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こういう見方をする人もいるようだ。うーむ。
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"なぜか複雑な思いが(7月3日)
3日朝、昨日行われた滋賀県の知事選挙で、新人の女性候補が、与野党の枠を越えて相乗りの推薦を受けていた、現職の知事を破ったとの報道を見て、いささか複雑な思いがしました。
この選挙は、3選を目指した現職が、自民・公明・民主の3党の推薦を受けたのに対して、京都の大学で環境社会学を教える女性が、実質的には、無党派で戦うという構図でしたが、結果は、圧倒的な組織力に支えられた現職が、3万票余りの差で破れました。
首長選挙に出る者は、政党の推薦を受けずに、フリーハンドの無党派で戦うべきだというのが、自分の考え方ですし、過去5回の選挙でも、それを実践してきましたので、今回の選挙結果は、本来なら、諸手をあげて喜ぶべき出来事なのですが、なぜか引っかかる点が、いくつかありました。
その一つは、県内の栗東市で、地元からの、多額の出費をもとに着工されている、新幹線の駅の建設を差し止めることが、主な公約になっていた点です。
といっても、他の県のことですし、ましてや、事業の経緯も意味も知りませんので、その正否をとやかく言う資格はありませんが、住民の暮らしの全般に関わる、首長を選ぶ選挙では、もう少し前向きな話が、争点になってほしいものだと思いました。
また、過去の例を見ても、何かの事業の中止を、公約に掲げて当選した知事は、その後、あまり長持ちをしていませんが、その理由の一つは、住民投票型の選挙が、本来の「組織」対「草の根」の選挙とは、異質な構造を持つからではないかと感じています。
それに、今回の選挙では、くだんの新幹線の駅の建設費をはじめ、環境の悪化や、こどもの力を引き出せていない教育を、「もったいない」というキーワードにくくることで、有権者の心をつかんだとされていますが、もしそうならば、「郵政民営化は是か非か」だけを問うた形になった、去年の総選挙と同様の危うさを、内包してのスタートになります。
一方、僕の目に映る現職の知事は、全国の知事の中でも際立って、環境や福祉の問題に関心の高い方でしたし、特に、環境の分野では、菜種油を使った「菜の花プロジェクト」など、かなり先進的な取り組みをされていると、感じていましたので、その方が、いわゆる環境派のグループから、支持されていなかったとすれば、意外だったとしか言いようがありません。
見方を変えれば、環境や福祉の問題に、熱心に取り組んできた知事が、旧態依然とも言える、政党の相乗りの舟に、安易に乗ってしまったところに、落とし穴があったのかもしれません。
また、当選された大学教授の女性は、環境問題に関して多くの著作を出されていますが、「いくら書いても世の中変わらない」と、自らが、知事選挙に打って出た動機を語られていました。
多くの方は、知事であれ市長であれ、首長の職に選ばれれば、大統領のように、かなりのことが、思い切って出来ると思われているでしょうし、確かに、首長の思い一つで、新しい動きを起こす一歩を、踏み出せることは間違いありません。
しかし、その動きを、結果にまでつなげられるかどうかは、様々な、制度的または政治的な障害との、戦いにかかっていますので、ものを書いても効果がないから、知事になればと、単純に片づくものではないことを、1票を投じた方々には、是非知っておいてほしいものです。
このようなわけで、いささか複雑な思いを持って、この選挙結果を見たのですが、当選した女性のインタビューの中に、最近目にしたばかりの、ある女性の名前を見つけました。
それは、2004年に、アフリカの女性としては初めて、ノーベル平和賞を受賞した、ケニアの環境副大臣、ワンガリ・マータイさんで、当選後のインタビューの中で、「(選挙でキャッチフレーズに使われた)もったいないという言葉は、マータイさんの本で広がったんです」と、紹介されていました。
実は、マータイさんは、1日に亡くなった兄が拝命していた、国連の、砂漠と砂漠化に関する国際年の、世界に4人いる名誉広報官のお一人なのです。
このため、1日のこの欄でも触れた、兄が果たせなかった講演の原稿にも、マータイさんの名が登場していました。
わずか2日の間に、マータイさんの名前に2回も接するのも、何か不思議な感じでしたが、選挙結果への複雑な思いを抱えながら、あの原稿を思い出して、兄ならば、今回の選挙をどう評論するだろうかと思いました。"
http://daichanzeyo.cocolog-nifty.com/0403/2006/07/post_e15b.html