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http://nikkeibp.jp/sj2005/contribute/f/04/index.html より引用
吉田 繁治氏(経営コンサルタント)
第4回
ライブドアのビジネスモデルとは何だったのか(4)
〜完結編:同社のビジネスは10億枚の株券販売だった〜
【ライブドア事件】
ライブドア事件の本筋は、政治家そして、MSCBでニッポン放送買収の資金800億円を出したリーマンブラザーズ・アジアリミティッド(所在地:香港)や他の外資ファンドとの関係です。
(注)MSCB
MSCB(Moving Strike Convertible Bond)は、一言で言えば、転換価格を修正できる、新株予約権つきの転換社債です。株価が安くなっても転換価格を修正できる約定つきです。
引き受け先(リーマン等)にとって株価下落リスクは少なく、他の株主にとっては、転換される新株数の増加によって利益が希薄化する可能性があるものです。
資金繰り難の会社が発行することも多く、転換社債の引き受け元が空売りをして株価を意図的に下げ、転換する株数を増やことがあります。MSCBは悪用すれば、株主の利益を食うことがあります。
いずれにも「怪しさ」がからみます。しかし、現在までの摘発の展開を見るとそこまでは明らかにならない感じもしています。
ライブドア事件は、2001年の株式分分割を認めた商法改正、そして個人株主をふやすための証券の制度改定、規定の「ぬけ穴」をぎりぎりまで利用したものです。
「普通は、名誉ある上場会社ならそこまではやらない」というところを、犯罪と認定されないだろう、チェックから漏れるだろとうという判断によって「気楽に」超えています。
気楽な理由は、今回示す、粉飾の裏のスキーム(仕組み)がばれないと思っていたからでしょう。
適法ですれすれの手法が、ワンセットで見えます。ライブドア以外にも、似た方法をとっているところがあるはずです。
たとえばサッカーというゲームでも、ルールの間隙をぬって有利なことを狙うことはあります。ビデオのスロー再生でみればルール違反であっても、審判が気が付かねば、得点も正当化されます。
【犯罪】
確かに世間のルールは、「摘発されなければ、犯罪ではない。」 犯罪の意図がなければ、損害賠償の責は負っても、刑事的な罪は軽い過失ともされます。
【時代変化】
2001年は、「麻痺していた銀行融資の『間接金融』から、証券市場による『直接金融』」に移行させるための諸制度の改革がワンセットになって施行された年でした。
【方法】
金融では、実に、いろんな方法があります。専門に法の抜け穴を探す人も多い。
犯罪かそうでないか、すれすれです。金融機関や会社が破綻したとき、多くの代表者と関係者が摘発される理由でもあります。
経営者の名誉心が悪性の虚栄に変わったとき起こります。
克己の動機や事業発展の契機もなることがある虚栄は、否定すべきものではありません。犯罪になるのは、他人(今回は22万人の株主)に偽の情報を与え、法を犯しても自己利益を優先するという一線を超え「あちらに行ってしまった」ときです。
【記述目的】
本稿の目的は、2000年ころからわが国でも広く始まっている、金融に絡む「いろんな方法」の例を示し、見極める知識を持つことです。ライブドアは事例です。
堀江氏は外人記者クラブで言っていました。「世界の、頭のいい人はいろんな方法でごまかしていますよ。みなさんが、それにひっかからないように・・・」 株主をひっかけたのは、当人でした。
05年末の株主総会での、ある株主からの「創業以来、一回も株主配当をしていない。経営者が自己利益を図っている。」という質問のときでした。
堀江氏は「私は、そんな人間じゃない。そう見られるのは辛い。」と言い、壇上で言葉に詰まって涙を流します。
そして「株を上げ、みなさんの利益を増やすことが、私がやっていることの目的です。」という趣旨の弁明をします。
【今後も】
今後も、証券や金融では、詐欺、違法、脱法すれすれのことが、いくらでも起こるはずです。
理由は、金融と税法そして会計の行政には、本質的に当局の恣意が含まれるからです。加えて今は、日本の検察が摘発しにくい海外ファンドも入り込んでいます。
それぞれの時期で、犯罪や違法とされることの重点が変わります。経済法は、安定性のある刑法とは性格が違います。
そのためあるときは合法の節税、そしてそれが目立ち法や判例が変われば、違法の脱税になる。逆は、利益粉飾です。
【含まれる外部】
日本の社会の国際化で、法と価値観を異にする「外部」が含まれつつあります。共同体の内部慣習、内部倫理が破壊される過程で、いろんな妙なことが起こっていますね・・・
そしてこの国の内部慣習そのものも、一例をあげれば建築の談合、偽装、官僚2万人の天下りで、腐臭を放ちます。
憲法に言う「公正と信義を信頼し」では、不十分になりました。国の防衛も、です。
<完結編:ライブドアのビジネスは10億枚の株券販売だった(4)>
【目次】
5. 株価が上がる株式分割を戦略とする
6. そこで・・・「投資事業組合」を使う
7. たとえばこんな方法が・・・
8. 「60億円の架空取引の純益」が1800億円のマネーに化ける乗数の仕組み
9. 結論:時価総額は会社の負債
5.株価が上がる株式分割を戦略とする
▼証券制度の遅れが「分割=買い」を生んでいた
前号で予定したように、本稿では、
・株式分割、
・投資事業組合、
・プライベートバンクの悪用について述べます。
まず株式分割から。いずれも基本的なことを確認しながら、記述します。
たとえば1株に10万円の価格がついている株を100株に分割すれば、1株は100分の1の1000円に低下するのが当然です。
株式分割の目的は、高い1株を分割し、買いやすくすることです。株式分割は、株の価値を上げるものではありません。
(注)株式分割は、01年の商法改正で、取締役会だけの決議があればできるようになっています。しかし極端な数への分割が多くなり、株価が乱高下する弊害が目立ったので、現在は「5分割以上の分割」は分けて行い、自主規制するよう東証が要請しています。
株式分割のとき、多くが一時的には価格を上げています。理由は2つです。
(1)たとえば100分割によって、1株の価格が100分の1に下がる。多くの人が買いやすくなるだろうと期待が高まる。その期待から、実際に多くの人が買い、株価が上がる。
「市場の期待を予想し、売買する」ことです。
つまり予想の予想・・・という連鎖。
(2)株式分割ができる会社は、積極的なM&Aや投資などを行うというマーケットの期待がある。そのため株価上昇に期待がもてるとして、買いが増える。
加えて、当時は分割された株券を発行するのに約50日かかっていました。一時的にマーケットで流通する株が不足し、増えた買いに対し、価格が上がるという現象がありました。(多くの報道があったのでご存知でしょう)
分割の際、この間隙を狙って買う人も多いのです。分割発表後に売りに出せば、巨額な利益も得られていました。
実際に分割後の株券が発行されると、株価は次第に落ち着きますが、それまでは瞬間的な高騰が起こっていたからです。
(注)06年1月に、東証は、分割された株を翌日には流通させるよう制度改正したため、05年までのような「分割にからむ変な値動き」は起こりにくくなっています。
05年までの、株式分割に特有の乱高下する価格形成を、狙って利用したのがライブドアです。(01年〜04年)
理由は、「あらゆる手段を使い株価を上げること」をライブドアが経営目的としていたからです。ライブドアは、創業時の1株を合計で3万株にまで分割しています。
地検特捜が入る直前は、1株750円(約10億株:時価総額7500億円:06年1月)でした。(注)2月16日は87円です。
株取引に違法が絡みやすくなる理由は、株価は「情報」で動くからです。情報操作で株価を上げる行為が、出ます。証券詐欺です。
▼市場変化を見て利用するセンスはあった
堀江氏が求めたのは、小額投資の個人投資家です。
(1)01年ころからのインターネット取引の開始で、個人投資家の小額買いが増え、
(2)企業の資産と将来利益を分析的には見ず、株を買うことが多いと知っていたからです。
1株500円なら5万円で100株を買えます。5万円くらいの小額なら、話題をつくれば、皆が買うと考えます。
堀江氏はこうしたセンスをもっています。
ライブドアの貸借対照表や損益計算書、そして有価証券報告書を読めば、3万分割した1株(10億株)が750円というのは高すぎる株価です。
創業当初の1株は750円×3万倍=2250万円に化けています。
100株(額面価格で500万円の創業時の出資金)が22億5000万円になっていました。これに誘惑を感じない人はいないでしょう。
(注)時価総額は7500億円(10億株×750円)でした。
しかしデイトレーダーにとって、時価総額や理論価格は関係がない。問題にするのは、今日の値動きだからです。(詳細は前号)
ボラティリティ(株価の変動幅=標準偏差)が大きな株は、長期で会社に投資を行う人は、リスクが高いので避けます。
前々回で述べたDCF(将来の予測キャッシュフローを、金利とリスク率で割り引いたもの)を含む、ファンダメンタルの長期計算で理論価格を計算し、理論価格と市場価格に乖離(かいり)があるとき買うことが多い。ウォーレン・バフェト等の方法でもあります。
しかしデイトレーダーは、会社財務や予測利益のファンダメンタルには関心がない。
【方法】
「昨日の株価は、昨日までの情報をすべて織り込んでいる。従って、昨日の株価は、昨日までの完全情報で、均衡している。今日は、新しく値動きが始まる。」
これが、インターネットで回転売買を行う人たちの、根底での見方です。
ライブドア(CFOの宮内氏とCEOの堀江氏)は、「個人が小額の資金で、一日に何回もの回転売買をするようになった01年以降の、新しい株式マーケットの性格」をよくつかんでいました。
(1)インターネットで売買をするようになった400万人が誰でも買えるように株式を分割し、1株当たりの価格を下げる。
(2)買う人が増える。
(3)株価は上がる。
ライブドアの個人株主数は、1株が1000円未満と安いため、しかも1株単位で買えるよう単位株を1株にしているため、22万人にもなっていました。60%の株は、個人株主が持っていました。
これが新しい「インターネットモデル」だったのです。新興会社の多くがこの方法を使っています。
【分割は時価総額を上げていた】
例えば1株を100株に分割します。分割後の1株の価格が、50分の1で落ち着くなら、時価総額は分割前の2倍になります。
株式の分割は合法であり、ライブドアの極端な分割戦略(10億株)は、「時価総額の大きな増加」となって成功します。
17%の筆頭株主である堀江氏は、合計3万倍の株式分割とM&Aによって、1000億円を超える資産を手にしていました。
M&Aと株式分割によって、ニッポン放送買収でマスコミに登場していたときの時価総額は、1兆円(=1000円×10億株:04年7月)にもなっていました。
1000億円が個人資産になったとき、どんな心理と行動をとるかの一例は、堀江氏の言動をみれば分かるでしょう。
去年までは普通だった人が、「全能症候群(オムニポテンス・シンドローム)」に陥ります。そして自己抑制が、難しくなる。「お金ですべてが買える」と言った理由がこれです。
▼M&Aの根本が、ダメだった
しかし・・・成功しなかったのは、肝心要の、M&Aです。本体のライブドア事業が赤字で、買収会社も利益がなく、営業上の損失が増えていからです。
これでは、ライブドアの経営目的である株価維持に障害が出ます。
赤字会社のM&Aでライブドアの連結利益がどんどん減れば、「株券を現金に換えるビジネスモデル」は崩れます。赤字なら株価が下がるからです。
公表した次期予想利益は「何が何でも、作らねばならない。」 これが至上命令です。そのため違法な利益粉飾を行います。
上場企業の経営者を縛るのは「次期予想利益」です。大きく下回れば、株価上昇を期待する株主からの糾弾を受けます。
6.そこで・・・「投資事業組合」を使う
【普通の方法】
前々号で述べたLBO(相手資産を担保にすることによるM&A)で使われた「投資事業組合(ファンド)」は、相手会社をM&Aした後には、本体の会社と合併させます。
ところが合併させる方法をとれば、本体の利益も減って、株価を上げるM&Aの目的が果たせません。
合併(連結)で決算すれば、赤字があらわになるからです。
ここが、犯罪的な取引が始まる起点です。
▼偽装
赤字を避けたいライブドアは、投資事業組合を、連結(=異なる法人の連結決算)の対象外としておかねばならない。
ライブドアが、M&Aを仕掛ける投資事業組合に出資してはならないということを意味します。投資事業組合の本当の出資者を、他の人や外資を含む他の会社であるとして、偽る必要があります。
さて・・・どうするか?
6段階にわけ、順を追って示します。
以下は「たとえば」ということで、注意しながら書きます。合法的な範囲なら、普通にプライベートバンク等や外資が行っています。(念のために申し添えておきます。)
第1段階:プライベートバンクに、名義が見えない「番号口座」を作る。
第2段階:租税回避地に、ペーパーカンパニーを作る
第3段階:仮の代表者と株主を依頼する
第4段階:ペーパーカンパニーに、プライベートバンクの番号口座に預けていた送金する
第5段階:租税回避地のペーパーカンパニーの内容
第6段階:ペーパーカンパニーから投資事業組合に出資させる
目的は、ライブドアと投資事業組合の関係を、見えないようにすることです。さらにその目的は、脱税ではなく逆の「ライブドアの利益粉飾」のためです。利益粉飾のほうが株価が上がって、利益が大きかったからです。
以降では内容を示します。
▼第1段階:プライベートバンクに「番号口座」を作る。
違法なマネーロンダリングや、脱税の資金洗浄と見なされない限り、スイス・ロンドン・香港等の信頼できるプライベートバンクも、数千万円から1億円の預金があれば、口座を開いてくれます。
名義が見えない口座番号だけの預金口座も認められています。
(1)プライベートバンクに「口座番号だけの預金口座」を作ります。
↓
(2)個人の課税済み所得・預金・株の売却代金の中から、100万円くらいに細かく分け、いろんな銀行から(たとえば)1億円くらいを送金します。または、何らかの方法で現金を持ち出します。
「課税済みの所得や預金」または「違法なマネーでなければ」、98年以降、日本でも資本移動は自由化されていますから、いくらでも海外の口座に、米ドルなどで送金ができます。
ここから、世界の資産家やファンド等が「とっていることもある方法」が開けます。(書き方に注意が要りますね)
単純化して、順を追って書きます。
(注)香港、スイス、ロンドンのプライベートバンクには、怪しいものを含め、いろんなものがあります。もともとの性格は、財産の保全を目的とする「私的な銀行」です。ファンドと言ってもいい。
▼第2段階:租税回避地に、ペーパーカンパニーや組合を作る
預金したプライベートバンクに頼んで、オフショア(法的に海外)のタックスヘブン(租税回避地)に会社を作ります。
20万円〜50万円の手数料でパーパーカンパニーを作ることができます。これを行ってくれる、様々な代理人がいます。(東大卒の某氏とされて、明らかになっていますね)
(注)金融のグローバル化は、本国からの課税を回避するための租税回避地を、多く作らせることにもなっています。タックス・シェルターとも言います。
▼第3段階:仮の代表者と株主(または出資者)を依頼する
ペーパーカンパニーの代表者と100%株主は、しかるべきプライベートバンクに依頼すれば、若干の手数料(1年、1人20万円くらいから)で引き受けてくれます。(注)目的が合法なら、引き受けてくれることも、あります。
税逃れなどの目的で悪用して使うなら「仮名口座をもつ仮名会社や匿名組合」になります。(脱税マネーや犯罪マネーなら違法です)
もちろん仮の代表者との面識はない。ヘンリーやベンジャミン、あるいはワンさんという名前があるだけでどこの誰か分からない人が、タックスヘブン(租税回避地)に作った会社の100%株を持つ株主になります。
香港の摩天楼には特に多いようです。もちろんNYのウォール・ストリート、ロンドンのシティ、スイスのチューリッヒでも・・・
資本金や出資金は$100でもいい。名義を貸す代表者本人の関与は、なにもない会社です。
ヘンリーさんが実在していて、預金を持ち出そうと思えば可能です。しかしそれは、しないことになっています。
仮の代表者が悪人であれば、預けた財産はどこかに消えます。
紹介するプライベートバンクは、保証まではしません。プライベートバンクは、金融の仁義で成立しています。
フェース・トゥ・フェースの取引であることが基本です。スイスまで行かなくても、香港にはスイスのプライバートバンクの支店があります。
▼第4段階:そのペーパーカンパニーに送金する
プライベートバンクに預けた1億円の預金を、今度は、租税回避地に作った新しい会社に送金してもらいます。
預金口座に登録したサインのある送金依頼票を送れば、プライベートバンクはどこへでも送金してくれます。
海外(または法的な外国であるオフショア)でのことですから、日本の税務当局は、犯罪でもないかぎり普通は情報開示を要求はできません。また、元本の資金が課税済みであれば、分かっても問題はない。
その会社か組合は、1億円の金融資産をもつことになります。もちろん10億円、100億円、1000億円でもいい。
このマネーを動かすことができるのは、当人のサインです。(仮の代表者は、名前だけのものです。)
▼第5段階:租税回避地のペーパーカンパニー
内容は、どこの税務当局からも調査されることはありません。他とは関連が見えず、独立した会社になっているからです。
こうした租税回避地のペーパーカンパニー間での資金移動を、何重にもかませます。わけがわからないようにするためです。
▼第6段階:投資事業組合に出資させる
それらの、内容が見えなくなった租税回避地のペーパーカンパニーに資金を集め、そこから、国内に作った「投資事業組合」に出資させます。
これによって(たとえば)もともとの資金を出したライブドアや個人と、東京に、正当に作られた「投資事業組合」の間の、出資の関係が見えなくなります。知っているのは、関係した当人たちだけです。
プライベートバンク等からの、定期的に送られてくる資金移動表や残高証明は、海外の私書箱などに送ってもらうようにします。
ライブドアや個人との関係を示す証拠になる紙を残してはいけないのです。ファイルに記録が残るインターネットも、使いません。
ぺーパーカンパニーのお金を、自分が利用するときは、発行される(こともある)クレジットカードが使えます。これは普通のカードとして世界中の店舗や金融機関で通用します。
世界の無数にあるファンドは、少なからず、こうした方法をとっていることがあります。
(注)日本の株の「外人買い」も、タックスヘブンの投資事業組合・ファンド・会社からの買いが大きいのです。米国への資金の流れも、租税回避地であるカリブ海からの分が、1年で10兆円以上と言われます。
▼(注)犯罪的な行為もある
脱税の資金や、犯罪で違法に儲けた資金なら「マネーロンダリング(資金洗浄)」になります。
【世界で120兆円のマネーロンダリング】
マネーロンダリングの資金残は、世界で120兆円分もあると言われます。これは、21世紀的なことです。
アラブ、ロシア、中国、香港、シンガポール、北朝鮮、西欧、米国、南米等の資金も混じっているでしょう。偽札のドルを、洗浄することもあるようです。
120兆円は、世界の株価を動かせるくらい巨額です。
日本からは、違法なマネーロンダリングで年1兆円分が、増加資金となって含まれるようです。ようですという理由は、こうしたアングラマネーは推計しかないからです。
(注)アングラマネーではありませんが、世界の株価を変動させているヘッジファンド(オフショアと租税回避地を使うことが多い)の資金は、元本総額で100兆円です。
7.次は、その投資事業組合を使って、
どこかの会社をM&Aする
こうした準備の後、実行するのが、
(1)投資事業組合を使ったM&A(買収併合)と、
(2)M&Aとほぼ同時の、株式分割の発表です。
以降では、6段階の操作のあとの、3段階を示します。
▼第7段階:投資事業組合に、M&Aをする相手会社の株をあらかじめ買わせておく
【ライブドアとの関係が、表面上は見えなくなった投資事業組合に、相手会社をM&Aをさせる方法】
そして・・・租税回避地のペーパーカンパニーから出資した投資事業組合に、M&Aの対象会社を買収させます。
買収相手の会社には、変更があって、「外資の投資事業組合」が、現金で買う旨を説明します。それが有利だとも説明します。
しかし現金の支出は要りません。相手が承諾すれば、投資事業組合にもたせたライブドア株式との交換でもいいのです。
投資事業組合にライブドアが直接に出資してれば、関係会社になります。出資は「租税回避地のパーパーカンパニー」からさせています。ライブドアや幹部と、その投資事業組合の関係はないように偽装されています。
投資事業組合が、マーケットでライブドアや他の株を買ってもまったく自由です。
この投資事業組合は(今はまだ)任意団体とされ、情報開示の義務はありません。
M&Aのときの株の交換比率の計算は、親しい公認会計士に頼みます。(ここにも粉飾が絡みます)
▼第8段階: ライブドアが、M&Aと株式分割を発表する
そして、このM&Aの発表とほぼ同時に、ライブドアと相手会社は、たとえば100倍への株式分割をマーケットに公表します。
【第8段階の(1):株式分割とM&Aの発表で株価が上がる】
市場は、普通、株式分割とM&Aを好材料と見ます。あらかじめ株式交換で買収した会社の株とライブドアの株価が、たとえば2倍に急騰したとします。
投資事業組合には、持ち株が高騰して含みの利益が出ます。
【第8段階の(2)高くなった株を証券市場で売る】
投資事業組合は、高くなった株を市場で即座に売却し、現金を得ます。(これは完全なインサイダー取引です)
投資事業組合には、株式売却益が、現金で貯まります。
▼第9段階:ライブトアの利益を粉飾するのに使う
次に、ライブドアは、連結対象にならない任意団体である投資事業組合に対し、請求書を発行します。
名目は何でもいいのです。たとえば、投資のコンサルタント料やシステムの開発費です。
こういったものには固定した値段がありません。投資のアドバイス料や他の名目で、ライブドアが1億円、10億円の請求書を発行しても、変ではない。
この方法で、投資事業組合が持つ株の高騰利益を、ライブドアが吸収します。
たとえば10億円の請求書を投資事業組合に発行します。ライブドアに、組合から10億円を入金させれば、これはそのままライブドアの利益です。
架空取引ですが、ライブドアへの10億円の現金の入金はあります。ライブドアの、10億円の偽の利益(粉飾)になります。
(注)実際の粉飾方法は多様で、もっと多額ですが、ここでは仮に10億円とします。
現金の入金ができないなら、未収入金や売掛金も使えます。ライブドアは、経費がほぼゼロの売り上げを得ることになります。(これは、株価の上昇分から、投資組合が得たマネーです)
以上の結果を見れば、
・株を分割して上がった分が、
・ライブドア本体の営業上の利益に化けています。
無から、ライブドアの粉飾の事業利益が生まれています。
そして・・・ここで終わることはないのです。次が、もっと重要です。
(注)この項は、ライブドアを想定事例に、投資事業組合とプライベートバンクを悪用する人たちの一例を書いています。
実に、いろんな方法があります。悪用する人が少ないことを、希望します。合法的なことをしている人が多いのは、確かでしょう。
8.「60億円の架空取引の純益」が
1800億円のマネーに化ける仕組み
以上のような、怪しい投資事業組合の仕組みを作り、様々な方法で総額100億円の利益粉飾があったと仮定すれば、税引き後の純益は約60億円です。
株式市場は、ライブドアのPER(=株価÷1株あたり純益の倍率)が過去のように30倍水準なら、純益60億円×PER30倍=1800億円の時価総額の追加として評価します。
(注)100億円の粉飾額は仮定です。まだその総額は明らかではありません。
▼60億円の粉飾利益で1800億円の時価総額が増える乗数効果
予想純益の粉飾による増加60億円×PER倍率30倍
↓
時価総額の増加1800億円(粉飾による株価上昇分)
ライブドアには、マーケットのからの成長期待があり、PERは30倍くらいでした。(東証一部は今、平均予想PERが23倍くらいです)
PERの乗数効果で、100億円の違法な架空売り上げ(利益粉飾)が1800億円の株価の時価総額に化けます。
1800億円は株、価の上昇分です。ここまでは誰も損をしていません。ライブドアの他の株主も、株価が上がって利益を得ています。
(注)損をするのは、粉飾が明らかになり、株価が下落したときです。しかし、このときでも粉飾を知るインサイダーが、あらかじめ空売りをしていれば、巨額の利益を出せます。
【そして、帰結の第10段階】
こうした会社には、トップや幹部の犯罪的な行動を見ている人が必ずいます。彼らが、首切りに合ったあとや、退職の後、検察に「内部告発」をします。
検察は、「一罰百戒」の効果が高い案件を選び、特捜します。一罰百戒は、経済犯、政治犯、脱税に対し、検察がとる方法です。
▼利益操作
以上のような、連結決算の対象と見なされない投資事業組合(または別会社)を使う方法をとれば、会社の利益を任意に増やしたり、逆に、減らすこともできます。
国税局は、利益粉飾は税金が増えるので喜びます。脱税は厳しく糾弾しても、利益粉飾のチェックはないのです。粉飾で増えた税は、福祉予算にもなって行きます。
しかし最後は・・・粉飾が分かれば株を高く買っていた株主が損をします。
「株価は、その時点では、すべての情報を反映していません。分かった『後で』反映します。」投資家は、粉飾に裏切られます。
▼スキーム(仕組み)のまとめ
以上のように、
(1)関連会社間の偽計取引そして、
(2)経費と利益の付け替えという粉飾を使えば、
それを知らない株式市場で、紙切れにすぎない株券が数千億円に化けるのです。
一連の操作でもっとも重罪は、「連結すべき投資事業組合や、関連会社との間で、架空売り上げを作ることによる粉飾」です。
以上が、株券印刷が、数千億の巨額マネーに変わる仕組みです。「株券発行を事業にしたライブドア」と言う理由です。
▼そして時流
わが国でも、
(1)銀行が企業に融資し、それによって企業が設備投資をして経済を発展させるという間接金融の時代から、
(2)社債と株による直接金融にシフトしつつあります。
固定されていた700兆円の預金から、株を買う人が少しずつ増える傾向です。(この国の預金総額は、もう増えません。)
その流れの中で、ライブドアが行ったのは、その純資産から見ると、株価の80%部分くらいを、つまり10億株の株券のうち8億株を粉飾の偽物で作っていたことになります。
租税回避地を使った偽計取引が、宮内氏か堀江氏から自白されていれば、すべての不正のスキームが、明らかになります。幹部のメールに証拠があるようです。
(注)しかし、金融機関やファンドが租税回避地を使うのは、今は、特殊なことではありません。
まとめればライブドアが行ったことは以下です。
(1)最初は株式分割で、時価総額を増やす。
↓
(2)次に、租税回避地の匿名会社を使う。
↓
(3)ライブドアとの関係が見えないようにした投資事業組合を作る。このとき、外資系ファンドも絡んでいるようです。
↓
(4)投資事業組合に、M&Aをする相手会社とライブドアの株を買わせる。
↓
(5)M&Aと株式分割を発表し、2社の株価を上げる。その株を高騰の直後に売る。
↓
(6)投資事業組合等に、コンサルタント料や他の名目で請求書を発行し、ライブドアに現金を入金させる。
↓
(7)その入金をライブドアの売上とし、利益として計上する粉飾を行う。その利益によって、株価が上がる。
▼粉飾への甘さがある
銀行融資が主流の時代は、赤字会社の粉飾は、日常茶飯事でした。
銀行も、会社が赤字なら融資ができなくなるので、赤字を黒字に装う会計操作も暗に認めていました。税務署は、黒字なら税を取れるので歓迎します。
ライブドアは、国税庁が会計処理を認めたのだから粉飾はないという頓珍漢なことを、事態の混乱の中で言っています。
公開会社が粉飾を行えば重大な犯罪です。株価評価を上げ、株主からの詐欺による収奪になるからです。
01年にエンロン事件が解剖されたあと、米国では決算利益の減額修正を行ったところが有名な会社も含め、続々と出ました。
これによって一時は、ダウが最大で30%下落します。しかしそのあとの米国の株式市場は、逆に世界から評価されたのです。
皆がうすうす感じていたことだからです。
そして、他国よりも若干は厳正になったと思われる、米国の決算方法への信頼は、世界から再びマネーを集める理由にもなったのです。
(注)中国の企業会計が、世界から疑われている理由は、こうした方法を含む粉飾がどれくらい混じっているか不明なためです。日本の最近の例ではカネボウがあります。
わが国でも、おそらくは米国の何倍も多い利益偽装の、修正申告を行う必要があると判断します。経営者も、マーケットも一時は苦しい。しかしあとで楽になります。
9.結論:時価総額は会社の負債
株で集める資金は、株主から預託を受ける会社の「負債」です。「会社がもつ自己資本」ではありません。
会社は、自己株の株主であるのではなく、株主は会社の外部にいるからです。資本は株主のものです。
<株主→株を買う→会社にとっては株主から預かった資本になる→会社は、時価総額に見合う純益を出す義務がある>
この当たり前のことに、戻ることです。
わが国のCEOにも、株価を上げることを他より重視し、粉飾はせずとも、無理なIR(企業情報公開)までを行うCEOが増えています。
資本という株主からの負債を増やして、経営者は何がうれしいのでしょうか。
利益を上げる自分の義務が、もっと大きくなるだけでしょう。
銀行負債のときは借入金の多さが問題でした。
同様に、期待を集めすぎ高すぎる時価総額は、企業経営にとって問題です。会社にとって自社の株価上昇は、資本負担の増加であって、利益ではありません。
株を自己資本と考える過去の思考方法は、やめるべきです。
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