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□ファン・バステン監督に対する論評の変化。2008年欧州選手権への課題
http://wc2006.yahoo.co.jp/voice/nation/hori/at00009875.html
第5回 ファン・バステン監督に対する論評の変化。2008年欧州選手権への課題
「まったく不要。奇妙な終焉」(アルへメーン・ダッハブラット紙)
「バトルの末の涙」(テレグラフ紙)
オランダ対ポルトガル戦の翌日。6月26日付けの新聞の見出しだ。あれから一週間ほどがたった。日本でもそうだろうが、ここオランダでもすっかりワールドカップの熱狂は静まっている。とはいえ、日本では露骨というか、まるで今大会のことはなかったかのように、むしろすでに次のワールドカップに向けた話が着々と進んでいるくらい、ということらしいのだが(そうなの?)、こちらはそこまでのことはない。理由のひとつとしては、期待と結果がそれほど違わなかったことがある。以前このコラムで紹介したアンケートを例に取れば、初戦の前に、「最低ベスト4まで行く」の問いにYESと答えた人は54.6%だった。結果は、トーナメント1回戦敗退。まあ、そういうことだ。
■ファン・バステンに対する批判記事
ただ、大会以前と以後で、代表を取り巻く論評に変化が出てきている。ファン・バステン監督に対する批判記事が載るようになってきたことだ。
「シャープなコーチングと選択を見せていたが、ポルトガル戦では間違いを犯した。イエローをもらっていたブラフルースを残し、マタイセンを交代させた(その後ブラフルースは退場に)。そのために後手を踏むことに。2008年欧州選手権へ向けて彼自身、成長しないといけない。2010年まで契約を延長するのは、まだ早い」(テレグラフ紙)
「ワールドカップを終えて、彼は監督として40試合の指揮を執ったことになった。ポルトガル戦が、ノックアウト形式の試合で指揮を執る始めての試合となったが、代表が一番必要としたときに、試合中に修正できなかった」(アルへメーン・ダッハブラット紙)
「まるで、みんなブレーキを外したかのように」。ファン・バステン監督は帰国後の会見で、いつものように落ち着いた様子で反論した。「ほとんどは大げさだ。私はできることをやっていく。みんなが残念に思っているのは分かっている」
「今回が失敗だとは思わない。もちろん6週間の間にはミスもあった。ただ、トレーニングもシャープだったし、ちゃんと考えた上で選択していた。今大会で、私たちのセレクションには、まだ足りないことがあることがよく分かった。優勝できなかったのだから、何かが足りなかったということ。強い相手と対戦するときには、現実も直視しないといけない。好奇心があり、規律のあるグループと働くことができた。この雰囲気を次のトーナメントまでもっていきたい」
■中盤は及第点に達していない
ファン・バステン監督は契約を延長した。次は2008年欧州選手権の予選に挑むことになる。今大会で見えた課題を修正していくことが求められるが、課題はどこだろう。テレグラフ紙は下記のように指摘する。
「中盤の混乱が首を絞めた」(6月28日付け、テレグラフ紙)――ファン・バステンはオランダ代表が成長しているという意見だったが、ドイツでそれは見受けられなかった。最初の2試合こそ、ロッベンとファン・ペルシのプレーに成長視しているという意見につながりはあったものの、ほとんどの試合で、支配し攻撃するというプレーはしていなかった。中盤での混乱、よりによって一番重要なラインが、この経験の少ないチームの首を絞めた。
攻撃的といわれるオランダだが、ファン・バステン監督は、非常にバランスを重視している。実際に今大会でも失点はわずか2。守備面では一定の成果を挙げている。攻撃面ではロッベン、ファン・ペルシのウイング2枚が完全に飛躍を果たした。CFは誰に、という問題もあるが、こればっかりは、カイト、ファン・ニステルローイ、そしてフンテラールあたりでその時充実している選手を選ぶしかない。
あとはやはり、中盤の構成だ。今大会では、ゲームをコントロールする点においても、決定力においても、創造性においても中盤は及第点に達していない。この点、なかなか根が深い問題で、オランダではダヴィッツが必要だったのでは、といまさら言われているほどだ。だが、ポルトガルのデコのような、決定的な存在が見当たらないのは確か。ファン・デルファールトの復調に期待するのか、スハールスといった若手を抜擢するのか。今後のファン・バステンのチーム作りには、そのあたりを注目して見るのもいいかもしれない。
(フットメディア)
堀秀年(ほり・ひでとし)
1974年、愛媛県生まれ。ロッテルダムに居を構え、新聞社の通信員として、オランダサッカー、特に平山相太を中心に取材中。