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久しぶりに廃村を訪ねてみることにした。今回は紅葉真っ盛りの大平(おおだいら)宿跡である。
廃村大平宿とはどういうところか、飯田市の「市政ガイド」に語ってもらおう。
大平宿(http://www.city.iida.nagano.jp/guide/annai/724.html)
2000/11/21
「大平宿」についてご案内します。
飯田市中心から大平街道を20キロほど西へたどると、中央アルプス南部に位置する、標高1,100mの山間地に、石置き屋根とせがい造りの古びた民家がおよそ22戸ほど点在します。そこが大平宿です。
この集落は、宝暦4年1754年からおよそ200年続いた宿場町で、山林と養蚕の他に大平街道を行き来する人達の旅籠も営んでいました。しかし、過疎のため昭和45年11月30日に集団移住して集落は消滅しました。
現在は、家の持ち主から「大平宿を残す会」が借り受け、現代生活で失なわれた生活の原点を体験したい人達に利用されています。
現存する建築物は、何れも建築年代が江戸末期から明治中・末期の古い民家で、囲炉裏や道具類も昔のままに残されています。
民家は、保存しながら昔の生活を体験するため、そこで休憩したり泊まったりする事が出来ます。協力金として、休憩は一人500円、宿泊は、2,000円をお願いいたします。
申込みは、「大平宿を残す会」飯田市知久町2丁目アルススポーツ内までどうぞ。
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ということで、10月27日に愛機、単気筒オートバイHondaCLにまたがって出発。木曽路妻籠宿に泊まる。途中、島崎藤村の「夜明け前」にも登場する、木曽山脈南部の2000b級の恵那山を眺めながら、中津川、落合、馬籠と辿って妻籠に到着。
馬籠から遠望する恵那山。
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翌28日、妻籠から飯田に通じる国道256号を東に向かう。この国道をそのまま辿ると昼神温泉を経て飯田方面に通じるが、目的地の大平宿跡には途中から分岐する県道を行く。自動車の離合が困難な狭い簡易舗装道で、大平街道と呼ばれている。途中「見晴らし茶屋」が一軒あり、そこから槍穂高連峰、乗鞍、御岳を望むことができる。
大平街道一帯は「県民の森」と呼ばれる自然公園が広がり、うす黄色の唐松の紅葉が見頃を迎えていた。
唐松の紅葉地帯を抜けしばらく行くと突然、人家が現れる。大平宿の跡である。廃村記念碑が大平小学校跡地前に建っている。
記念碑の横の道を進んでいくと石の門柱が立ち、元大平小学校の校舎が見える。覗くと教室が3つに教員室と集会場という構成だった模様。複式授業が行われていたのだろう。現在は野外活動に使われている。
小学校跡近くの駐車スペースにオートバイを置いて、街道を少し行くと大平宿の旧旅籠が軒を連ねている。こんな風だ。
元の持ち主の許可を得て復元し保存してある旨の表示が各建造物の前に記されている。
だが、廃村となった旧宿場を町並み保存しようとする努力にもかかわらず、出火によって貴重な建物を焼失するという悲しい出来事が起こっている。平成12年のことである。出火原因はついに分からず終いらしいが、2年後飯田市が予算化して復元している。3棟を焼失したが、うち2棟がこれ。
大平宿は一度廃村として放棄されたが有志の努力によって保存されるという希有の例となり、それなりに注目もされている。
山田洋次監督作品の「隠し剣 鬼の爪」でもここがロケ地として使われた。以下は南信州新聞社からの抜粋。
撮影されるのは物語のクライマックス。主人公、片桐宗蔵(永瀬正敏)とその親友、狭間弥市郎(小澤征悦)の切り合う場面で、張り詰めた雰囲気での撮影となる。(http://www.minamishinshu.co.jp/news2004/5/8n3.htm)
【大平宿概略図】
いずれも「NPO法人 大平宿をのこす会」から借用。
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大平宿の探訪だけでは、少し時間が余ったので、午後は南アルプス展望台「しらびそ平」に出かけてみた。日本の秘境と言われた遠山郷上村の下栗から南アルプス・エコラインという簡易舗装の林道を通って「しらびそ平」を訪ねた。
南アルプス南部の展望台。
下山途中の唐松の紅葉風景。
翌29日、高速料金を少しでも節約すべく、中央高速の飯田ICからではなく、多治見ICまで一般国道をかっ飛ばし、帰路についた。