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□あの人は今こうしている 漫画家の中本繁 [ゲンダイ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2364416/detail
あの人は今こうしている 漫画家の中本繁
毎年、多くの漫画家がデビューしては消えていく。73年、「週刊少年ジャンプ」(集英社)に「ドリーム仮面」でデビューした中本繁さんも、そんなひとり。連載はその1本だけで消えてしまった。しかし、根強いファンに支えられ、6年前に復刻版が出版された。中本さん、今どうしているのか。
会ったのはJR新小岩駅から歩いて10分の自宅。中本さん、6畳と4畳半の風呂なしアパートで、ひとり暮らしをしていた。
「新小岩に住んで35年になりますか。19歳で上京し、しばらくしてから住み始めたんです。今はこの隣の部屋も倉庫として借りていて、家賃は合わせて6万8000円。クーラーもなく、夜は暑くてなかなか眠れません」
ラクな生活ではなかろうに、表情は明るい。
「6年前に太田出版が復刻版を出してくれたとき、ワタシの居所がわからなくて新聞の尋ね人欄に告知を出してくれましてね。それから個展を開いてくれたり、再会した昔の編集者からは絵本を出さないかという話をいただいたり。だから、がんばらなくっちゃ、って思ってるんです。絵本は出版はしていませんが、“くるくる紙芝居”というカタチで取り組んでいます」
“くるくる紙芝居”とは左右を軸棒に張った長い紙に絵や文字を描き、軸棒を回しながらストーリーを楽しむというもの。
「“くるくる紙芝居友の会”を主宰して3年目になります。80人以上会員がいて、池袋のサンシャインシティや東京都庁で展示・上演会をしているんですよ」
「友の会のお世話が忙しく、それでも毎日5分でも10分でも、自分の作品に向かっています。もう30年くらい、作品はあまり描かず、働いては飲んで食ってだったのにね。ワタシは酒が好きで、毎晩、居酒屋やスナックをハシゴして明け方まで飲んでいました」
失礼ながら、生活費はどうしているのか。
「アルバイト情報誌で探して、ディスカウントショップの店員、工員、左官屋、ペンキ屋……。パチプロだったこともあります。15年近く前から、内装会社のバイトに落ち着きました。段取りと片付けで、月10〜25日。今は厳しくて、かなり少なくなっていますが」
さて、長崎出身の中本さん、70年、「ドリーム仮面」で第2回手塚賞佳作。72年、「ガラガラウマウマ」で第3回手塚賞入選。手塚賞3回目にして初の入選者が出たと、大きな期待をかけられてプロデビューした。
「『ドリーム仮面』を連載していた頃は、精神的に追い詰められていました。部屋にこもってカリコリ漫画を描くだけだったため、喘息もひどくなってしまって。編集者に“やめたい”といったら、“連載を持たせてもらった新人が自分からやめるなんて初めてだ”とあきれられました。後悔? あのまま続けていたら人気が出て、アニメーションにもなったかもしれない、と思ったりはしますね。ただ、あの生活を続けていたら23、24歳で死んでたんじゃないかな」
28日まで、原宿積雲画廊で「くるくる紙芝居・小さいもの展」を開催中。
【2006年8月22日掲載】
2006年08月25日10時00分