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「市場移転計画を白紙に戻せ」
豊洲の土壌汚染問題で、議員も研究者も奔走軸丸 靖子(2007-04-27 05:00)
東京都中央卸売市場(築地市場、中央区)の移転予定地である豊洲(江東区)の用地が発ガン性などの有害物質に高度に汚染されている問題は、4月8日の東京都知事選で移転推進派の石原都知事が3選を果たした後、いったん議論が静まりかけたかに見えた。だが、土壌から強アルカリ性の地下水が染み出ているということが確認されたり、法体系の不備が指摘されるにつれ、移転反対の動きが再び強くなり始めている。
豊洲で採取された水を観察する川内博史代議士(撮影:軸丸 靖子) 「気持ちの上ではそう思うが、まずはご議論を真摯(しんし)に受け止め、また都の検証の結果がどうなるのか注視しながら、その結果によって、環境省とも連携しながら判断したい」――。
むにゃむにゃと飲み込んだようなこの答弁は、松岡利勝・農林水産大臣のもの。
4月26日に開かれた衆議院農林水産委員会で、豊洲への市場移転計画の白紙撤回を求める民主党・川内博史議員の質問に答えた。
都が市場の設置主体なのに国の委員会でも取り上げられたのは、この問題が都民に限らず、国民の「食の安全」が脅かされる問題であるため。また、市場の設置主体は都だが、整備計画を承認するのは国であるためだ。
松岡大臣といえば「ナントカ還元水」発言が有名になった、アルカリイオン水の愛飲者。この日、川内議員は豊洲で採取された“強アルカリ性地下水”入りペットボトルを掲げ、現行の土壌汚染対策法が、食の安全・安心を担保するものであるか、国が市場整備計画を承認した際に十分な審議を行われていたのかを追及した。
「土壌汚染対策法は、人の健康に直接の影響を与えるものを想定したものだが、それは食の安心・安全を具体的に担保するものではない」と同議員。今後さらに、国土交通委員会でも豊洲の土壌汚染問題について追及していくという。
日本化学会エコケミストリー研究会で講演する日本環境学会の畑明郎会長(撮影:軸丸 靖子) 2003年に施行された土壌汚染対策法の不備については、日本環境学会の畑明郎会長が4月25日、東京で開かれた環境化学の専門家向けに講演した。豊洲問題のほか、大阪市の大阪アメニティパーク(OAP)で、完成後に重金属汚染が確認され、事業者が宅建法違反で書類送検され、巨額の賠償金を払った事例をひきながら、
(1)同法は、汚染状況の調査を有害物質を排出する事業者が住宅地などに転用されるときに限定して求めている
(2)調査と対策の義務を、汚染原因者ではなく土地の所有者に課している
(3)対策は盛り土が基本で、浄化はほとんどない
(4)地下水汚染防止の視点がほとんどない
――と問題点を分析。豊洲では、市場という食を扱う事業を始める前に、精密な調査を行う必要性を訴えた。
一方、築地市場の移転に反対する水産仲卸業者による「市場を考える会」(山崎治雄代表)は、市場内の業者に移転の是非を問うアンケート調査を実施。7割以上の業者が反対しているとの結果を得たという。連日、関連の会合に足を運び、傍聴する山崎会長は「それくらい、みんなが豊洲への移転に反対している」ともらす。
都の計画では、豊洲新市場は今から5年後、2012年に開場する予定になっており、着々と工事事業者の選定などが進められている。豊洲への移転阻止に向けたこうした地道な活動は、はたして間に合うのだろうか。
オーマイニュース・インターナショナル
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070427/10536