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□誰が新聞を消したのか? [PJニュース]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2392363/detail
誰が新聞を消したのか?
【PJニュース 09月01日】− 「良い新聞とは国民が自身に話しかけることだ」と1961年にアーサー・ミラーは心の中でつぶやいた。10年後、ワシントン・ポストの二人の記者が新聞のステータスを高める一連の記事を書き、ニクソンを大統領の座から引きずり下ろした。新聞は通常その他のメディアのためにニュースの指針を設定する。しかし、先進国の新聞はいまや絶滅の危機にある。読者に文章と広告を売る商売はばらばらになりつつある、と8月26日付英誌「エコノミスト」はデジタル時代の新聞を特集している。
すべてのオールド・メディアのうち、新聞は最も多くをインターネットに奪われた。アメリカ、西ヨーロッパ、ラテン・アメリカ、オーストラリア、ニュー・ジーランドでは発行部数が減少している。しかし、過去数年間、ウエブは新聞の凋落を早めている。フィリップ・メイヤーは、その著「消え行く新聞」の中で、2043年の第一四半期がアメリカで最後の読者がくしゃくしゃになった最終版を放り出し新聞が消え去るときだと書いている。多くの若者がオンラインでニュースを見ている事実を退けるわけにはいかない。15歳から24歳のイギリス人は、ひとたびウエブを使うようになると、新聞を読む時間が30%減るといわれている。
広告は読者の後を追いかける。特に、案内広告は急速にオンラインに移っている。ルパート・マードックはかつて案内広告は新聞業界の金の川だと述べたが、昨年、彼は「ときどきこの川が干上がる」と言っている。スイスとオランダの新聞は案内広告の半分をインターネットに奪われている。
新聞はまだそれほど多く店じまいし始めたわけではないが、それは時間の問題だ。今後数十年にわたり、先進国の一般紙の半数は休止することになるだろう。仕事はすでになくなりつつある。アメリカ新聞協会によれば、新聞の雇用数は1990年から2004年の間に18%減少したという。新聞社で上場しているものの株価は投資家から怒りを買っている。2005年にアメリカで数紙の日刊紙を発行している持ち株会社のナイト・ライダーは日刊紙を売却、114年の歴史に幕を閉じた。今年、モルガン・スタンレーは4年間で株価が半分近く下落したとニュー・ヨーク・タイムズ社を非難した。
長年、現実を無視していた新聞業界はついに動き始めた。経費を削減するため、彼らは新聞関係の支出を減らし始めた。また、多くの新聞社は若い読者をひきつけようとして、娯楽、ライフスタイル、それに国際問題や政治より身近な日常生活に関する記事に移行しようとしている。さらに、日刊のフリー・ペーパーに投資を始めた。フリー・ペーパーは政治腐敗や企業の不正行為を明かすような大掛かりな編集スタッフを煩わすようなことはない。今のところ、こうした一連の動きはあまり助けにはなっていないようだ。たとえ助けになったとしても、第四の権力である言論界の公共的な役割にとって良いこととはいえない。
将来、新聞が衰弱し変化していくにつれて、政治家は咎めを受けずに反対政党の事務所に押し入ったり、企業の悪漢が犠牲者を踏みつけて喜んだりするようになるのか?特にアメリカの新聞学部やシンク・タンクは壊れかけている第四の権力の影響を憂慮している。今日のニュース機関は民主主義がよってたつ一般市民を支える役割を担えるのだろうか?とニュー・ヨークにある研究機関、カーネギー・コーポレーションは最近発表した新聞に関する報告書で問いかけている。
かつての大きな権威の終焉を喜ぶものはいない。しかし、新聞の凋落はひとが心配するほど社会にとって害になることはないだろう。1950年以来テレビの影響で発刊部数が大幅に減少したあとも、新聞による民主主義は生き延びた。そして、来るべき凋落をきっと生き延びるだろう。
オーナーが変化する状況に合わせうまくやる限りは、社会に多大な利益をもたらす不正を追求するようなたぐいの記事に傾注することが生き残りのために重要なこととなろう。ニュー・ヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルのような新聞は、広告収入がインターネットに流れたのを埋め合わせるため新聞価格を上げることが可能だ。他の業界と同じように、途中で脱落しそうなのは高級紙でも、娯楽中心の大衆紙でもない、その中間に位置する新聞だ。
新聞の有用性は不正を究明することや一般のニュースを流布することより広い。すなわち、新聞は、世論の法廷の場でそれ明らかにしつつ、政府を支えることにある。インターネットはこの法廷の場を広げた。人々はもはや少数の全国紙や地方紙を信用する必要はない。グーグル・ニュースのようなニュースを集めたサイトが世界中のニュース・ソースをまとめて引っ張ってくる。
加えて、「市民」記者とブロッガーの新戦力は政治家を支えたがる。ウエブはプロの編集者と記者の閉鎖的された世界を、キーボードを持ちインターネットと繋がったものなら誰にでも開いた。個々のブロッガーは偏見や中傷があるかもしれないが、集団として捕らえれば、ブロッガーたちは咀嚼すべき無限の真実を提供する。もちろん、インターネットは閉ざされた心におもねるが、これは新聞も同様だ。
殆どのブロッガーは前線に出ることはなく肘掛け椅子の上から発信し、市民記者は地元の出来事にこだわる傾向がある。しかし、それはまだ初期の段階だ。新しいオンライン・モデルは新聞が撤退するにつれ現れてくるだろう。非営利団体のNewAssignment.Netはアマチュアとプロを結びつけてインターネット上で不正などを徹底的に調査追及する記事を載せようと企画している。無料案内広告ウエブサイトのCraigslistのCraig Newmarkからこの計画に1万ドルの現金が拠出される予定である。
将来、どこかの一流紙が非営利団体によって支援されることになるかも知れない。すでにザ・ガーデアン、ザ・クリスチャン・サイエンス・モニター、ナショナル・パブリック・ラジオなど幾つかの評判の高い新聞がこのような方法で自らを支えている。まじめな新聞なら、あらゆるオンライン、慈善団体に後援された独立ジャーナリズム、数多くの熱狂したブロッガー、そして見聞の広い市民記者を利用することができる。アーサー・ミラーの言う国民の対話が以前にも増して大きな声となる兆しが出てきたようだ。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJニュースはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 宇田川 正昭【東京都】
この記事に関するお問い合わせ
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2006年09月01日07時48分
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