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http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news001.htm
ウルトラQに「未放送ストーリー」
円谷プロダクションの「ウルトラQ」シリーズがテレビ放映されてから今年で40年。同シリーズの人気怪獣「カネゴン」が登場する回の草稿が見つかり、世田谷文学館(世田谷区南烏山)で開催中の「不滅のヒーロー・ウルトラマン展」で展示されている。書き直しを重ねて台本は完成するが、その前の「生原稿」が見つかるのは珍しいという。放映された作品とは異なる「もう一つのストーリー」にもカネゴンの魅力が詰まっている。
「Q」は、「ウルトラマン」より半年早い1966年1月、円谷プロ初のテレビ番組として放映がスタートした。カネゴンが登場する回「カネゴンの繭」は、お金が大好きな加根田金男少年が、大きな繭に取り込まれて怪獣に変身してしまう話。シリーズのほとんどの怪獣は巨大で暴れ回るが、カネゴンは人と変わらない背丈で頭部が小銭入れ、胸にはお金を数えるカウンターが付いている。子供のようなしぐさがかわいらしく、人気怪獣の一つだ。
草稿は、「カネゴンの繭」を監督した中川晴之助さん(75)の都内の自宅本棚で見つかった。この回の脚本を担当した山田正弘さん(故人)が原稿用紙に鉛筆で書いたもので、タイトルは「カネゴンの大冒険」となっている。
放映では、カネゴンに変身した少年は、警察官や銀行員らとすったもんだの末、人間の姿に戻った。一方、草稿の中のカネゴンは落ちていた小銭を食べ、それが家出少年の電車賃だったことを知り、「大いに困ってオロオロ」する。仲間の少年に腹の上に乗ってもらい、金をはき出そうと試みて「額からたらたらとあぶら汗」「大粒の涙がポロポロ」。それでも「家に帰んなくちゃダメだってば」と家出少年を諭す。放映こそされなかったが、思わず噴き出してしまうようなユニークな場面の連続だ。
警察に追われ、デパートに逃げ込んだカネゴン。屋上のアドバルーンにつかまり、空を飛んで逃げる。アドバルーンの垂れ幕には、「カネゴンよ、どこへ行く?」の文字が。ここで次回へ続くとしている。いずれも、放映された「繭」にはないシーンだが、カネゴンと少年たちの様子が生き生きと描かれている。
中川さんは「怖い怪獣が定番だが、逆手にとって、『なぜ自分は怪獣になってしまったのだろう』と悩んでいるような怪獣を作りたかった。スタッフと大笑いしながら、カネゴンのイメージを考えた」と当時を振り返り、草稿が本棚に残っていたことについては「気に入った原稿や台本だけは取っておこうとしたのだと思う」と話す。
同展は9月10日まで。
(2006年7月19日 読売新聞)