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http://www.yukan-fuji.com/archives/2007/04/post_9124.html
北海道室蘭市、言わずとしれた鉄の街だ。いまや中国特需で鉄鋼業界は絶好調だが、10年前は構造不況業種で、商店街も空洞化していた。
ところが、世の中というのは皮肉なもので、鉄鋼業が元気になると、うまくいかなかった街おこしにも幸運をもたらす商品が現れる。それがボルトやナットを溶接して作ったフィギュアの「ボルタ」である。
ボルタが誕生したのは2005年9月、室蘭工業大学の学生と室蘭市輪西町の商店街の若者らでつくる「てつのまちぷろじぇくと」が行った「アイアンフェスタ」という街おこしイベントのなかだった。ボルトやナットを溶接して、フィギュアを作る実演をしたところ、それを見た人たちのなかから「欲しい」という声が殺到した。
そこで、てつのまちぷろじぇくとは、もともと15センチほどあったフィギュアを5センチ程度にコンパクト化して05年12月から売り出した。06年4月からは道の駅など市内2カ所で本格発売したところ、500円という値段の手ごろさも手伝って、発売半年で1万個以上を売る大ヒットとなった。
06年11月からはふるさと小包として、楽団セット、サッカーセットの2種類がそれぞれ5体入り3000円で発売されたが、こちらも半年で700セットが売れ、現在はさらに注文が増えているという。
ボルタは、毎月5種類ずつ新作が追加され、4月現在75種類になっている。最終的には100種類にまで拡大するそうだが、全種類を集めるのは売り切れが続出しているので容易ではない。
また、ボルタの魅力を高めているのは、パッケージに添付された秘話。例えば「#54告白するボルタ」には、こんな解説が付けられている。
「×月×日、ボルタは渾身の勇気をふりしぼり愛の告白を行った!その時の顔たるや、火を噴くほど真っ赤だったらしい。なお、後日泣きながら歩くボルタの目撃が数多く寄せられた」
ただでさえ、どこか武骨なボルタは、中高年サラリーマンの心を揺さぶるのに、こんな物語を読むとついつい感情移入してしまう。ネットの世界で、すでに2倍の値段で取引されているのも、そのせいなのかもしれない。
(経済アナリスト)
(2007.04.04紙面掲載)