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文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(4)騙しの構図 {JANJAN]
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投稿者 white 日時 2006 年 10 月 29 日 16:23:36: QYBiAyr6jr5Ac
 

(回答先: 文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(3)自費出版を装った「協力・共同型出版」に横行する水増し請求 [JANJAN] 投稿者 white 日時 2006 年 10 月 27 日 17:50:29)

□文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(4)騙しの構図 {JANJAN]

 http://www.janjan.jp/media/0610/0610243340/1.php

文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(4)騙しの構図 2006/10/28
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 著者は「あなたの本を出版します」などという新聞や雑誌の広告を見て原稿を出版社に送ります。すると出版社から見積書が出されて出版費用の大半を支払うわけです。これはあたかも自分の本の制作を請け負ってもらうという感覚です。著者はこうした注文制作の感覚により、しばしば出版契約を請負契約だと錯覚してしまいます。「著者が制作費を払って本をつくる」ということで、時として弁護士や警察官まで請負契約と勘違いしてしまいます。それは契約内容をよく理解していないからです。

 とりわけ問題なのは、契約書に著者が何の費用を負担するのかが具体的に書かれていない場合があるということです。かつて筆者が文芸社と契約したときには、文芸社からの手紙には著者の負担は「制作費」であると書かれていましたが、契約書では「制作・販売・宣伝に要する費用は甲乙双方の分担とする」とあいまいな表現になっていました。

 負担金が何の費用なのかという重要な事項が契約書に明記されていないのは理解に苦しむことであり、意図的としか思えません。契約書を見ただけでは「この金額で契約したのだから金額は問題ない」ということになってしまいます。しかし口約束であっても契約です。たとえ契約書に著者が何の費用を負担するのかが明記されていなくても、負担金が「制作費」と説明されたのであればそれも契約であり、負担金は「制作費」でなければならはいはずです。

 文芸社は著者の負担する費用をかつては「協力負担金」と称していましたが、最近では「出版委託金」としています。しかし著者の所有物をつくるのではなく、出版社の所有物をつくるのですから、委託という表現は適切とは思えません。誤解を招くような名称はやめて「協賛金」というような表現にすべきでしょう。

 また、新風舎では本の仕様や費用を契約書とは別の申込書に書くようになっていますが、なぜ申込みの形をとるのか理解できません。出版社の商品をつくることに同意し、その際の条件について約束するのですから、「見積書」とか「協賛金計算書」などとして契約書に添付するべきなのです。出版を申し込む形にすることで著者が請負契約と錯誤する恐れがあります。「表現する人の出版社」を標榜するなら、適切な表現をしてほしいものです。

 最近では新風舎や文芸社は、共同出版や協力出版があたかも自費出版であるかのように振る舞いはじめました。新風舎は「共同出版」という名称から「出版実現プログラム」という呼称に変え、ホームページでは「自費出版が進化した!」などと謳っています。一方、協力出版と自費出版は違うと主張していた文芸社は、不思議なことに自費出版と自認するようになりました。

 著者が請負契約と思い込むと、制作費が実費を上回っていても「この金額で合意したのだから金額については何もいえない」ということになります。出版社自身が自費出版であるかのように振る舞い、著者が請負契約だという錯覚に陥れば、著者は費用に疑問を持たないので出版社には都合がいいのです。文芸社や新風舎は筆者が昨年の記事で指摘した疑惑や疑問を氷解する努力をするどころか、自費出版を装ってますます錯誤を誘っているかのように感じられます。

 文芸社や新風舎は「販売」を売りにしていますが、販売を前提として出版権を独占し、売れればそれだけ儲かるので、販売に精を出すのですから、契約から考えれば、出版社が宣伝・販売するのはいたって当然のことなのです。その当たり前のことをメリットのように宣伝するというのもおこがましいというものです。

 ところで、本を書店に置くためには流通させなければなりません。大手の取次は、商業出版社が相手にしないような素人の本を出している出版社などほとんど相手にしません。たとえ取次を通したとしても、大半が返品されてしまいます。しかし、「販売」を売りにする以上は流通させる必要があります。このために文芸社では、特定の書店と提携して専用の「棚」を確保し、売れ残った本は買い取るという方法をとっています。倒産した碧天舎も同じやり方をしていました。全国の書店に一定期間置くという宣伝はこういう方法をとっているからできるのです。

 契約どおりに制作実費を負担してもらっても宣伝や販売の費用がかかりますから、売れなければ赤字となりこの商法は経営的に成り立たないはずです。ところが売れる可能性の高い本だけを協力・共同型出版に推奨しているのではありません。作品の質に関わらず、協力・共同型出版に勧誘する様は、売れる可能性など重視していないということなのです。つまりこの商法では実費以上の制作費を請求しているものと考えられます。

 碧天舎の場合、負担金が比較的安かったそうですが、碧天舎の赤字により関連会社も連鎖倒産してしまいました。もし契約どおりに制作費を実費計算とし、赤字分を関連会社や出版以外の他部門の利益で補うような経営をしたなら、碧天舎の二の舞を踏むことになりかねません。

 「書店に置く」ことと「売れる」ことはまったく別のことです。自費出版本の多くはほとんど売れないということを、著者自身がしっかり認識しなければなりません。著者が大金を投じた出版の中味は、かぎりなく不透明で、矛盾に満ちています。このような商法が大きな批判をされず、全国紙で堂々と宣伝されている事態は実に驚くべきことです。

(松田まゆみ)

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