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高齢者虐待140件/法施行で表面化 [沖縄タイムス]
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投稿者 white 日時 2007 年 4 月 15 日 16:02:08: QYBiAyr6jr5Ac
 

□高齢者虐待140件/法施行で表面化 [沖縄タイムス]

 http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704151300_01.html

2007年4月15日(日) 朝刊 1・27面

高齢者虐待140件/法施行で表面化
施設内でも3件 相談305件
 高齢者虐待防止法が施行された二〇〇六年四月から一年間に県内の市町村に寄せられた虐待に関する相談は三百五件で、うち虐待と判断したケースは百四十件に達することが、沖縄タイムス社の調べで十四日までに分かった。施設内での虐待三件が初めて確認された。法施行をきっかけに家庭や施設で隠されがちだったお年寄りへの人権侵害が表面化しつつある。
 介護関連施設であった虐待報告は「施設職員にたたかれた」などだった。警察の援助を受けた「立ち入り調査」を必要とする深刻な報告例はなかった。

 市町村別の相談件数は、百件を超す相談が寄せられた市がある一方、〇件が十七市町村に上るなど、相談態勢の違いなどによるとみられるばらつきがある。

 百五十九件と最も多く相談が寄せられた沖縄市では、介護支援センターや民生委員が中心となって虐待相談を積極的に掘り起こしている。市高齢福祉課は「数年前に相次いで発生した高齢者の孤独死を受け、福祉関係者や地域の連絡体制がすでに整備されていた。あらゆる相談が市に寄せられている」と説明する。

 全市町村とも虐待の「相談窓口」を設置済みだが、警察など関係機関と連携したネットワークづくりはまだ全体の取り組みが鈍い状況だ。

 ネットワークを「設置している」か「本年度中に設置予定」の自治体は全体の約四割にとどまっている。「検討中」が十市町村、「未定」が十四市町村だった。「未定」と答えた市町村の多くは、「現時点で虐待報告がなく、既存の介護保険関係者の連絡会議などで対応可能」とみている。

 法制化で虐待が顕在化したことを評価する琉球大学医学部の國吉緑准教授(成人・老年看護)は「虐待が起こってからではなく(相談しやすいなど)起こらない地域づくりが課題。虐待に対する市町村担当者の知識を深めるなど、スーパーバイザーとしての県の役割も重要」と指摘した。(黒島美奈子)


[ことば]


高齢者虐待防止法 2006年4月1日施行。65歳以上の高齢者に対して家族や施設など養護する者による虐待に気付いた人は、市町村への通報義務を定めた。市町村には事実確認や必要な介護サービスにつなげるなどの対応を義務付けた。虐待現場への福祉職員などの立ち入り調査も認めている。虐待は暴行などの「身体的虐待」、養護を怠る「ネグレクト」、心理的外傷を与える「心理的虐待」、性行為を強要する「性的虐待」、年金搾取などの「経済的虐待」。

     ◇     ◇     ◇     
虐待防止 悩める市町村/保護拠点不足


 高齢者虐待防止法施行から一年。各市町村の担当者は専門知識の不足や関係機関と連携することの難しさに苦慮している。子どもから恐喝行為を受ける老夫婦を一時保護した自治体担当者が県の厚生施設への保護を求めたものの、満床を理由に断られたケースも。虐待対応は市町村の責務だが高齢者施設のない自治体もあり、担当者からは「拠点となる一時保護所の整備や関係機関への周知などに県の支援が必要」との声もあがった。(1面参照)

 中部のある町では今年一月、高齢者施設に母親が入所する家族が「施設職員から母親が暴力を受けた」と警察に通報した。


周知されず


 町が知ったのは二月に入ってからで、警察からの連絡ではなく、入所者自らの再度の通報によるものだった。町はその後の聞き取り調査で施設職員が入所者をたたいた事実を認めたため虐待と認知し、県に報告した。

 高齢者虐待に詳しいNPO法人「介護と福祉の調査機関おきなわ」の堀川美智子理事長は「法では、虐待が疑われるケースに関して市町村は警察の援助を受けることができる。法の趣旨が関係機関に周知されていない」と指摘する。


知識不十分


 要介護度2の女性の年金を子どもが使い、女性が介護サービスを受けられなくなって自治体が関与した別のケースは、担当者が虐待と認識していなかった。担当者は「広い定義では経済的虐待といえるかもしれないが、女性自身が虐待と認識していないため」と説明する。

 子どもが生活費を使い、これまで受けていた介護サービスを受けられなくなるのは明らかに経済的虐待と認定される。堀川理事長は「生命の危機にひんする虐待を受けながらも子どもをかばい我慢する高齢者は多い。家族間のこととして見過ごされてきたことにも自治体の関与を認めたのが防止法だ」と話す。

 相談を受ける自治体が虐待を見抜けなければ、法が持つ効力が発揮されないため、関係者からは市町村窓口の相談能力向上と他機関との連携強化を望む声があがっている。

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