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「豊洲に市場を移転させてはいけない」
地下水からの有害物質検出に、専門家らが驚きの声軸丸 靖子(2007-05-11 06:30)
「何か出たんですか!?」――。
東京都中央卸売市場(築地市場)の移転予定地である豊洲の地下水からヒ素と鉛という有害物質が検出されたことで、この問題を懸念する人々は一様に、驚きと怒りの声を上げた。その一部を紹介する。
ヒ素と鉛の検出が確認された計量証明書の一部◇健康害「予防」の観点から市場を移転すべきでない
『日本土壌の有害金属汚染』(アグネ技術センター)の著書がある浅見輝男さん(茨城大学名誉教授、日本環境学会元会長、環境土壌学)の話
ヒ素はマイナスイオンとして存在しており、ベンゼンやシアンなどほかの有害物質に比べ、水によく溶ける性質を持っています。だから(簡単な湧水検査でも)引っかかってきたんでしょう。微量であっても、ヒ素が海水に流れ出ているなら、海洋生物、生態系に当然悪影響が出ると考えられます。
土壌に含まれる汚染物質というものは、なくならない、永遠に残るものなんです。(健康被害の予防という観点からも)築地市場を豊洲へ移すべきではないでしょう。予防というものは、大切なんです。水俣病やアスベスト、タミフルだって、もっと被害が小さいうちに防ぎ得た。築地市場の豊洲移転は、それと同じ轍(てつ)を踏もうとしているのです。
◇事実把握と情報公開の姿勢は虚構だったのか
『土壌汚染リスク―「現場」の実態と解決モデル』(ダイヤモンド社)の著書がある高杉晋吾さん(ジャーナリスト)の話
私は『土壌汚染リスク』の本で「三菱マテリアル」や「三菱地所」などの OAPの汚染問題を徹底批判し、それに対比する意味で、東京ガスの土壌汚染対策が優れていると書きました。土壌汚染情報を隠蔽(いんぺい)し、ねじ曲げて発表する三菱マテリアル等の姿勢と比べ、東京ガスの対応は「汚染実態の把握」と「率直な公表の姿勢」という点で評価できました。
しかし今回、環境基準の1万倍近い強アルカリ性の湧水、ヒ素の検出という実態で、東京ガスの「事実把握」がうそであったことが示唆されました。事実把握がない以上、すべての汚染除去は虚構であり、行政への報告、住民への報告、記者発表も虚構の情報となり、率直な公表の姿勢すらむなしい虚構にしか見えません。
こういう虚構の実態を、東京都も東京ガスもどのように住民や消費者に伝えるのでしょうか? おそらくは、築地市場移転と新市場建設を待ち構える諸企業が入札を待ち構え、あるいはすでに落札した企業があったり、背後にはがんじがらめの諸事情があるのでしょうが、都民の食事の場が恐ろしい不安と危険の場にならないようにとも東京ガスも再考すべき曲がり角に来ていると思います。
◇自然汚染とは明らかに異なる
日本環境学会・坂巻幸雄(元地質調査所、応用理学・地質学)さんの話
排水口に集まってきている水は、敷地上層部約6メートルの、埋め立て土・盛り土層中に含まれていた地下水で、おもとして敷地に降った雨水で涵養されたものでしょう。遠くから延々と流れてきた水ではなく、移動範囲は敷地の中で、上層部に限られていたものと考えられます。
その水に、わずかとはいえヒ素・鉛異常が見られるというのは、その限られた範囲内の埋め立て土・盛り土層もまた、これらの物質で汚染されていることを示唆しています。
沖積粘土層中に、ときとしてヒ素の自然濃集が見られることは、よく知られていて、行政部局によっては、軽度のヒ素含有は証拠もなしに「自然汚染」としてしまう悪癖を持ちます。しかし、この現場の場合、検体となった水の滞留時間は短い。「自然汚染」をこうむった粘土層と地下水が長期間接触した結果として水中にヒ素を含むに至った状況とは明らかに異なります。検体となった水が高アルカリ・高伝導率を示すことからも、敷地内の構成土層の詳細な調査がぜひ必要でしょう。
◇ ◇ ◇
東京都は、豊洲の新市場予定地における土壌汚染状況について、再調査が必要かどうかなどを検討する専門家会議を立ち上げる。4月の東京都知事選の期間中に、市場移転推進派の石原都知事が公言したことを受けたもの。5月19日に第1回会合が公開で行われる。委員は次の4人。東京都内の機関や医学関係者、市民代表は含まれていない。
委員長 平田健正・和歌山大学システム工学部教授(担当分野:有害物質)
委員 森澤眞輔・京都大学大学院工学研究科教授(水質)
駒井武・(独)産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門副研究部門長(土質)
内山巌雄・京都大学大学院工学研究科教授(環境保健)
オーマイニュース・インターナショナル
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070511/11008