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投資事業組合の情報開示――出資者見えず健全性課題(新興市場トピックス)2006/05/02 日経金融
投資家保護に自主規制導入も
東京証券取引所マザーズに上場していたライブドアが、証券取引法違反の発覚で上場廃止になった。この事件で注目された投資事業組合(ファンド)の扱いが、新興企業向け株式市場を運営する取引所に波紋を広げている。ファンドを割当先として増資などを行う企業が新興市場には多いが、従来の開示ルールでは投資家への情報開示が不十分だったからだ。
東証は四月二十八日、上場制度改善に向けたパブリックコメントの募集を終えた。募集の前提として、健全性確保や透明性の向上、不正行為の未然防止などの課題を示した全十枚からなる「ディスカッション・ペーパー」を三月末に公表。その一部でファンドを割当先とする増資や新株予約権の発行にも触れている。
東証が主に念頭に置くのは、ファンドに株式などを有利発行する新興企業だ。「業績の悪化などで資金繰りが厳しくなると、市場の株価よりも割安に発行して資金を集める企業が新興企業には多い」(東証)
新興市場ヘラクレスを運営する大阪証券取引所も、ファンドに対する株式割り当てなどを問題視し本格的な議論を始めている。発行体にファンドとの関係や、そのファンドに割り当てる必要性などを問うと同時に、ファンド側にも短期・長期といった投資スタンスなどを問うことが可能かどうかを検討している。
取引所が問題視するファンドは、民法上の任意組合と商法上の匿名組合などだ。出資者の匿名性が認められており、出資者名や出資割合は組成者や組合員以外には知らされない。
ファンドが「(発行体の)取締役会を支配する大株主になることが多く、どこの誰がファンドの出資者なのか分からないと、投資家にとって投資判断の材料が十分に足りているとは言えない」(東証)という問題をはらむ。
ライブドア事件では憶測を含め、事件に関連するファンドへの出資者として、様々な人物が当局や証券関係者の間で取りざたされた。政治家、反社会的勢力などだ。
大株主のファンドに反社会的勢力などが出資しているとのうわさが広まれば、その真偽にかかわらず、業績とは無関係に株価が騰落する可能性がある。ネットを駆使するデイトレーダーの増加は、リスクをさらに増大させる。
そのリスクは発行体だけでなく、ファンドへの出資者側も意識し始めている。
「ライブドア事件を見て、組合に出資するのが怖くなった」。セレブリックス・ホールディングスの桜井富美男社長は語る。同社は、ソフト開発のアルファ・トレンドが組成したファンド経由で、映像・出版業のアーティストハウスホールディングスへの出資を決めていたが、その出資は一月下旬、ライブドア事件を受けて空中分解した。
「結果的に出資しなくて良かったのかもしれない」と桜井社長が語るのは、ファンドへの共同出資者が詳しく分からないからだ。一般に「我々の知らない個人名も出資者リストに入っていることがある。その人の経歴までは把握できない」(桜井社長)。実際、セレブリックスには株主からファンドに関する問い合わせが殺到したという。
出資を公募するファンドの情報開示を厳格化することを含む金融商品取引法案が三月に国会に提出された。順調に進めば五月中にも成立する。「全出資者ではないが、大口の出資者名などを開示項目に入れることを、法案成立後に政省令に盛り込むこともありうる」(金融庁)という。
東証やジャスダック証券取引所はこの法令の規定がどこまで踏み込んだ内容になるかを注目しており、各取引所の開示ルールにも反映させるとみられる。ただ出資者名の公表が、出資者五十人以上の公募ファンドに限定されれば、投資家保護の改善の範囲が狭まる。
見えないリスクを極力減らすことが、投資家保護の改善に寄与するのは明らか。健全性を維持しつつ、より多くの投資参加者と上場企業を呼び込むことを狙うならば、法令の範囲を超えた自主規制を導入することが必要という指摘も出ている。(黒沼勇史)
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