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(回答先: 文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(6)自費出版のあるべき姿 [JANJAN] 投稿者 white 日時 2006 年 10 月 30 日 20:36:15)
□文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(7)編集の重要性 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0610/0610283615/1.php
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(7)編集の重要性 2006/10/31
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筆者が文芸社に不信感を持ったきっかけは何といっても「編集」です。編集者から「これから編集をはじめます」という電話が入ったのは、契約からかなり経ってからでした。ところが、それからしばらくしても編集者から連絡がありません。気にはなったのですが、そのころ締め切り間近の原稿書きで多忙を極めていたため、こちらから問い合わせはしませんでした。じっくり読んで原稿整理に時間をかけているのだろうとばかり思っていたのです。
だいぶ経ってから編集者の電話を受け、びっくり仰天してしまいました。その電話の内容というのは、「原稿は完成度が高いから基本的に手をつけない。作品(エッセイ)を並べる順序を確認したい。10日後くらいに初校ゲラができる。フロッピーを送ってほしい」というものだったのです。しかも、ワープロにない漢字を手書きにした部分のことを尋ねても、わからない様子です。「本当に読んでいるのか?」という疑惑が一気にわいてきました。
それ以降、メールで文芸社との協議を開始したのですが、編集者は「時間をかけて読んだ」と主張するばかりです。さらに2週間ほどしてから送られてきたゲラ刷りを見て、愕然としてしまいました。こちらから送った原稿をほぼそのまま印刷しただけだったのです。手を入れた原稿も添付されていなければ、編集者のチェックも入っていません。著者の手元にある控えの原稿を見て校正しろということなのでしょう。はじめから「原稿に手を入れる」ことなど想定していないようです。
一篇だけ赤字を入れてみたものの、修正が多すぎて校正を中止しました。これは校正以前の編集の問題です。編集費の見積もりは約76万円ですから、素人をバカにするのもいい加減にしてほしいと思いました。この段階で編集のやり直し、ないしは編集費の返還を求めたのですが、文芸社はそれには答えず全額返金での解約を申し出てきました。解約後に返却された原稿は、一部の誤字や差別語にチェックが入っていただけでほとんど手が加えられていません。その後よく調べると、誤字のチェックすら満足にしていなかったことがわかりました。
多田文明氏も「ついていったら、こうなった」(彩図社)の中で、自身の経験した共同出版では編集者がほとんど原稿に手を入れなかったこと、さらにその原稿を同人誌の添削教室に送ったところ、「返ってきた原稿は赤いペンで塗り潰されたと見まがうほど手直しされていた」ことを明かしています。
編集というのは、誤字・脱字の修正やレイアウトだけではありません。全体の構成からはじまり、文脈の整理や表記の統一、差別語のチェック、著作権の侵害の有無、ルビの必要性、表現の的確性なども検討するものです。いくら文章の完成度が高くても、編集が不要ということにはなりません。プロの作家にとっても、編集者はなくてはならない重要な存在です。
編集の必要性は、商業出版であっても自費出版であってもほとんど変わらないといっていいと思います。以前購入したある自費出版の本は、あまりの誤字の多さに辟易としました。いくら中味が良くても、これでは「読んでもらう」というレベルの本ではありません。日ごろ文章を書きなれない素人の場合、「満足な日本語」になっていないことも多いのではないでしょうか。そうであれば、なおさら編集が重要になってきます。
編集の重要性を理解していない著者の中には、編集者に赤ペンで修正された原稿を返されただけでプライドを傷付けられたと思い、気分を害する人もいることでしょう。しかし、文章というのは他人に読んでもらい客観的な評価を受けることで、「読者」の視点にたった適切な構成や表現になるのです。素人の場合、原稿が真っ赤になるくらいが当たり前で、良い編集者にめぐりあえて幸運だと感謝すべきでしょう。素人ほど謙虚になり、編集者のアドバイスを真摯に受け取るべきなのです。
著者が見落とした漢字の変換間違いなども、他人が読むことで発見してもらえます。筆者の場合、結局ひとりで編集をしたために何回も読み直したのですが、本が完成してからやはり誤字がいくつか出てきました。ひどくがっかりしたものですが、よい反省点にもなりました。
原稿を高く評価し協力・共同型出版を勧める出版社では、編集をするとしながら、「著者のオリジナリティーを尊重」なとどいって実際にはほとんど手を加えないようなところもあるようです。「手を加えてほしくない」という著者の心理を利用して、編集費を浮かせるのでしょう。編集のことをよく知らない著者が、こうしたやり方こそ「著者本位」で「よい出版社」などと勘違いしてしまったら、悪質な出版社をはびこらせることになります。
最後に、「( リタイアメント・ビジネス・ジャーナル速報・解説版 No.17参照)」で報じられた、新風舎の「碧天舎の被害者救済」でのトラブルを簡単に紹介します。
新風舎は、倒産した碧天舎の被害者救済として、碧天舎で出版された方の本を新風舎の直営店で販売、または新風舎ルートで流通できるようにすると申し出ました。ところが、直営店での販売を希望した著者が店に陳列されていないので理由を聞くと、在庫として備えてはおくがスペースがないので店頭には陳列しないとのこと。著者たちが抗議し、ようやく店に置いてもらえることになったという内容です。
ため息の出るような話しですが、著者が行動を起こすことで、協力・共同型出版会社を覆っていたベールが少しずつはがれていくように感じます。
筆者の一連の記事が、疑念を抱く人々、そしてこれから自費出版を考えている人々に少しでも役立つことを願っています。
(松田まゆみ)
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