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http://0000000000.net/p-navi/info/column/200611102351.htm から転載。
2006.11.10
日記:たまげた蒐集愛
四方田犬彦氏の新刊『パレスチナ・ナウ』(作品社)を買ってきて、読み出した。そこに面白いことが書いてあったんだな。
四方田氏がイスラエル滞在中に通っていたのが、「スティーヴン・スピルバーグ・ジューウィッシュ・フィルム・アーカイヴ」という研究所だというのは知っていたけれど、それはこんなところだった。
「このフィルム・アーカイヴでは、およそ世界中で制作された映像のなかで、一コマでもユダヤ人が映っていたり、ユダヤ人への言及があるものはすべて蒐集し保存するという方針を貫いていた」
(『パレスチナ・ナウ』より、強調は引用者による)
えぇっ、一コマでも?
その異様な情熱に圧倒されるっちゅうか、無理やろとツッコミをいれてしまうっていうか、いつもいろいろな意味で度肝を抜かれるわ。
この映像っていうのは、べつに「映画作品」とか「テレビ映像」に限ってないんやね、しかも。
「(アイヒマン裁判のテープのように)世界のいたるところから問い合わせの来る著名な蒐集物もあったが、大半はユダヤ人の結婚式や割礼式を撮影した家族映画であったり、個人的な映像であった。いったい当事者以外の誰が興味を持つのだろうと思われる8ミリヴィデオまでが、先の原則に基づいて世界中から集められ、整理され、保存されていくのだった。」
はぁ〜。
迫害やジェノサイドの歴史をくぐり抜けてきたことはわかるけれど、ここまでパラノイアっぽくアイデンティティを強化していく姿になんとも言えないものを感じた。
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四方田氏の『パレスチナ・ナウ』は、映像で表象されたパレスチナを見ていくというもの。出だしの『ミュンヘン』(スピルバーグの作品だ!)については、 思うところ がけっこう似ていて、納得しながら読んでいる。