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http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2007041602470.html
不人気の電子投票にこだわる東北の町がある その理由は
2007年4月17日(火)03:03
開票作業にかかる人手と時間を大幅に減らせると期待されながら、トラブル続きでほとんどの自治体から敬遠されている電子投票。前半、後半合わせて約1100の選挙がある今回の統一地方選で実施されるのは、22日投開票の青森県六戸町議選と宮城県白石市議選だけだ。東北の地方都市が、それでも電子投票にこだわる理由は――。
奥入瀬川沿いに農地が広がる人口1万1000人の六戸町。県議選があった8日、町内全10カ所の投票所に、デモンストレーション用の電子投票機が置かれた。
投票を終えた人が専用のカードを差し込むと、「幕末町議会議員選挙」の画面が映し出される。「吉田松陰(内政党)」「徳川慶喜(国権党)」などから1人をタッチし、確認画面をチェックすれば完了。同じ投票機が22日にも使われる。
電子投票導入のきっかけになったのは8年前の町議選だ。最下位当選と次点の差がわずか23票。無効票は69票で、うち27票は記された名前が誰なのか確認できなかった。無効票の処理のしかた次第では、当落の結果が変わる恐れもあった。
六戸町は65歳以上の高齢者人口が26%を超え、投票用紙に鉛筆で書き込むのが難しいお年寄りも少なくない。また、地方では案分票となりやすい同姓の候補者も多いが、タッチパネル式の電子投票なら無効票や疑問票の余地はなく、正確を期すことができる。
そう考えた町は、04年の町長選から電子投票を導入。過去2回の町長選で開票に要した時間は約10分で、よそで相次いだトラブルもなかった。
吉田豊町長(57)は成功の理由について、情報技術に対する職員のレベルが重要だったとする。同町では01年から全職員にパソコンが配備され、歳出歳入もパソコンで決済できる「電子行政化」を進めてきた。
住民へのPRも徹底した。敬老会やお祭りの会場にデモ機が置かれ、中学の生徒会選挙を電子投票でやったこともある。「郵便局の現金自動出入機より簡単」と、お年寄りの評判も上々だ。
03年の市議選、04年の市長選に続いて実施する白石市も行政の電子化を進めており、電子投票導入の理由に「正確な選挙結果の反映」を挙げる。
電子投票は02年の岡山県新見市から始まり、10自治体で延べ13回実施された。うち9回でトラブルが発生している。
なかでも03年7月の岐阜県可児市議選は、市選管が投票データを受信できない障害を予測できず、二重投票や職員の操作ミスで大混乱に陥った。05年7月、最高裁は選挙無効を言い渡した。
総務省の内部資料によれば、02年に電子投票の導入を検討していた自治体は451あったが、最高裁の決定直後には80に激減。多くが機械の信頼性が得られるまでは様子見の状態だ。今回の統一選ではむしろ、開票台の高さや作業手順の改善などで時間短縮を目指す自治体が目立つ。
だが、六戸町の吉田町長はこう訴える。「職員が概念を理解してしっかり準備すれば、電子投票は難しくはない。とんでもない人手をかけるお祭りのような選挙はやめるべきだ。国全体で取り組めば機械の設置コストも下がるのに、市町村に丸投げしている国の姿勢にルーズさを感じる」