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自戒を込めて紹介します。 ⇒ いまだにこんな男がいるとは… 金子雅臣『壊れる男たち』(IZ)
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投稿者 gataro 日時 2006 年 5 月 01 日 15:58:09: KbIx4LOvH6Ccw
 

2006年05月01日(月)
http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2006/05/01004416.php

◆いまだにこんな男がいるとは… 金子雅臣『壊れる男たち』

金子雅臣『壊れる男たち――セクハラはなぜ繰り返されるのか』(岩波新書)を読んでみました。

三四郎日記のyojiro5さんが、筆坂本を読むならぜひこの本も、と薦めておられますが、なるほどこの本を読んでみると、筆坂氏が、セクハラしておきながら開き直るそのへんのオヤヂそのものだということがよく分かります。

「仕事の話がある」と呼び出しておきながら、「俺のことが嫌いなのか」「もう、子どもじゃないんだから」と車の中でキスを迫る。「大人の付き合いも給料のうち」と言って、社長室に呼び出してスカートの中に手を入れる。派遣社員に「ミニスカートをはいてこい」と言い、セクハラで訴えられると、「相手は、派遣の人たちですよ」「正社員にしてやるといえばしっぽを振ってやってくるような連中」と平然と言ってのける。採用面接のときから目をつけ、食事に誘って、酒を飲ませ、酔わせたところで強引にホテルに連れ込んむ、等々…。

本書で取り上げられているのは、セクハラといっても、刑事事件にもなりかねないような深刻な事例ばかり。にもかかわらず、くだんの男性諸氏は、訴えられると、「誘ってきた」「合意の上」「相手も分かっていたはず」などと、勝手な(というか、まったく自分に都合のいい)申し立てをして、少しも悪びれない。「カラオケで、ちょっとお尻に手をやったくらいで、なんで国会議員を辞めさせられなきゃいけなかったのか…」と開き直るのも、まったく同じこと。

なんで、こいつらは、こんなに分かってないんだ?! と、同性ながら呆れてしまう話ばかりです。

著者は、セクハラオヤジを3つのタイプに分類しています。

1つは、「絶えず女性に対して性的関心を向けることに慣れてしまっている」男たち。派手な服装や化粧をするのは男を誘うためだとか、性的にだらしない、セックスが好きだと勝手に思い込む。離婚した女性は、性的に満たされていない、だからいつでも誘いをかけてもいいと決めてかかったり、仕事上での女性の仕草を勝手にOKサインと理解したがる、等々。挙げ句の果てに、勝手に、「相手が誘っている」などと思い込んで、「据膳食わぬは男の恥」とばかりに、セクハラ行為におよぶ、というタイプ。

2つめは、「女性には仕事以前に、常に女らしさが求められる」という視点で、日常的に女性たちを見ている男性。職場では男が中心で、女性はあくまで補助的な立場でしかないと考えている訳で、露骨にセクハラにおよばなくても、何かあると「女のくせに」とか「女なんだから」と言い出すタイプ。仕事のあとは、食事や酒につき合い、カラオケに行ったらデュエットして、お尻を触るぐらいは当たり前というのも、このタイプかも知れない。

3つめは、「女性は家庭を守って、子どもを育てるのがいちばん」「早くいい相手を見つけて、家庭に入るのが幸せの第一歩」「女があんなに働いたら、旦那が可哀想」などと、本気で思っているタイプ。下心がない分、始末に悪いかも知れない。

著者は、これらの違いは程度の差であって、多くの男性は、自分の第2か第3のタイプではあっても、第1のタイプではないと思い込んでいるけれども、実は、どれも“セクハラは男性問題”ということを理解していないという点では同じだと指摘しています。さらに、男をセクハラに走らせる原因は、男たちが抱えた「危機感と閉塞感」だといいます。無意識に、職場のストレスを「職場の弱者」である女性たちに転嫁している、というわけです。

そこで著者は、「男というものは、性的にだらしなく理性のカケラもない動物であることを受け入れ、肯定するのかどうかからはじまる」「男性は自らの本能をコントロールできない、人間以下の獣であるというプライドを欠いた主張を認めるかどうかがスタートラインとなる」と主張しています(197ページ)。確かに、セクハラ男の場合は、こういうことを認めさせるかどうか、要するに、己のアホさ加減に気づくことができるかどうかが、分かれ道になるというのは分かります。しかし、男性全部がそうだといわれると、僕は、“ちょっと違うんじゃないのかなぁ”と思ってしまいます。この結論では、「男はもともと全部壊れている」というフェミニズムの主張と変わらないのではないか、と思ってしまうのですが…。それに、そうした「男の本能」なるものは、けっして生物学的な意味での本能などではなく、文化的に(つまり、男性中心主義的な文化の中で)男の意識の中に埋め込まれた「本能」でしかないということを明らかにしないと、結局は、「男の本能」の赴くままのセクハラを、本当の意味で批判することはできないのではないでしょうか?

しかし、なんにせよ「セクハラは男性問題」、「魔が差した」などというのはまったくのウソだ、というという著者の主張に、僕は大賛成です。以前、職場の中で、通勤電車で痴漢をして辞めた男がいましたが、彼の最初の言い分は「混雑していて、鞄と女性のお尻の間に手が挟まって抜けなかった」というもの。こんな言い訳が通用する、と思い込んでいる段階で、もうアウトです。

【書誌情報】著者:金子雅臣/書名:壊れる男たち――セクハラはなぜ繰り返されるのか/出版社:岩波書店(岩波新書 新赤版996)/出版年:2006年2月/定価:本体740円+税/ISBN4-00-430996-4

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