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http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070406/267609/
「Rubyがプログラマに受け入れられたのは“感性”の部分」。2007年4月6日,2007年(第17回)日経BP技術賞の表彰式が行われ,「プログラミング言語Ruby」の開発で大賞を受賞したまつもとゆきひろ氏が受賞のあいさつを行った。
審査委員長の田中昭二氏(国際超電導産業技術研究センター副理事長)によると,今回の日経BP技術賞の特徴は,ソフトウエアが初めて大賞を受賞したことだという。「ソフトウエアはITの中核であるにもかかわらず,これまで日本では世界に普及するようなソフトウエアが生まれてこなかった。Rubyは日本発の立派なソフトウエアであり,Web 2.0時代の定番言語だ。我々はまつもと氏に感謝しなければならない」と田中氏は語った。
まつもと氏はあいさつの冒頭で,今回の大賞が「初の個人受賞」「初のオープンソース・ソフトウエアの受賞」「1993年から14年間も開発されてきた古い技術の受賞」と異例づくしであることに触れた。にもかかわらず大賞を受賞したことについて「審査員の先生方のご判断なので間違いはないでしょう」と会場の笑いを取り,「感謝して受賞します」と語った。
次いで,開発の経緯を簡単に説明。現在では海外の多くのWeb 2.0サイトがRubyで作られていること,国内でも島根県のWebサイトなどビジネスの分野でも使われるようになったこと,書籍の売り上げが(Rubyのお手本となったプログラミング言語である)Perlを超えたこと,RubyのブレイクのきっかけになったWebアプリケーション・フレームワーク「Ruby on Rails」の開発者であるDavid Heinemeier Hansson氏は,もともとPHPという言語のプログラマだったが,「美しいコードを書くことができ,生産性が高い」という理由でRubyを採用したこと,などを紹介した。「狙ったわけでも,マーケティングをやったわけでもないのに,結果的として海外で最も有名な日本生まれのソフトになった」(まつもと氏)。
Rubyがプログラマに受け入れられた理由については,まつもと氏は次のように分析した。
「成熟した産業では機能や性能より“感性”が重要になる。私が車を買うとき,どの車を買うかを決める要因は,単純な技術ではなく,『デザインがいいか』『乗っていて気持ちいいか』といった数値化しにくい(感性の)部分だ。同じことはソフトウエアの世界でも起こりつつある。プログラミング言語は,変化の速いIT分野の中では比較的変化がゆっくりした成熟した領域だ。言語の善し悪しを決めるのは,どんな技術を使っているか,性能がいいか,どんな機能があるか,といったことではなく,使い勝手,あるいは感性の部分だ。ユーザーがソフトウエアを使っているときに,どのような気分を感じるかということが重要になってくる。Rubyは,こうした点を満たしていたので評価されたのだと考えている。プログラミング言語の感性はプログラマの生産性に直結する。だから,Rubyを使えば,同じアプリケーションをより早く開発できる」(まつもと氏)。
最後にまつもと氏は「私一人の名前がここに載っているが,実際にはたくさんの方々がRubyを愛して協力してくれた」と述べ,そうした人々やRubyを評価してくれた人々に対する感謝の言葉であいさつを締めくくった。