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http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060917/col_____sha_____001.shtml
新聞の役割が問われる
インターネット社会は新たな胎動期。韓国最大のネット新聞「オーマイニュース」の日本版も創刊され、新聞など既存メディアの役割やあり方が問われています。
呉連鎬代表にジャーナリストの鳥越俊太郎氏が編集長。孫正義氏のソフトバンクも資本参加して先月末にスタートしたオーマイニュースは、「市民記者によってつくられる新聞」が特長です。
既存メディアが大量情報発信者とその受け手という一方的関係なのに対し、送り手と受け手が対等、双方向からの発信が目指されています。
■オーマイニュースの教え
市民記者は登録制。日本版は九百七十五人からのスタートですが徐々に増えていきます。市民記者はやがて膨大な数になり、それぞれの分野の専門家も加わるでしょう。質量ともに少数のプロ記者を圧倒してしまう。そんな“ネットの思想”が含まれています。
日本の新聞、テレビ、ラジオ、雑誌関係者が、その日本上陸に注目し見守っているのは、韓国でのあまりにも輝かしい実績からです。
雑誌記者だった呉氏による創刊は二〇〇〇年二月。たちまち市民から支持され、〇二年の大統領選では盧武鉉大統領誕生の原動力になったともされます。
太陽政策支持で存在感を増し、創刊時七百人余だった市民記者は、現在四万四千人、一日七十万人の固定読者。韓国メディア界の席巻ぶりが日本の関係者には心穏やかならぬものがあるのです。
しかし、韓国ウオッチャーや本紙特派員は、同紙の成功の裏側に、同国の既存メディア側に、より大きな問題があったことを指摘します。
韓国では軍事政権が長く続いたせいか厳しい報道規制があり、市民は知りたいことを報道しない既存メディアに不満を募らせていたといいます。記者も「キジャニム」(記者様)と呼ばれ、市民からは遠い権力側の存在とみられていたようです。
オーマイニュースには新聞、テレビが報道しない事件が掲載され、既存メディアの記者たちが政府のオフレコ情報を匿名で提供するようになったともいわれます。読者と情報の上昇スパイラル現象でした。
権力との緊張関係を失ってはならないし、読者、市民の信頼なくしてメディアは存在しない−。オーマイニュースからの教訓です。
■権力の監視こそ任務
「新聞があぶない」「新聞は生き残れるか」「新聞がなくなる日」。日本の新聞業界がネット社会の近未来にいかに強い危機感を抱いているかは、新聞人の著書からも分かります。が、新聞には誇るべき多くのものがあります。
ニュース収集と発掘、情報の価値判断と整理、一覧性紙面、解説、論評、論説…。匿名と流言飛語、誹謗(ひぼう)中傷の世界に陥りやすいネット社会にあって、確かな情報の提供は新聞の命です。とりわけ権力の監視は新聞の最大かつ最重要任務です。
与えられた役割を果たすことが読者の信頼を獲得するという究極の目的につながると信じます。
優れたジャーナリズム活動に贈られる日本ジャーナリスト会議(JCJ)の今年の大賞に東京本社の特別報道部が選ばれました。
共謀罪をめぐる一連のキャンペーンなどが受賞理由ですが、自民党議員や法務省、警察庁幹部から厳しい批判と誹謗のなかでの執拗(しつよう)ともいえる取材と報道でした。
共謀罪の危険性の訴えにイデオロギー的思惑はなく、権力の善意を前提にした立法は許されないとの当たり前の主張です。左右を問わず、多くの専門家、識者の協力があったことが、特報部の構えと姿勢の正しさを証明しています。
二十日投票の自民党総裁選挙。安倍晋三官房長官の総理・総裁は既定路線のようです。新聞の最優先課題が「安倍政権」の監視、点検、検証になるのは必然です。
安倍長官は政権公約「美しい国、日本。」のなかで「新たな時代を切り開く日本にふさわしい憲法の制定」を明記しました。
「戦後レジーム(体制)からの新たな船出をすべきだ」「一、二年でできる話ではない。五年近いスパン(期間)も」と憲法改正へのスケジュールにも触れました。
安倍長官の脱却すべき「戦後体制」が何を意味しているのか、「新たな時代の憲法」が、その実、戦前への、あるいは精神において明治憲法への逆行にならないのか。曖昧(あいまい)で意味不明、疑問は多々あります。
■歴史は寛容ではない
憲法改正が国内問題にとどまるのか。戦争放棄、戦力不保持の九条改正ともなればアジア各国を巻き込んだ政治問題になるのは必至。日本のアジアへの侵略、歴史がそれほど寛容だとは思われないのです。
現憲法の平和主義と権力拘束の立憲主義の立場から安倍政権の監視役をしっかり務める覚悟です。
大変革期に入ったといわれるネット社会。メディアがそれぞれの任務を果たしての共存をめざすべし。良貨が悪貨に駆逐されないように。
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