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"住基ネット『横浜方式』転換
『年金手続き簡略化は…』
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)で「横浜方式」を全員参加に転換することを決めた横浜市は、七月から不参加だった市民の個人情報の住基ネットへの送信を始める。しかし、転換表明後、市は「横浜方式では、年金受給手続き簡略化の利便性を享受できない」としてきた説明が誤りだったことを正式に認めた。総務省の指摘をうのみにしたことが原因だが、この問題は方針転換を議論するきっかけだっただけに、「国にモノ申す」中田宏市長の象徴的施策が、最後は国の揺さぶりに「陥落」させられた格好だ。 (金杉貴雄)
■市長の施策 国の揺さぶりに陥落
■不参加市民 振り回され“強制送信”
市は議論のきっかけとなった年金受給手続きの問題が誤りだったことを認めたが、「住基ネットの安全性に問題ないとの結論は変わらない」と説明。横浜方式を見直して全員参加する方針には影響がないとしている。
住基ネットを使った国民・厚生年金の受給手続き簡略化について、市は当初、総務省の見解として「横浜方式では、住基ネットに参加している人も含めた両年金受給者百十五万人すべてが、その利便性を享受できなくなる」と説明。社会保険庁が今秋に住基ネットの利用を始める予定だったため、個人情報保護法施行一年の時期と合わせ今年三月、住基ネットの総合的な安全性について、有識者による審議会に諮問した。
審議会は一カ月半のスピード審議で「総合的にみて安全性に問題ない」と答申。背景事情として年金の受給手続き簡略化の問題も、市の説明通りの内容を答申に盛り込んだ。
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ところが、答申後に取材を受けた当の社保庁は、「横浜方式でも、住基ネットに参加している横浜市民には、手続きを簡略化できるので不利益はない」と断言。総務省も「市に『早く全員参加してほしい』と繰り返し求める中で年金手続きの話もしたと思うが、見通しなど言っていない」と否定した。
中田市長は全員参加を表明した五月十日の会見で「間違いともいえないのでは」とあいまいに答えただけだったが、さすがに実際に運用する社保庁が断言していたため、市は五日後の市議会常任委員会で誤りを認めざるを得なかった。
総務省と市がどのようなやりとりを行ったかは不明だが、住基ネットの全国ネットワーク完成を目指す同省から説得を受け続ける中で、「年金でも市民の不利益になる」などと揺さぶられ、思い込んだようだ。いずれにしても方針転換を議論するきっかけになるほどの重要事項について、市が社保庁に事実確認すべきだったのは間違いない。
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誤った情報で審議会への諮問を急いだ市だが、一方では市自らも諮問のタイミングを計っていた様子もうかがえる。
市は当初から「横浜方式」を、「総合的な安全性が確認されるまでの緊急避難」と位置付け。個人情報保護法の制定をはじめ、国に求めていた自治体による調査、本人によるアクセス記録の開示請求などが可能になり、「緊急避難」を続ける理由が少なくなっていた。
法律がある以上、「横浜方式」は常に「違法状態」と指摘される懸念があったが、中田市長はそのことに過敏に反応していた。年金手続き簡略化の問題は、諮問の格好の理由付けだったともいえる。
不参加を選んでいる市民は、全体の二割を超える約八十三万人。いったんは不参加を自ら選ぶことができたのに、今度は強制的に参加させられることになる。
単にシステム上の安全性だけではなく、住基ネットへの根本的な疑念、不安感を抱く市民に応え、四年前に拍手喝采(かっさい)を浴びたのが「横浜方式」だった。その転換の唐突さと経緯の不透明さに、釈然としない思いを募らせている市民は多い。
(メモ)住基ネット「横浜方式」 市民個人が「本人確認情報」を住基ネットに送信しないことを希望できる制度。2002年8月の住基ネット稼働直前に中田市長が「住基ネットの総合的な安全性が確認できるまでの緊急避難措置」として表明した。同年10月には住基ネットの対象となる全市民のうち、24.26%にあたる83万9000人が申し出。今年3月時点でも23.30%の82万5000人でほとんど変わっていない。市は今年4月末に「市本人確認情報等保護審議会」からの答申を受け、5月に全員参加への方針転換を発表。市民団体などは強く反発している。市は、不参加だった約83万人の個人情報を7月3日から順次住基ネットに送信を始め、11月末までに完了するとしている。"
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20060625/lcl_____kgw_____000.shtml