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自治体破産 夕張市が『財政再建団体』に 【東京新聞】
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 6 月 21 日 12:39:44: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 夕張市の巨額負債問題:「再建団体」転落に現実味 [毎日新聞] 投稿者 white 日時 2006 年 6 月 17 日 23:17:49)

自治体破産
夕張市が『財政再建団体』に 

 財政難の北海道夕張市が20日、自治体の倒産にあたる「財政再建団体」になると表明した。専門家からは、破たん予備軍の「氷山の一角」だとの指摘も出る。国から地方への交付税は削減が続き、多くの自治体の財政が追い込まれている。破たんのツケは住民にどうのしかかるのか。

 (宮崎美紀子、吉原康和)

 「人ごとみたいじゃないか」と、傍聴人からいら立ちの声が飛んだ。

 負債が五百億円を超える巨額に膨らんだ夕張市。二十日開会の市議会で、後藤健二市長が、自主再建を断念し、国の管理下で再建を進める財政再建団体になると表明した直後のことだ。

 本会議の冒頭、市長は「市民に大きな不安とご心配をおかけしていることをおわびします」と謝罪し、約十分間、手元の原稿を早口で一気に読み上げた。

 いわく、炭坑閉鎖後の産業構造の変換が進まなかった。人口減少や高齢化、国からの交付税の削減がのしかかっている。

 「苦しくとも厳しくとも夕張市民の底力を信じ、行政、市民が一丸となって難局に立ち向かわなければならない」。そう訴えた市長の言葉とは裏腹に、交付税カットなど「外的要因」を強調した内容に聞こえたことで、傍聴の住民らは語気を荒らげた。

 続いて質問に立った議員は「市長の決断を重く受け止める」と述べ、財政にかかわる質問を取り下げた。

 「市の将来像について聞けると思っていたのに、情けないです」と、傍聴を終えた同市の吉田登美雄さん(76)は、がっかりした表情で語った。「赤字の引き金は炭坑の閉鎖。そこへ、前市長が観光に力を入れた。そのことは評価するが、借金を重ねながらの町づくりだったかと思うと残念だ」

 夕張商工会議所の沢田宏一会頭は「どのような再建策が立てられるのか見守るしかない。市が出資する第三セクターに品物を納める地元の会社が随分ある。市関連の雇用も相当な率を占めている」と心配する。

 最盛期の一九六〇年ごろは人口約十一万七千人、いまや一万三千人の小さな町・夕張だが、二つの「全国ブランド」を持っている。

 一つは「夕張メロン」。市農協によると、メロンの年間売上高は三十億円弱に達し、農産物の出荷全体の96%を占める。一方、市から農協本体への補助金は、年間三百五十万円だ。永沼誠一組合長は「産地は大丈夫かと心配されるが、影響はない。他の自治体のように、市が先頭に立ってやってきたのではない」という。市の経済が炭坑に依存していた六〇年代から、農家の自助努力で特産品を生み、育ててきたことが幸いしたというのだ。

■交付金削減なら映画祭難しく 

 もう一つの全国ブランドは「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。小品だが個性ある作品が集まることで知られるが、運営費用約一億円のうち、六千七百万円は市からの補助金だ。財源は国の特別交付金なので、市の財政を直接圧迫している形ではないが、交付金が削られると映画祭の存続は難しい。

 映画祭事務局長を務める細川啓二・市観光対策本部長は「地元のさまざまな自主イベントを削ったが、多くのファンに支えられている映画祭は残してきた。その気持ちは変わっていない」と希望をつなぐのだが。

 市役所にほど近い場所に旧炭坑を利用した「石炭の歴史村」をはじめとする観光施設が集まった一画がある。運営する三セクの赤字も市の財政を圧迫したとされる。

 施設内で働く女性(55)は「週一日の休みが、五月末から週休二日になり、土日だけのパートの人は切られた。こんなに差し迫った事態だとは思わなかった。職場がなくなったら困るが、町の破たんが私たちの暮らしに、どう跳ね返ってくるのか見えない。落ち着かないですよ」と深刻な表情で語った。

 夕張市が財政再建団体に転落した原因は何か。

 北海道大学の宮脇淳教授(行財政学)は「五百億円を超える債務のうち約三百億円を占める一時借入金の存在が最大の原因」と分析する。

 同市の、税収と地方交付税などを合わせた収入の規模(標準財政規模)は約四十五億円だ。これに対し、今年三月末の負債は当座の資金不足をしのぐ金融機関からの一時借入金が約二百九十億円、地方債残高が百三十億円など五百四十億円になる。標準財政規模の十倍以上に膨らんでいた。

 地方財政法は年度を超えて短期資金を借り入れることはできないが、同市では出納整理期間の三月から五月の期間中に金融機関からの借り換えを行い、年度末の負債残高をゼロにする「自転車操業」を繰り返し、借入金残高を増大させていた。単年度決算は黒字だが「隠れ赤字」が膨らんだ。

 宮脇教授は「現行の財政再建制度は財政の早期是正を目的としているが、夕張市の事例は、制度の目的が機能していないことを如実に表している。こうした事態を放置してきた責任も重大だ」と指摘する。

 地方自治総合研究所研究員の菅原敏夫氏も「出納整理期間を利用した一時借入金による会計処理はよく使われる手口」と指摘。そのうえで「実質収支の赤字幅が財政再建団体の指定を決める唯一の尺度となっているが、自治体の財政破たんの正確な指標と言えるのか。自治体の財政はいまだに単式簿記による現金主義のため、現金で入ってくるものは借金だろうが何だろうがすべて歳入となる。借金によって意味を変えられた実質収支で財政破たんの有無を測るという手法は正確ではない」と批判する。

 同志社大学の新川達郎教授(地方自治論)は「夕張市の事例は氷山の一角だ。人口一万人未満の自治体のいくつかでは同様の問題を抱え、今後、問題が噴出する」と予測する。

 それでは、自治体が財政再建団体となると、将来の姿はどうなるのか。

 菅原氏は「民間企業の倒産と一番違う点は債務免除が認められない点だ。つまり、夕張市は五百億円の債務を返済しながら、再建の道を模索することになるが、歳入、歳出の両面にわたって厳しい見直しを迫られる」と断言する。

 具体的には、国民健康保険料や保育料、市営住宅の家賃、施設の使用料などが引き上げられて住民負担が増す。職員給与や退職金もカットされる。自治体独自で実施している事業の廃止や各種団体へ交付する補助金も削減対象だ。あらゆる行政サービスの低下も避けられないというわけだ。

■民間企業の手法 再生へ不可欠 

 新川教授は「財政再建団体の指定は、民間の破産法制とは異なり、この巨額債務を帳消しにする効果はない。国の援助があるとしても、いまや従来の再建団体以上に厳しい将来となる

<メモ> 財政再建団体

 赤字額が標準財政規模の5%以上(都道府県)または20%(市町村)を超えた場合、総務大臣に申請し指定を受けた地方自治体のことをいう。指定になると総務大臣の承認を受けた再建計画に基づいて予算編成が行われ、財政を立て直す。赤字は起債(借金)で埋め、国が利子補給を行うなどの優遇措置を受けることができる。一方で、保育料などの各種料金の値上げ、事業の廃止など住民負担増と行政サービスの低下が懸念される。

<デスクメモ>

 公務員が自己破産しても法律上は問題はない。それなのに事実上やめざるを得ないことも多いと聞いた。夕張の場合は市が破たんしてしまったのだから、まったく開いた口が。それにしても、これだけの巨額だ。なぜ、だれも市の財布の手当てをしなかったのか。この赤子は放っておくと大きく育つ。 (学)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060621/mng_____tokuho__000.shtml

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