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サラリーマン増税反対運動に見る、思考停止への考察
http://www.asyura2.com/0601/idletalk17/msg/561.html
投稿者 考察者K 日時 2006 年 4 月 21 日 20:57:31: JjkI8nWTpj0po
 

 なんか、サラリーマン増税の反対運動をするから参加してほしいとの要請が来た。
まあ、気持ちは分からないでもないが、少しは「運動をした事による効果」を考えてから行動に移してほしい。
 話を持ってきたのは「公務員労働者」である。

 Kは最近、富に自分は救いがたいほどのバカだと思っている。自分の考察力の無さに自信喪失しているというか、Kほどの思考停止野郎はそうはいないだろうと思っている。
それでも、多少は「こうすれば、このようになる事が予想される」と言うことは考える。
「火のない所に煙は立たない」ではないが、物事には因果関係という物があり、原因があり結果がある。

 サラリーマン増税は、財政赤字が発覚した当初から、多くの人が予想した事であろう。
 それは、逆に言えば「誰が、どう考えても、いずれは避けられない、方法論」ということである。

 仮にイカダに流されている人がいて、その先に滝があれば、いずれ滝まで流されるということは、誰にでも予想できるだろう。「それを避けるには、イカダから飛び降りて、岸まで泳ぐか、イカダごと岸の方に手か何かで漕ぐくらい」だろう。少なくとも、「滝まで行きたくない」と騒いでいるだけでは、絶対に滝に達するだろう。
 それが、現実であり、摂理である。

 サラリーマン増税が「金が有り余っていて、必要がないのに導入しようとしている」のなら、反対運動で阻止できる可能性はあるだろう。しかし、今回は、誰がどう考えても「避けられないだろう。」と内心では思っているという種類の代物であるだろう。

 それを、無理に阻止できたとして、何が予想されるだろう?

1 国家破産 具体的には預金封鎖からの徳政令である。借金だらけで倒産しそうな企業で社員が賃上げ要求を行えば、倒産する可能性は高まると思われるので、確率はともかくとして可能性はあるだろう。サラリーマン増税をしない代わりに「預貯金がゼロになる」というのは、損得勘定でどちらが良いのだろう?

2 不況の悪化 かなり多くの人が「今、政府に求める政策」に「年金制度の維持」と「不況対策」があるだろう。景気浮揚も年金制度も、政府主体で行うには、資金が必要である。その政府に「金がない」のだし「増税もできない」のだから、景気は悪化する可能性が高いとなるだろう。サラリーマン増税をしない代わりに「父ちゃんの給与が下がったり」あるいは「リストラされて失業したり」更には「過労死で死んでしまったり」するとしたら、どちらが良いのだろう?

 前にあっしらさんが書いていたが、結果的に「可処分所得が増えるなら」それが良いのであり、闇雲に「増税には反対」すれば良いというわけでもないのだろうとKは思う。

で、この話を公務員労働者が持ってきたのでなければ、Kもここまでは書かなかっただろう。Kはバカなので、Kの予想など当たるも八卦当たらぬも八卦というくらいの物だろう。
 しかし、サラリーマン増税が阻止された場合、間違いなく予想されることがある。

3 公務員の削減である。
 政府の無駄を切る。というのは、公務員を削減すると言うことである。どこかの村では村役場の職員の給与を一律10%カットするとか決まったそうであるが、人員、給与両面で厳しい締め付けが公務員には待っているはずである。

 どう考えても「サラリーマン増税反対」というのは、公務員労働者にとっては「自分らの首を絞める運動」のはずである。基本的には、日本が背負い込んでしまった財政赤字を返済するという風に考えた時、公務員だけで返済するのと、サラリーマン全部で返済するのでは、公務員だけで返済する方が公務員には苦しいはずである。

 そんな運動に主体的に参加しようとし、あまっさえ、Kにも参加を呼びかけるのは、思考停止というかなんと言うか、呆れて物が言えないという気分である。

 都会の方では、少しずつではあるが、景気が回復しているという。
 それは、いずれは地方にも波及してくるだろうと思う人は多いだろう。確かに今までは、そうだった。
 しかし、今回は、そうではない。
 地方部は、このままでは、半永久的に不況が続くはずである。
 何故だろう?
 それは、今の都会の景気回復は地方を犠牲にして回復しているからである。

 都会の景気が地方に波及するのは、いくつか通路がある。

1 原材料を良い値段で地方から買ってくれる。
2 地方の観光地でお金を使ってくれる。
3 国が、地方の公共投資を行ってくれる
4 国が、地方にいる公務員の給与を上げる事によって、民間もそれに引っ張られて給与を上げることによって、地方市場全体が活気づく

が、主な物だろう。
 今の状況では、3と4は論外だろう。現在、国は地方の交付金をどこまで切りつめられるかを試行錯誤している状況であり、公務員の給与も削減する事しか考えてはいない。

 1については、都会の企業は安売り競争に勝つために、地方からの原材料や食料品をいかに安く買い叩くかを競い合っているので、間違っても「良い値段でなんか買ってくれない」

 2については、最近の旅行者は「金を落とさず、ゴミだけ捨てていく」という状況であるから、多少人数が増えても、下手をすると地方の経費が嵩むだけだろう。

 Kの考えが正しければ、どこにも都会の景気の波及効果など期待できないと言うことになり、田舎の方は未来永劫、不景気のどん底にしかなり得ないのである。

 どこかに見落としがあるのだろうか?

 格差社会は個人の所得と同時に都会と地方の格差社会にもなっているとしか思えない。

 そんな中で、サラリーマン増税に反対すると、地方では唯一とも言える、都会の給与基準に準拠している公務員の賃金が下がることになる。それは、廻りの賃金労働者の労働条件にも波及して、地方は益々不景気になる事が予想される。

 サラリーマンは都会の方が圧倒的に多数である。丼勘定の常識から言えば、圧倒的多数の都会の労働者から吸い上げた税金はプールされ、地方にも分配されるはずである。
税収が上がる事は、格差社会の是正という意味においては、弱者にとって有利なはずである。

 多分であるが、「サラリーマン増税に反対」というスローガンでなら「多数派形成がしやすい」という安易な考えが、そのような運動を盛り上げて、市民運動にしようという意図があるのだろうと思うが、間違って、成功してしまった時のリスクについては、考えられているとは思えない。

 失敗を前提にした。存在証明としての市民運動であるなら、少しは考えてもらいたい。
思考停止したような二元論による運動が、思考停止者と我が儘を作り出す。

 過去に無理矢理形成された「失敗覚悟の市民運動」が、人権意識とか個人情報保護といった。我が儘と理想論の狭間のような「現実を作り出した」と言うことも確かである。

 自由、平等、公平という。概念場の正義が、結果的に現実を住み難くしていくのだとしたら、現実を直視し、その中から「みんなが住みやすい方向を模索するべき」である。

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