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http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/17514.html
スプリュームは、3Dバーチャルコミュニティ「splume」のオープンベータテストを3月20日に開始した。オープンベータは無料で参加でき、同日にはスプリュームによる記者発表会も開催された。
■ 仮想空間をユーザーが作成できるアバター型の3Dコミュニティ
splumeは、専用ブラウザ「CRブラウザ」と「HUB(ハブ)」と呼ばれるアバターキャラクターを用いて、バーチャル空間でコミュニケーションできるサービス。ハブはファッションの着せ替えなどカスタマイズが可能なほか、日記やメッセージ送受信、フレンズリストといったSNS機能も備える。
3Dバーチャルコミュニティという点では米国を中心に話題を集めている「Second Life」と似た特徴を持つが、splumeでは「ワールド」と呼ばれるバーチャル空間をユーザーが自由に作成できる点が大きな違い。ワールドは市販のCG制作ツールなどで制作でき、一般的なWebサーバーにもアップロード可能。発表会ではInfoseekのホームページスペースを利用したワールドのデモが紹介されていた。また、スプリュームでも2007年夏には公式のオーサリングツールを提供予定だという。
ユーザーが独自に作成したワールドはURLがそれぞれ異なるが、splumeではこれら異なるワールドが1つのサーバーに存在するような感覚で表示・移動できる。これはスプリュームが特許を持つ「空間リンク」という考え方を取り入れたもので、空間そのものをURLとして認識し、空間の周囲につながる他の空間をURLで指定することで実現しているという。このため、CRブラウザにワールドのURLを直接入力することでもワールドを移動できる。
CGで作成したワールドは、splume独自の「CR」形式に変換してアップロードすれば利用可能。なお、キャラクターのデータなどはユーザーのサーバーではなくsplumeのサーバーに保存される。また、ハブをカスタマイズするアイテムはユーザーが作成できるが、利用するにはいったんsplume側にアイテムを登録する必要があり、ユーザーのみでカスタマイズすることはできない。
スプリュームではこうした仕組みについて「著作権違反など不正コンテンツの流通防止対策」であると同時に、「ユーザーが自由に仮想空間を作成できるように仮想空間には課金しないため、アバターなどで収益を上げる仕組みを取っている」と説明。また、splumeを通じたユーザーによるアイテムの有料販売なども予定しているが、料金設定やsplumeの利用手数料といった詳細は未定という。
推奨動作環境はOSがWindows XP SP1/2000 SP3以降、ハードウェアはCPUがPentium 4相当、HDD空き容量が30MB以上、メモリが512MB以上、グラフィックメモリが64MB以上で、DirectX 8以上とInternet Explorer 5.5以上が必要。インターネット接続はADSL 8Mbps以上を推奨する。有料アイテムの課金にはWebMoneyを採用し、クレジットカードなど他の決済方法については今後対応を検討するという。
■ Second Lifeは「スペース販売業」。Splumeこそが「Webの次の形」
スプリュームの梶塚千春代表取締役は、splumeのオープンベータ開始までの経緯を説明。もともと梶塚氏は「NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体III」などのCGを手がける株式会社ケー・エー・ジェーの代表取締役であり、そうしたCGの制作能力を活かしてプレイステーション向けゲームソフト「GERMS(ジャーム)狙われた街」の開発を自社ブランドで手がけた。
このゲームでは5km四方の街が舞台として設定されており、この街を50m程度のブロックに分割した上で、キャラクターが存在するブロックの周囲を読み込んでいくという技術を採用していた。梶塚氏は「正直あまり売れず、タイトルもみなさんご存じないだろう」と断った上で、「このゲームの失敗から新たな可能性を見出した」とし、splumeの開発に着手したと説明した。
splumeの基本コンセプトを梶塚氏は「Webのハイパーリンクを空間リンクに置き換えたもの」と説明。「2000年から7年に渡り開発やリサーチを続けていくうちに、これはWebのリンクを超える新しい体験的な世界を実現するのではないかと考えた」と自信を見せた。
2000年に開発したプロトタイプ以降は助成金や他事業の収益を使って開発を続けており、オープンベータ以降も先行投資が残っているためにプラットフォームとしての事業収益は見込んでいないが、企業とのアライアンスによるsplumeを用いたソリューションや、splume上でのワールド作成支援といったビジネスは考えているという。梶塚氏は「これまで3Dアバターを手がけてきた経験からすると、広告収入やパーツによる収益は会員数がかなりの人数にならなければ軌道に乗りにくい」とコメント、個人やクリエイターには積極的に情報を提供し、企業にはワールド作成の支援を行なっていくことで、まずはsplumeの普及を図るとした。
Second Lifeとの違いについて問われると、梶塚氏は「我々も類似のサービスを含めてさまざまなサービスを見てきたが、Second Lifeは技術や仕組みとしてはよくできている」と評価した上で、「Second Lifeをホームページに例えれば、Internet Explorerで表示するためのホームページスペースをMicrosoftから購入しているようなもので、突き詰めていけばディスクスペースの販売業に近い」と指摘。「Second LifeがWebに取って代わるものだとは思えない」とした上で、「splulmeはWebと同様に誰もが自由に空間を作成できるオープンエンドなサービスであり、これこそがWebの次のプラットフォームの形」と語った。
ユーザー数の目標は、「splumeは開かれた世界のため、ある意味ではsplume上で第2のSecond Lifeを作ることもできる」とし、「我々でもユーザーは獲得していくが、オープンな世界が生まれることでもユーザー数は大きく伸びる」とコメント。そうしたオリジナルのワールドを作成するためのプロジェクトも進めており、「そのプロジェクトの進捗次第でユーザー数の目標設定も上下するため、明確な数字は今は答えられない」とした。
■ URL
splume
(甲斐祐樹)