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□「お荷物」から「遺産」に 岩手・松尾鉱山跡地 [河北新報]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060619-00000001-khk-toh
「お荷物」から「遺産」に 岩手・松尾鉱山跡地
東洋一の硫黄・硫酸の産地として栄えた岩手県八幡平市の松尾鉱山の跡地を、歴史を伝える遺産として見直す機運が地元で盛り上がっている。鉱山跡が工学系の研究者らでつくる産業考古学会(東京)の推薦産業遺産に認定されたのを機に、市は「鉱山出身者も巻き込み、教育や観光への活用を考えていきたい」と現地案内ツアーなどの検討を進めている。
松尾鉱山跡からは今も毎分24トンの強酸性水が流出し、中和処理が行われている。処理施設の維持に国と県は年間5億円以上を投じており、地元ではこれまで「お荷物」のイメージが強かった。
一方で、最盛期に1万5000人以上が暮らしたとされる街の姿はそのまま残り、往時の姿をしのばせる。「廃虚ブーム」の中で、八幡平の中腹、標高1000メートルの高地に鉄筋コンクリートのアパート、学校や体育館が並ぶ光景が注目されている。
鉱山のふもとにある市立の松尾歴史民俗資料館には、鉱山鉄道の機関車や削岩機など当時の用具が展示され、数千枚の写真も保管されている。
産業考古学会は、研究されないまま残るそれら資料や鉱山跡の価値を高く評価。5月、国や自治体の文化財指定のない産業遺産の保存推進を図るために学会が独自に認定している推薦産業遺産に認定した。
松尾鉱山跡は全国で72件目で、県内では1989年に認定された栗木鉄山跡(住田町)に次いで2件目。学会に松尾鉱山を推薦した岩手大工学部の小野寺英輝助教授は「産業遺産認定は、鉱山の負のイメージを遺産としてのプラスの意識に変える機会になる」と話す。
以前から鉱山跡の活用を模索してきた市は、認定を機に活用策の検討を本格化させている。生涯学習課や観光課などが横断的に連携し、鉱山関係資料の電子化や、山岳ガイドに鉱山に関する知識を深めてもらうための研修などを始めた。
来年度以降、エコツアーや修学旅行の誘致、鉱山鉄道を歩くウオーキングなども検討している。
市生涯学習課は「鉱山の水が川を汚してきた歴史もあり、環境教育の場としても有効と思う。ガイドの役目は鉱山出身者に期待している。鉱山の価値を再認識して、観光にも役立てていきたい」としている。
[松尾鉱山]1914年に松尾鉱業が創設され、本格操業。繊維や紙などの製造過程で使われた硫黄や硫酸を生産。最盛期の50年代半ばには、鉱石採掘量年間100万トンを誇る東洋一の大規模鉱山になった。約4000人の従業員と家族1万5000人余りが暮らし、病院や理髪店、劇場など最先端の厚生施設やアパート、学校などが建てられ、「雲上の楽園」と言われるほどの都市を形成した。石油からの硫黄回収が主流になって役目を終え71年に松尾鉱業は倒産、翌72年に鉱山は閉山した。
(河北新報) - 6月19日16時59分更新