ずくめの撮影だが、ドラマ化までの経緯を聞くと「堤幸彦さん(監督)、石田衣良さん(作家)、藤井フミヤさん(ミュージシャン)の三人が集まって、下北の劇団事情を話している際に出たアイデアからスタートしたと聞いている。石田さんが原作を書き、堤さんが映像化して、音楽をフミヤさんでやったらどうかという流れになった」と、担当のチーフプロデューサー・桑田潔さん。「いつものドラマに増して、リアルな現場でのロケにこだわっている。小劇団を舞台にディープな人間関係を描いていて、その部分をより際立たせるために、背景にある“絵”は大事」と説明する。実名の劇場を登場させるのも「架空の名前でやるより、分かりやすいでしょ」。
「人の足を止め、やじ馬も集まってくるので、商店街の撮影協力をとりつけるのは実は大変なんです。下北沢は非常に好意的で珍しいぐらい。商店街のBGMを切ってもらったり、車を通行止めにしてくれたり」と、地元の“絶大”な協力にも感謝の念でいっぱいだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060830/mng_____hog_____000.shtml