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<5>破たん予備軍 (2007年3月10日)
財政の「健康診断」必要【YOMIURI ONLINE】
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/kikaku/113/5.htm?from=os1
地域の集会所で歌志内市職員から財政健全化計画の説明を聞く市民(昨年12月)
「昔は、祭りの時期になれば、体を横にして歩かねばならないくらい、人があふれたものだが……」。歌志内市の中心部、旧歌志内駅前の本町商店街で食料品と日用雑貨を扱う商店を営む相原稔さん(68)は、人通りのない店先に目をやりながら、寂(さみ)しそうにつぶやいた。
かつて炭鉱の街として栄えた同市は、ピーク時の1948年に約4万6000の人口を抱えたが、閉山後に激減。現在では、全国の市で最少の約5200人にまで落ち込み、さらに減少を続けている。
相原さんは「商店街の店は、みな跡取りもいない。限られた収入で何とかやっているが、市が、夕張のように財政破たんでもしたら、生活が続けられるか心配だ」と不安を募らせる。
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高齢化と人口減少に歯止めがかからず、税収増が期待できない空知地方の旧産炭地自治体は、夕張市に続く“破たん予備軍”と見られている。中でも、実質公債費比率が全国ワースト1位の40・6%となった歌志内市は、その筆頭格だ。
夕張市のように、観光などへの巨額な投資で負債を膨らませたわけではないが、最後の炭鉱閉山が95年と空知の産炭地で最も遅く、雇用確保のための公共事業などで抱え込んだ負債が、いまも財政を圧迫している。
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昨年夏、夕張市を含む5市1町が、空知産炭地域総合発展基金から不適切な長期借り入れ(ヤミ起債)を行っていたことが発覚、歌志内市も一括返済を迫られた。返済額は、5市1町で最も多い14億9700万円。財政再建団体入りの基準となる赤字額(標準財政規模の20%)は歌志内市の場合、約4億9000万円。一括返済すれば、転落は確実だったが、基金の取り崩しが容認されて免れた。引き換えに、市は、国や道から財政健全化計画の策定を求められた。
計画案によると、今年度から6年間で総額28億3100万円の収支不足が見込まれるため、老人福祉施設職員を民間に再雇用してもらうなどして、消防を除く103人の一般職員を74人に削減。職員給与は20%、議員報酬も30%カット。市長給与も50%削減する。
住民負担も、2007年度から軽自動車税率を1・5倍に引き上げ、08年度からゴミ分別手数料の値上げなどを実施する。
市の村上隆興助役は「住民負担を最小限にし、市役所改革や、議会経費削減などにより財政健全化に努めるが、破たんを免れたとしても、この先、単独でやっていくのは難しい。旧産炭地自治体それぞれが財政健全化を達成した上で、合併を模索していく必要がある」と話す。
歌志内市と同様、健全化計画策定を求められた上砂川町も、01年度から実施している行革に加え、さらなるスリム化に取り組む。職員給与の20%削減や退職者不補充による職員数削減などで、10年度の累積赤字解消を目指す。
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一方で、“第2の夕張”を出現させないためには、地方財政制度そのものの見直しが不可欠だ。
国の「新しい地方財政再生制度研究会」は昨年12月、報告書をまとめた。夕張市の財政破たんの一因となった不適正な会計処理を防ぐため、地方自治体が設けている全会計を網羅したフロー指標、第3セクターを含めた地方の実質的な債務と返済能力が分かるストック指標など、新たな財政指標の導入と情報公開の徹底を提言している。
研究会の座長を務めた宮脇淳・北海道大大学院教授は「夕張を象徴的に取り上げると、地方と都市部の議論になりがちで、地方行財政制度全体の見直しという視点を失う。今の地方財政は病状がものすごく悪化してからでないと分からず、健康診断が出来ていない。住民、議会、金融機関などが自治体の状態を正確に把握できるシステムが必要」と指摘している。
(おわり)
【歌志内市】
http://www.city.utashinai.hokkaido.jp/
歌志内市は、北海道のほぼ中央、石狩平野の東北端の山麓地帯に位置します。
周囲を緑あふれる山並みに囲まれ、狭い山間を山岳地帯に源を発するペンケウタシュナイ川が東西に貫流し、この両岸に続く平坦地と斜面が歌志内市のたたずまいです。
面積55.99平方キロメートルの歌志内市は、その約75%を森林が占め、ペンケ山を主峰とする東部と南部は、他の600メートル前後の山々を境として芦別市に接し、北部は赤平山、かもい岳を境として赤平市に接しています。また、西南部から西部は、次第に拓けて砂川市と上砂川町に接しています。
美しい秀峰や自然に恵まれ、めぐる季節ごとに表情を変えて、住む人、訪れる人々を魅了する緑の大地です。