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(回答先: 文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(1)協力・共同型出版への批判と疑問 [JANJAN] 投稿者 white 日時 2006 年 10 月 25 日 18:25:44)
□文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(2)「契約」締結の重要チェックポイント [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243336/1.php
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(2)「契約」締結の重要チェックポイント 2006/10/26
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著者は、自分の著作物の著作権を持っています。著作権とは、著作物を利用して収益をあげる財産権であり、複製権や上演・演奏権、放送権、上映・頒布権などさまざまな権利の総称です。ですから、著作権をもつ著者は、自分で費用を負担して自分の本を作り、それを販売して収益を得ることができます。著者がこの権利をみずから行使して自分の本をつくるのが、いわゆる自費出版です。
自費出版では、制作会社や印刷会社と本の制作請負契約を交わします。頒布の権利は著者にありますから、作った本を販売するかどうかは著者の自由です。著者が自分で売ってもかまいませんし、制作会社や書店で売ってもらう場合は、手数料を払って販売してもらうことになります。自費出版とは要するに、自主制作による出版のことであり、著者が主体の出版です。これは注文住宅を建てたり、洋服をオーダーメイドで仕立てたりするのと同じです。
これに対して、商業出版というのは出版社が本という商品を作って販売する商売です。出版社は他人の著作物を勝手に印刷して販売するわけにはいきませんから、著者と著作権の使用について取り決めをしなければなりません。この取り決めが商業出版における出版契約です。書籍の出版契約の場合、一般的には著作物の出版権(複製と頒布の権利)を一時的に出版社に移行する契約をします。商業出版は出版社が主体の出版で、顧客は本を買う読者です。
著者は、出版社が著者の著作物を売って商売をすることに合意し、その見返りに印税(著作権使用料)や原稿料をもらうわけです。出版社は一定期間、著作物の使用を独占し、商売をするのですから当然のことながら、その本を宣伝し売る努力をすることになります。書店で販売するには出版社が取次に委託するのが一般的ですが、書店と直接取引することもあります。
商業出版はあくまでも出版社の商売ですから、採算が合わないと思われる素人の本はふつう企画しません。しかし、それほど売れる見込みがなくても「著者による買い取り」の約束のもとに出版することもあります。著者が本を買ってリスクを負担するという条件での商業出版です。
では、新風舎や文芸社が販売を前提に提唱している有料の出版形態では、どのような契約を交わすのでしょうか? この契約では、商業出版と同様に出版権を出版社に設定する契約を交わします。ただし、その際に制作費を著者が負担するというのが、商業出版と異なる点です。
出版社の商品を作るために著者が資金提供するのですから、著者の負担金は出版社の事業への協賛金といえるものです。著者がリスク負担する商業出版という意味では「買い取り」を条件にした商業出版と変わりません。そのリスク負担が出版費用であることから、一般的に自費出版と呼ばれています。
著者は出版社の事業に協賛金を支払った上に、タダあるいは安い印税で出版権を使用させ、多くの場合、100冊程度の本をもらうだけです。出版社は無料で商品を作れるうえ、売上金も自社に入るのですから、出版社に有利な契約です。著者に寄生したパラサイト出版といえるでしょう。
「編集者の著作権基礎知識」(豊田きいち著、日本エディタースクール出版部)では「民法の『契約自由の原則』は、出版においても基本である。著作者と出版者が合意するなら、多様ないかなる約束も、一応可能であるが……」と指摘しています。ですから、たとえ出版社に一方的に有利な契約であっても、それ自体が違法とはいえません。
前回に取り上げた協力・共同型出版における契約では、出版権を出版社に設定することで本は出版社のものになってしまうのですが、大半の著者は著作権や出版権がどのようなものか、よく分からないまま契約書に印鑑を押しています。出版社は素人に契約を勧めるのですから、本来なら「出版社が商品を作って販売するために、著者の持っている著作物の複製および頒布の権利を出版社に設定してもらいます。本の所有権は出版社にあります。さらに、著者には協賛金として制作費を負担してもらいます.著者には○○冊の本を差し上げます」などと、契約内容を分かりやすく、詳細に説明するべきです。
ところが、こうした商売を行っている出版社のホームページや新聞広告では、著作権や出版権などの具体的説明は見当たりません。筆者が契約したときも、権利に関する具体的説明は一切ありませんでした。このような説明がなくても印税(著作権使用料)を払うということであれば、それは制作請負契約ではなく、出版社の商品をつくる契約なのだ、と著者は認識しなければなりません。
というのも、出版権が著者自身にある自費出版なら、印税など発生しえないからです。「印税」という言葉は作家を連想させ、素人の著者にとって魅力的に響きますが、有料出版の場合は要注意です。
契約の面から見ると、協力・共同型出版はリスク負担型商業出版であり、自費出版とは全く異なるものであることを、「著者」はしっかり理解する必要があります。
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