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(回答先: 試合もドイツも面白かった/後藤健生 投稿者 white 日時 2006 年 7 月 12 日 08:54:36)
□ジダンの頭突きが傷つけたサッカーというスポーツ [ワールドサッカープラス]
http://www.sponichi.co.jp/wsplus/column_wc/08847.html
ジダンの頭突きが傷つけたサッカーというスポーツ
[06.07.12]
Text / ROBERT MILLWARD
(C) AP
ジネディーヌ・ジダンは、彼のチームだけでなく、スポーツとしてのサッカーそのものも傷つけた。
最後の偉業を成し遂げる代わりに、ジダンはイタリア代表DFマルコ・マテラッツィの胸に激しく頭突きし一発退場となった。フランスの英雄はこうして不名誉な形で偉大なるキャリアの幕を下ろすこととなった。そして今大会のW杯で飛び交ったレッドカードの数は史上最多となる28を記録した。
何がジダンをそうさせたかは今の時点ではまだ分かっていないが、今大会のMVP獲得は少なからず慰めになったことだろう。しかし、W杯決勝の延長後半に起こったこの出来事は、1994年大会に起こったディエゴ・マラドーナのドーピング違反と同じく、人々の記憶に長く残ることとなるだろう。
ジダンが頭突きしたというショッキングな出来事のせいで、イタリアの4度目となるW杯優勝はすっかり影が薄くなってしまった。世界で最も人気のスポーツであるサッカーは、新しいチャンピオンを迎えて若干の活気を得ていた。日曜日に行われた決勝戦でイタリアは1−1の延長の末、PK戦を5−3で制し、1998年大会の優勝チームであるフランスを下した。王者ブラジルにとって代わるチャンピオンとなったのだ。
しかし開催前は今大会について、より期待されている魅力的な筋書きがたくさんあったはずだ。リオネル・メッシ、ウェイン・ルーニー、そしてアンドリー・シェフチェンコらにとっての初めてのW杯であったし、ブラジル、アルゼンチン、そしてイングランドは多くのタレントを抱えていた。アフリカ予選を勝ち抜いてきた初出場の国々はカメルーンやナイジェリア、セネガルなどが過去に成し遂げてきた成功に追いつこうと意気込んでいたし、アジアの国々は4年前に準決勝まで進んだ韓国にならい、目標を高く持っていた。そして米国は2002年大会の準々決勝進出国として、その驚くべき成功を土台に今大会に臨んでいた。
しかしそれら全ての国々は早々に敗退し、W杯は内輪の大会、すなわちヨーロッパの会場で行う、ヨーロッパのチームだけのものへと逆戻りした。
ガーナは5カ国出場したアフリカ勢のうち、グループリーグを突破した唯一のチームだった。4カ国出場したアジア勢はどこも決勝トーナメント進出まで辿り着けなかった。1974年大会以来2度目の出場となった、フース・ヒディング監督率いるオーストラリアが唯一の光明であったが、イタリアと対戦した決勝トーナメント1回戦、後半ロスタイムでのPKによって大会から姿を消すこととなった。ブルース・アリーナ監督率いる米国は初戦でチェコ相手に0−3と惨敗した後、健闘をみせてグループEを混戦に持ち込んだが、結局決勝トーナメント進出には至らなかった。
アルゼンチンはグループリーグ第2戦でセルビア・モンテネグロを6−0で撃破し、優勝候補の筆頭に躍り出たが、準々決勝で復活を遂げたドイツ相手にPK戦で敗れ、大会を後にした。ブラジルのスター選手、特にロナウジーニョは、大会前の所属クラブでベストコンディションを迎えてしまっていた。ロナウドがW杯通算15点目を挙げ、ドイツの英雄ゲルト・ミュラーの記録を塗り替えたものの、ブラジルは他の何も成し遂げることなく準々決勝でフランスに敗れ去った。
準決勝へ到達する頃には、ドイツ、イタリアそしてフランスはより強いチームに仕上がっていた。
準決勝でドイツとイタリアは素晴らしい戦いを見せた。ホスト国のドイツは延長戦の終盤3分で2ゴールをイタリアに与えてしまい決勝進出とならなかったが、3位決定戦では3−1でポルトガルを下して見事3位の成績で大会を終えた。4年前の大会でブラジルを4度目のW杯優勝へ導いたルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、今大会ではポルトガルを率い、準々決勝でPK戦の末イングランドを下してW杯通算不敗記録を12に延ばした。しかしその後、準決勝ではフランスに、3位決定戦ではドイツに負け、連敗を喫してしまう。
選手への規律とそれに対処するレフェリーの葛藤は、今大会において大きな影を落としていた。醜い振る舞いはスタジアムの外ではなく、むしろフィールドの中で行われた。ドイツ在住そして海外から訪れた何万ものファンは、暴力で大会を破壊することよりもむしろイベントを楽しむために集まっており、警察やドイツ政府は彼らを拍手喝采で迎えた。
しかしフィールド内に目を向けると……決勝でジダンに課されたレッドカードは64試合ある大会において28番目となった。決勝トーナメント1回戦のポルトガル対オランダ戦で出された4枚のレッドカードはW杯記録となり、イタリア対米国戦ではわずか47分間で3人の選手が退場となった。
2010年にW杯は南アフリカで開催されるが、深刻な公共交通機関の不備が取り沙汰されているなか、その地に堕ちたイメージを払拭するべく大きな挑戦に臨まなくてはならない。
問題はサッカーの試合そのものに留まらず、国際サッカー連盟(FIFA)にまで及ぶ。重役のひとりであるボツワナの役員が6月15日のグループリーグ、イングランド対トリニダード・トバゴ戦の観戦チケット1ダースを額面の3倍で売ったとして告発された。FIFA自体は特にテレビ放映権によって多大な利益を得ており、W杯でプレーできる見込みがまったくない国々に対して、どうやったらサッカーがより良くオーガナイズされるかを指南することに力を入れている。しかし、貪欲な選手たちやクラブオーナー、無気力な監督や無定見なレフェリーと、問題は山積している。
今回のジダンの頭突きでサッカーの印象はさらに悪くなったと言えるだろう。ジダンはその素晴らしい経歴に完璧な結末を書き添える機会があったはずだ。しかし彼は望みどおりの結末を迎えることさえできず、自身がやったことの代償として退場を言い渡され、人々に大きな衝撃を与えたのだ。
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投稿者 white 日時 2006 年 7 月 12 日 18:35:27: QYBiAyr6jr5Ac