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□またまた始まった「魔女狩り」 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0611/0611114495/1.php
時評:またまた始まった「魔女狩り」 2006/11/13
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衆院議員・河野太郎のメールマガジン「ごまめの歯ぎしり」10月8日号に「オヤジが僕に突然、お前には金輪際飯をおごらない、と宣言した。なんでよ、と尋ねると、肝臓を金で買ったと言われないように。俺の肝臓はそんなに安くないよっ!」とある。
オヤジはもちろん、衆院議長・河野洋平。太郎が肝臓を提供して、肝硬変の洋平が生体肝移植を受けたのは02年4月だった。太郎が「オヤジの生命は救ったが、政治家としての延命に興味はない」と引退を勧告。洋平が「蒙古斑も消えていない息子に進退を左右されたくない」と拒否。それぞれのホームページでやりとりしていたことを思い出す。あい変わらず微笑ましい父子の情景だ。
宇和島の臓器売買事件で、腎移植の執刀者だった宇和島徳洲会病院の外科部長、万波誠(66)は、なかなかの名医であるらしい。独力で米国の大学に渡り、腎臓移植の訓練を積んだ。手術はたいへんに上手く、患者への対応も親切。免疫抑制剤の用法に工夫を加え、血液型が合わない移植でも成功率を上げた実績がある。
岡山県でフリーの手術執刀医となっている実弟、広島県の呉共済病院、香川県の香川労災病院の医師の3人が協力して、「瀬戸内グループ」とも呼ばれている。腎移植の世界ではよく知られた存在だったのだろう。
同病院は04年4月開院だが、2年半で実施した生体腎移植は、82件。うち4件は、摘出した腎臓を治療して本人に戻す「自家移植」。残り78件のうち親族間とされる通常の生体腎移植は67件。残りの11件は、病気のため摘出した腎臓を別の患者に移植したケースだったという。
万波医師らのグループは、死体腎、生体腎の臓器不足を補う「第3の移植」がこの「病気腎移植」だと位置づけているらしい。しかし新聞、テレビの報道は「非常識だ」という非難一色と言っていい。
そんな中だからこそ、産経が9日付朝刊で、見開き2ページの特集「移植医療シンポジウム 生かせ命と善意」を組んでいるのが光った。シンポジウムは産経主催で10月15日行われた。フランスを代表する移植医で仏保健省次官のディディエ・ウッサンが基調講演し、脳死段階の臓器提供について、拒否の意思表示をした者以外は同意したと推定するフランスの制度を紹介した形になっている。
1980年代に臓器移植が「普通の医療」となった欧州では90年に深刻なドナー不足に直面、4年後に「ドナーアクションプログラム」を開発し、脳死者の出る救急病院の医師や看護師らに自覚を促し、潜在的ドナーの臓器を生かすシステムだという。
その成果もあって、02年の人口100万人当たりのドナー数は、スペイン33.7人、ラトビア23.9人、オーストリア22.1人、ベルギー21.7人……と増加。これに比べ、日本は0.5人に過ぎない。
日本の腎臓移植は昨年、過去最高の994例となったが、834例が生体移植。死体腎移植は160例だけ。移植を待つ待機年数は、身内からもらうことが多い生体腎は平均4年。日本臓器移植ネットワークに登録して順番を待つ死体腎移植は平均16.6年と気が遠くなるほどの長期間だ。
こうした現実だからこそ、万波医師とそのグループが、多少強引でも「病気腎移植」を開発する必要があったのだろう。
その産経もまた、万波を犯罪人扱いするようなニュース報道を展開している。他紙の社説にあたる「主張」でも「病腎移植/医療にこそ透明性が必要」(11月8日)というタイトルで、万波非難一色だ。
きちんとした力量を持つ人でも、何か新しいことをやると「魔女狩り」に会う。すべての新聞・テレビが足並みをそろえ、国や県の医療行政も動員するのだから怖い。子どもの世界の「いじめ」は、これを真似ているんじゃないか?
【寸評】
▼米中間選挙結果=イラク戦が、ベトナム戦に次ぐ敗北に終わるのは決定的。米国社会が再び、亀裂と沈滞の時代を迎えるのだろう。それは米国の勝手だが、属国路線の日本はどうするの?
▼NHKへの放送命令=菅義偉総務相がこだわったということになっているが、首相・安倍晋三は、例の番組改変問題の主役だったことを忘れてはならない。視聴料の義務化を見返りに、NHK国営化が目的であることは見え見え。(敬称略)
(藪螺亭晋介)
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